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第三十七話

 




「カラミの性格についての話です」



「性格?」




「ええ。……どういったらいいでしょうか……本当にはっきりと言いますと……はっきり言いますと……」



「ラメリ、落ち着いて話せ」



「すみません。はっきり言います! ……カラミは師匠の顔、肩書、財産、力のみを見ていて。師匠の内面など見ていません! もちろん師匠がそれに気づいていて、それでもなおカラミが良いというなら問題ありませんが。多分お気付きになっていないと思いまして……」



「……」



「カラミの事を悪く言っているわけではないのです。どのような基準で男性を選ぼうと本人の自由です。顔が良い、力がある者に惹かれる事は自然なことだと思います。ですが、カラミは師匠の事をS()()()()()()()になれる人間としてしか見ていません。将来の稼ぎ、Sランク冒険者の妻と言うステータス、羨望。詰まる所、カラミは師匠の()()()()なのです」



「……」




「もちろん、私は師匠の好みのタイプを聞いたわけではないので、そういう女性でも問題ないと言うかもしれません。ですが、師匠は内面もとても大事にされていませんか?」


「……」




「……師匠がまだ冒険者を始めたばかりの頃。甘い言葉こそあれ、デートなどは誘われなかったのではないですか? それはまだキープ上位ではなかったのでしょう。しかし、Sランクになれるかもしれない強者と思われていたバサシ殿はカラミに声をかけられております」




「!」



「そうでしたな、しつこく食事に誘ってくるので『貴様の様に心が汚いものと飯など食えるか!』と一喝してから誘われなくなりました」




「最初は、バサシ殿の方が強者に見られていたのでしょうね、だからバサシ殿を誘ったのでしょう。ですが徐々に師匠こそSランクに届きうる人物だと気付いてシフトチェンジしたのです。まあバサシ殿にこっぴどく断られたというのもあるでしょうが」




「つまり、カラミは師匠が思っているような女ではないのです! 私がいうのもなんですが、師匠にはもっと相応しい女がいると思います!」





「……」



「いきなり言ってすみません、嬉しそうにしている師匠を見ているとなかなか言い出せなくて……」




「……すまんなラメリ、気付いてやれなくて……」




「え? 気付く?」




「ああ、お前の気持ちにだよ」



「私のですか?」




「お前は俺の事が好きになってしまったんだな? だからそんな嘘をついてまで俺とカラミの仲を引き裂こうと……」




「し、師匠?」



「だが、すまん。俺はお前の事を弟子として、友人として大好きだが、恋人……嫁にしたい。そういう感情ではないんだ。すまん」




「ちっ違いますよ! 私は真実を……!」




「バサシも最近かまってやれなかったから、嘘をついて俺の気を引こうとしているのか? でも心配するな。カラミと結婚してもお前のご主人はいつも俺だから」





「ご主人様。それは嬉しいのですが。そろそろ現実逃避はおやめになって事実を受け止めた方がよいのではないですか?」




「……ああ、こんなにも愛されているとは……嬉しいな。モテる男はつらいぜ……」




「師匠! 現実を受け止めてください!」



「……」



「……それに以前、カラミが依頼人ともめていた事がありましたよね?」



「ああ、見間違えの可能性があるから、すぐには対応できないって言って、結局俺達が行ってAランクの魔物を討伐した奴だよな?」



「それです。確かにあの時のあの対応は間違ってはいませんが。あそこまで頑なに拒否する必要はなかったはずです」



「それはお前の個人的な感情があるからそう感じているだけ……」




「違います。実はあの時忘れ物をしてギルドに戻ったのです。そこでとなりの受付嬢と話しているのをドアの近くで聞きました。私は耳が良いので外でも声が聞こえますから」



『あれくらいの依頼受けてあげたらいいじゃない? 下位ランクの人たちならすぐ依頼できたでしょう?』

『それでもし、また見間違えだったら私の(カラミ)評価が下がるじゃない! 絶対に嫌よ! 私はSランク冒険者の専属受付になってそのまま結婚するんだから』

『また言ってる。でもそのSランク候補のツカサ君は、あの依頼受けていなくなっちゃったじゃない?』


『勘弁してほしいわよ、なにイイ人ぶってんだか。趣味とか言ってないでさっさとSランクになる依頼受けに王都でも隣国でも行ってくればいいのよ、なんであんなクソみたいな依頼受けに行くのかな?』


『……あんたって本当に性格悪いわよね』


『私がSランク冒険者と結婚出来たらそんな事言えなくなるわよ? でもあいつならSランクになれなくても結婚してもいいかも、……だってさっき通信魔道具をくれたのよ? 使い捨てとは言え趣味で作ったからって、すごくない? その技術だけで莫大な財産が……』





「と、話していたのです。師匠はそんな女でも好きですか?」




「でで、ででで、で、でも貴重な、売ったら大金を手に入れられる通信魔道具を使ってまで、救援要請をだして、ま、町を救ったじゃないか? こ、心が優しいからだろ? ラメリの聞き間違いだ! ……そうだよね?」




「命あっての物種です。だから、すぐに使ったのでしょう。それに、趣味程度で造れるならまた造ってもらえばいいだけの話。そもそも結婚してしまえば師匠の全てが手に入るのですから、ケチる必要などないのです。更に言えば。あの一件でカラミは師匠を呼んだ。呼べる絆を築いていたとして昇進してます」



「へぇー出世したんだ。知らなかった、知らなかったけど今知ったから、今日のデートでお祝いしよう! そうしよう!」


「師匠!」



「! ……ラメリ君ちょっと怖いよ。……そろそろ、ドッキリ大成功! とかあってもいいんじゃない? ねぇ? そろそろさ?」



「ご主人様。そんなものありません。これが全て()()()()



「おいー! 言葉に力込めるなよ! もう全部心に届いちゃったじゃねーかよ! どうすんだよこれ! 俺の真実の愛はどこに行っちゃったんだよ!」



「……」



「……で、でも、待てよ? 確かにそれはお前達が感じた事実かもしれんが、もしかしたら、……カラミには何か重大な理由があってそう演じているだけかも……誰かに脅されて……ありえる! この線はありえるぞ!」



()()()()()


「だから! 言葉に力込めるなよ!」



「ご主人様、いい加減……ん? これは?」



「どうした? やっぱりドッキリだったのか?」




「ご主人様……これを、ブフッ」



「なに、盛大に吹き出してんだよ! って! このタイミングで創造神クエスト?!」




 




 



「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひ感想、ブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただけると自分でもビックリするくらいモチベーションが上がります! 



ぜひよろしくお願いします!




クラスター発生の為激務になるので、次回は月曜日二十時までには投稿します。少しだけお待ちください。お願いします。

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