第十六話
「でも、勝てちゃうんだもん仕方ない気がするけど……まあいっか……サヨナラ……」
無事トウマ君はやり遂げたな。記憶に関する魔法も完璧だ……後は物語のラストまで付き合って帰るとするか。
その後、トウマ君の魔法によって王城へ転移し魔王討伐の報告をすると即刻世界に向けて発信され世界中が歓喜の渦に包まれた。
トウマパーティーは褒賞として様々な物を提示されたが、自然豊かな場所でほのぼのスローライフを送りたいというトウマ君の願いをかなえるため全て辞退した。本当に欲のない奴だ。
……これで終わりだな、後は言葉通りスローライフを送るだろう、トウマ君達の力があれば困ることもないだろうし、俺が創ちゃんに帰る旨を伝えようとした時
「決めた!」
「「何を?」」
「結婚して子供ができたら、ツカサって名前にして、犬を一頭飼う! 犬の名前はバサシにする」
「なんですか、その珍妙な名前は? また二ホンの名前ですか? ……というか、あなたにはお相手がいないでしょう?」
「あ、そっか。……ズー! 結婚してください! 実はめっちゃ好きでした!」
「急すぎるわ! もう少しいい雰囲気で言ってよね……あなたって人はもう……こちらこそお願いします」
「やった!」
俺達は微笑みながら転移した。
「お疲れー今回も凄く楽しかったよー」
「ツカサさんお疲れ様でした」
ご機嫌の創ちゃんと、先ほど付いてきた神様達の中でも一番偉いであろう神様が出迎えてくれた。
「こっちは天使長、俺の秘書みたいな感じ」
「初めまして、ツカサさんの事はいつも応援しております」
「初めまして、神宮司です。ありがとうございます」
「さてと、じゃあ楽しくなってきたしさっそく次の異世界に行こうか!」
「え!?」
「創さん……さすがに早すぎます、今回は創造神クエスト等こなしてますので、そこら辺の事もお話しないといけませんよ」
「うぇーい」
「……つーさん、今回はどうする? 創造神クエスト成功してるからお願い事一個聞いてあげれるけど? 前回の分のお願い事も含めて二個溜まってるよ?」
「……あー今回のはもう決まってます。バサシを……」
「では、拙者を元の世界でも生き返られるようにしてください。それが創造神クエストでのお願い事とします」
「はいよー……オッケーこれでバサシもつーさんと生き返られるようになったよ」
「おいー! なに勝手に頼んでんだよ!」
「え? だってご主人様そう願おうとしてましたよね? ですから拙者が自分で言ったのですが?」
「そうだけどさ……でもそういうのって俺が言……」
「あーそうでしたな、人間とはそういうものでした。ご主人様が拙者を生き返られるように頼んでそこに感激した拙者がご主人様に感謝の言葉を述べて、いいよいいよ、というやりとりを挟まなければならないのでしたな。すみません。すぐに創さんに言って願いを取り下げさせてもらいます」
「いや! そこまでしなくていいよ! もうお願い事聞いてもらってるしさ、……なんかそんな感じに言われると俺がダメな奴にしか聞こえないし!」
「そうですか、では他に異論はございませんな? 後でグチグチ言わんでくださいね?」
「グチグチってお前本当になんかなあれだよな……もういいけどさ」
「そもそも今回は拙者が、あの世界にて獄炎のイーフとして頑張っていたからこそパーティーメンバーとして入ることができたのですから、そこらへんは感謝してほしいですな」
「わかったよ! ありがと! バサシさん!」
「その感謝の言葉受け取りましょう」
「……どうも」
「いやー人間は、特に日本人は面倒だねーバサシ君の苦労が伺えるよ」
「いえ、このような苦労、ご主人様と一緒に居れる喜びと比べたら些細な事です」
「……」
「そっか、バサシは本当にご主人様思いな犬だな。ところで次の異世界バサシはどうする? もう行かないなら行かないでもいいけど? つーさん一人でいく?」
「一人で……」
「もちろん拙者も同行致します。ご主人様が行かれる所はどこまでもお供します」
「……二人で行きます」
「はいよーんじゃ次行ってみようか!」
そうしていつもの如く俺達は転移した。
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