表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/55

第十七話





 「くそ! なんで()()()()()()()なんだよ!」




 そう悪態をつきながら、隣にいる人化状態のバサシをベッドから叩き起こす。犬の状態なら一緒に寝ることにあまり抵抗はないのだが、人化中は絶対に無理だ。




「さすがは創さんの転移ですな、転移させられた事など全くわかりませんでした」



「本当にそうだよ、俺だってめっちゃチート貰ってるのに全く抵抗できねーもん。もちろん抵抗する気なんてないけどさ」



「しかり、所で今回はどのような……」




 すると、もちろん用意してますよ? と言わんばかりにいつもの紙が落ちてきた。



 今回の異世界はズバリ! 



 スキル絶対主義世界! 


 異世界物好きなつーさんならピンと来ると思うけど。スキルのあるなしによって全てが決まってしまう世界です。


 

 んで、主人公はケン・ヒイラギ君。二十五歳。

 ()()というスキルを使って、この世界では絶対にあり得なかった他人のスキルを奪い自分の力に変えるというチートを持ってます。

 


 中二なつーさんなら既にわかってると思いますが()()()()()が出てきます! 良かったね!



 ここの神は、ヒイラギ君の事好きとかはないんだけど()()()()()()のスキルをその罪に見合う人へ貸してあげてる感じなんだよね。だから、その大罪スキルをつーさんがパクっちゃえば出てくるだろうから、そんな感じでよろしく!



 ちなみに、ヒイラギ君は性格悪いからいい子ぶった奴が嫌いっぽいんだ。だから今回はつーさんが今までの主人公達みたいに勧善懲悪して、正義の味方して名声ゲットしたら絶対につーさんを倒しにくるだろうからそこをぼっこぼこにしよう!



 つーさんも異世界ライフ満喫できるからいいでしょ?



 がんばってねー



 追伸


 でもテンポって大事だよね……




「はいはい、了解です。てかさっき日本人は面倒とか言ってた割に追伸で”テンポは大事だよね……”とかさ、はっきり言わないでその意味を察しないといけないような文かいてるじゃん、あんまり時間は掛けるなよってことでしょう? わかりましたよ!」



「はぁー今回はスキル至上主義か……」



「ご主人様、拙者はご主人様の様に中二病ではないのでスキル至上主義の意味がいまいちわからんので教えていただけますか?」



「……その前に俺は中二病じゃねーよ」



「拙者は異世界小説なるものを読んだことはありませんが、中二病とはどういうものか創さんに教えて頂いたので知っているのですよ?」



「ならわかるだろ? 俺は発症してねーよ」




「ご主人様……ご主人様は拙者と何年一緒に暮らしたと思っているのですか? ご主人様が小説を読んだ後、壁に向かって手を伸ばし独り言を言っているのを……」


「! わかった! ……わかったから! もうそれ以上何も言うな! スキル至上主義についてだったな?」


「素晴らし切り替えです」


「どうも、……スキル至上主義ってのは簡単に言えば、生まれ持ったスキルで全てが決まってしまうって感じの世界の事。強いスキルとか、良いスキルを授かっていればそれだけで勝ち組が決定、弱いスキルだったり使い勝手が悪いスキルだと負け組になってしまう。良くも悪くも全てスキル次第って事」



「なるほど、承知しました。ちなみに、拙者達はどのようなスキルを持っているのでしょう? 確認してみますか?」



「そうだな、創ちゃんがヒイラギ君のスキルをパクっちゃえばって言ってたから俺達にも強奪系のは付いていると思うけど」



 バサシ


 所持スキル


 戦士の心得(戦士系のスキルを覚える)

 

 食い逃げの極意(相手のスキルを奪って自分の力にできる)




「はははは、なんだよ食い逃げって? もう少しカッコイイ名前にしてくれたらいいのに。バサシどんまい」


「スキル等関係なく拙者は強いので関係ございません」



「そりゃそうだ、……んじゃ俺も見てみよう」




 ツカサ


 パシリの心得 (人の下に付くことで能力値があがる、パシられればパシられるほどステータス上昇。パシリ系のスキルを覚える)


 ”焼きそばパンダッシュ”人に命じられて行動すると俊敏性が上がる。

 ”ちょっとあいつ呼んで来い”人を呼び出しに行くとき全ステータス上昇。


 お釣りをちょろまかす盗人の極意


 お遣い中お釣りを少しだけちょろまかし、自分の懐に入れる。要するに相手のスキル奪える




「……なんで俺だけこんなスキルなんだよ! 技とか詳細あるし! しかもめっちゃ悪意感じるし! もっとカッコイイ感じに仕上げてくれよ! ……あれか? ちょいちょい創ちゃんの悪口言ってるからそれの仕返しかな?」



「そうかもしれませんな、でもチートマシマシなのは変わりないですし。なんの問題もないでしょう」




「でも、さっき調べたけどこの世界。”鑑定”っていうスキルがあって、それに鑑定されると自分のステータスとかスキル全部バレちゃうんだよ。けっこうレアらしいからそうそう会わないだろうけど、会って鑑定されたらめっちゃ恥ずかしいんだけど」




「先程拙者の()()()()()()()()使って試しましたが、創さん印のスキルの為全く偽装できませんでした。もう諦めてそれでいくしがございませんな」



「マジかよ……てか力込めすぎたよ、今世界が軽く揺れたぞ?」




「……所で、鑑定というスキルがなかった場合どうやってスキルの強弱を調べるのですか? バレないなら黙っておけば良いのではござらんか?」




「誤魔化すなよ? ……まぁいいいけど。……なんか、三歳位になったら三歳児達を一堂に集めて鑑定士に見せるのが当たり前で。どんな所でもそれが普通で孤児であっても調べるんだってよ。だからスキルを調べられていない人間なんていないんだって」



「そこで、上中下で格付けされて腕に刻印をされる。その刻印が上なら勝ち組だし中なら普通、下なら差別込みの負け組。文字通り生まれた瞬間人生が決まるんだと。上級のスキルが進化して最上級になったり中級が上級になったりするらしいが、下級はそれ以上は行かないからもう細々と暮らすしかないそうだ。刻印は刻印士というスキルの人がするから絶対に偽造できないし、万が一したら死罪」



「世知辛いですな、ですが下級と言えど修行し頑張れば底辺からの脱出も可能なのでは?」



「その、努力が実らないのがスキル至上主義の世界の特徴でもあるな。例えば下級のスキル持ちが十年間毎日剣術を練習し努力しても、中級の剣術スキルも持った素振り一回目の女の子にも勝てることはないらしい。正に努力が報われない世界だ」




「つまらん世界ですな……」



「でも、今回は創ちゃんのプランがあるからそれなりに長く滞在しないといけないぞ?」



「わかっております。スキルについてもう少し良いですか?」



「……バサシ、学ぼうとする姿勢は素晴らしが。そんなに覚えてもあんまり使う機会ないだろうし関係ないと思うぞ? トウマ君の世界でも、加護がどうちゃい言ってたがほとんど関係なかっただろ? 物語の中じゃないんだから調べたこと、準備したことが実際使われることなんて稀なんだよ」



「俺が一人で最初に行った異世界なんて、属性とか調べたのに一回も触れることなく終わっちゃったんだから、リアルなんてそんなもんなんだよ」



「さようですか、パシリとは奥が深いですな……」



「パシリが、じゃなくて人生の奥が深いんだよ! だいだい、リアル世界で俺がもし魔王だったら強そうな奴が現れたら速攻で四天王送り込んで強くなる前に瞬殺するよ」



「確かに、敵が強くなるまで待つなど愚の骨頂ですな!」



「そうそう! 愚の骨頂!」



「……ということは、この世界の強者は賢の骨頂ですな」



「なんだよその言葉! 意味わか……」




 俺の異世界ライフはこの後、最大の危機を迎えることになる……

  

 

 

 誤字脱字ありましたらお願いします。


 感想ブックマーク頂ける嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ