第五十四話
――
ラメリside
「ラメ……ラ……ラメリ殿!」
「うっ……若造殿?」
「おお、久しぶりにそう呼ばれましたな。冒険者試験を受けた五十年前にラメリ殿に無礼を働いた時以来ですか? あの時は本当に申し訳ございませんでした」
「あ、ああすまない。昔の夢を見ていたんだ、あれからあなたは改心してくれ獣人差別を無くすべく人生を捧げ私にもよく仕えてくれた。本当にありがとう」
「勿体ないお言葉です……少しうなされていたので声をかけさせてもらいました。具合はどうですか?」
「もうお別れの時間だろうな……」
「そ、そんな……」
師匠たちと別れ約五十年。魔物発生の原因を取り除いた英雄として初代様に発表され、私は一躍有名になり獣人差別を無くすべく動き出した。もちろん大変な事は多々あったが、どうにかこうにか走り抜け今では獣人差別はなくなってきたと言ってもいい程だ……もう五十年もすれば過去のものになるだろう……
恥ずかしいことに私の存在は神格化され、初代様の言う通り信仰の対象にまでなっている……なぜか世界最大宗教のスウェー教が衰退したせいでもあるが……
そんな、私の教えはきっと受け継がれるはずだ……
そして、役目を終えた私は今寿命が尽きようとしていた……最後に昔の夢を見れたのは幸いだ。
「ラメリちゃんお邪魔するよ」
「こ、これは初代様!」
「初代様ですか……どうされましたか?」
師匠達がいなくなってからも、頻繫に会い様々な助力をしてくれた初代様。以前と変わらぬ姿のまま今も世界の為に尽力されている偉大なお方だ……
「ラメリちゃん、今からでも遅くない。俺の力で寿命を延ばしてもう少し生きてみないか?」
「何度も声をかけていただき、ありがたいのですが、私はこの生を全うし最後を迎えたく思います……」
「そうか……やはり考えは変わらないか……」
「ええ……すみません……後のことはお願いします」
「うん……心配せずにゆっくり休んでくれ……ラメリちゃんの事だからもう分かっていると思うけど……」
「はい……もう数時間もせずに私の命は終わるでしょう……」
「……」
「もう別れの挨拶は済ませているので大丈夫です。それに最後に師匠達の夢も見れましたし」
「そっか、それは良かった。……ツカサ君達は今どこで何をしているんだろうねぇ」
「あの人達ならどこに行っても楽しく過ごしていると思いますよ」
「違いない……じゃあ俺はもう行く……ラメリちゃんおやすみ……」
「ええ……」
あぁ、幸せな人生だった……できるならもう一度師匠達に会ってお礼を言いたかったが、夢で逢えただけでも良かった……
師匠……バサシ殿……私は立派にやり遂げたましたよ……
――
……
……
……
「いやぁ素晴らしかった! 見事だったぞラメリ! 流石俺の一番弟子だ!」
「え! 師匠! それにバサシ殿も」
「うむ、よくぞやり遂げた……」
「……私は死んだはずでは?」
まぁラメリが困惑するのも無理はない。確かにラメリは息を引き取り、死んだんだからな……
んで、ここはと言うとあの世に行く前の狭間的な奴だ。
このまま行けば輪廻の輪に入り、何かに生まれ変わるんじゃない?って創ちゃんが言ってた。
……相変わらず興味のないことは全知全能でも知らない創ちゃん。
「なるほど……さすが師匠ですね。こんな所でお会いすることになるとは。最後にお会いできて良かったです。私は師匠のお陰でやり遂げるかとができました。本当にありがとうございます……」
「本当にカッコ良かったぞ。お疲れ様……」
「ありがとうございます。所でなぜお二人はここに? 私は最後の最後で会えて嬉しかったですが……」
「あ、あぁ、それなんだけどさぁ……実は、何て言うかぁ……あれなんだけど……」
「ご主人様! ウダウダせずハッキリ言ってください! そんなことだからあの後行った世界でも……その次もその次も……性悪女に引っ掛かるんですよ!」
「ウダウダすんのと、性悪女に引っ掛かるのは関係ねぇーだろ!」
「あはは……あれから何度引っ掛かかったんですか? もう本当にしょうがない師匠ですね……ゆっくりでいいから話してください」
「また子供扱い……実はあの時ラメリと別れて創ちゃんの所に戻ったときにさ……」
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