第四十四話
「それでは、これより予選を開始いたします! ルールは至った単純、最後までこの舞台に残った一人が予選突破です! では、スタートです!」
「「うおー!」」
すげー熱気。でも予選方法はシンプルでちょうどいい、百人近くいるしこれでトーナメントとかしてたら面倒だし。……あのCランク冒険者も二人共ぶっ飛ばせるしな。
……さてと、久々に”俺つえー”しようか?
「そこの二人以外十秒以内に降りろ……」
「「「「……」」」」
「おっと? ……え? これは? ……どういった状況でしょうか? ……私もながらく状況をしてきましたが、こんな事は初めてです! 三人を残してすべての人が自ら舞台を降りています! しかも、全員が必死の形相です! なにを恐れているというのか!」
――
「さてと、舞台もすっきりしたし。半殺しにしてもらっていいですか?」
「「……す」」
「なんですか? 聞こえないんでハッキリしゃべってもらっていいっすか? あっしはこれから、熊さんのぬいぐるみ探したりパンツ洗ったりしないといけないんで、忙しいでやんすよ?」
「「すんませんでした!」」
「えぇ! 残った二人がジャンピング土下座をしつつ場外へ落下していきました! こんな終わり方でいいのか! ……もういいや! 予選突破者決定です!」
……ふぅーすっきりした。
――
「お! ラメリどうだった?」
「もちろん、予選突破しました」
「だよな」
「……それより、師匠。師匠の事を指揮者と呼んでいる人が何人もいますが、どういうことですか?」
「指揮者……遂に俺にも二つ名が……指揮者か……悪くないな……」
(中二病だね)
(中二病ですな)
「うるせぇ! 俺の心のなかで会話するんじゃねー!」
「師匠?」
「ああ、すまんすまん。小物とバカがうるさくてな」
「指揮者ってのは、多分さっきの……」
説明中
「……」
「なるほど。指揮者の如く皆を動かすことができるから、指揮者と言うわけですか。……師匠やりすぎじゃないですか? せめてちゃんと戦ってあげてくださいよ」
「いいんだよ、だってあいつら俺の事めっちゃバカにしてたもん! ……それに他の奴らもちゃんと戦いたいなら、俺の言葉に耐えて頑張れば良かったんだよ……あいつらがもっと頑張れば……」
「はいはい、わかりましたよ。あいつらが、全部悪いんですよね? ラメリはちゃんとわかってますよ? でも本選はちゃんと戦ってあげましょうね?」
「……ラメリ、最近俺の事子供扱いしてない? 俺は師匠だよ?」
「……」
「……」
「なぁ……?」「……転移!」
「おいー! なにバサシみたいなことしてんだよ! お前はまだ、転移できないだろ!」
気が抜けたわけではないが、Sランクに上がれるのが秒読みとなり少し気が楽になったのだろう。以前より砕けた態度を取ってくれるようになったラメリとのやり取りは楽しい。決して俺を舐めているわけではないはずだ……あとどれくらいこの世界に残れるかわからないが、最後までずっと一緒にいれたらいいな……
「転移ぃ!」「だから、まだできないって!」
「師匠も気を利かせて転移もセットで着けてくれたら良かったのに。そのような事だから……」
「おいー! その先は言うなよ!」
舐められているわけじゃないはず……
――
「さあ! 一日の間を開け遂に剣闘士大会本選が始まります! 一部を除いて厳しい予選を勝ち抜いた六人とシード枠十人。計十六人! いずれも実力者揃いです! この中の誰が優勝し、最強の剣聖へと挑戦するのか! そして、三十年剣の頂を守り続ける剣聖を倒すことができるのか!」
「さっそく第一回戦を始めます! 東より……」
「お? すげー歓声。始まったみたいだな。ラメリ見に行こう」
「はい」
――
おぉーすげー。マジでレベルが高い。剣に生きる人ばかりだから、総じて魔法が得意でない人が多い。その為魔物討伐には向かないが、対人なら確かに冒険者より技量は上だ。
冒険者と比べるのは難しいが、戦闘力という便利な数値があれば今戦っている二人もSランク相当の実力者。舐めてたわけじゃないが、剣闘士大会侮りがたし……
ぶっちゃけチートあげる前の、Aランクラメリだと予選突破も厳しい……本選一発目でこれなら剣聖がSSSランクってのも頷ける……
「もうそろそろ決着が着きそうだな……次は俺の番だから行ってくる」
「はい、お気をつけて」
「うん」
「それでは、第二回戦! 唯一予選を楽勝で突破! 人間を自由自在に動かす様はまるで指揮者! そしてなんと! 先月起こった魔物大量発生にてハジー王国を防衛しSランク冒険者となった、王国の英雄にして王国の守り人! 指揮者ツカサ!」
「うぉー」「アニキ!」「アニキ!」「アニキ!」
「……なんか、変なのが増えてるな。まぁいっか……」
「対しては前回の優勝者にして、今大会も優勝候補筆頭! この男にはもはや説明等は不要! 剣聖にもっとも近い男! セイレンデス!」
「「キャー」」「「勝ってください!」」
「「セイレンデスさまぁー!」」
「おぉー、声援の質が違う……俺もイケメン仕様なのに男ばっかりの応援……」
「ツカサ殿。栄えあるSランク冒険者と戦えるとはとても光栄です。ですが、私も剣のみに生き生涯を懸けた者。いかにSランク冒険者とはいえ負けるわけにはいきません。……最初から全力でいきますよ!」
「ああ、セイレンデスさん、あなたの積み上げてきた物が良く見えるよ……俺はあなたのような正当な努力をし、ひた向きに頑張る人は好きだ。……ちゃんと挨拶もしてくれたし。誠実さは大事だよな。……だけど、壁にぶち当たってるのかな? 伸び悩んでいるようだが?」
「!」
「少し指導してやろう。最初から全力で……殺す気でこい!
「なにを……」
「それでは始め!」
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次回は、木曜日に投稿します。




