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第十一話




「「「は?」」」



「トウマ! それはどういう事だ!」



「……えっとガーポさん達とパーティーを組む前は一人でぶらぶらしてたって話したじゃないですか?」



「ああ、一人で気ままに旅していたと言っていたな」



「そうなんですよ、それである時小船で釣りをしてたらいつの間にか寝てて沖に流されてたみたいで……気づいたらこのダーコ? に食われそうになっててですね」



「びっくりしてぶん殴って倒してしまったんですよ。それから一緒に遊んだりする友達になってガーポさん達の居る大陸まで引っ張って貰ったって感じで……だから無害だし、友達なんですよ」



「……それにぶっちゃけ彼を呼んだの俺なんです、この船引っ張って貰えたら早いかなー? とか思っちゃって、念話で声掛けたら予想以上に早く来て皆に話す暇もなかったんです」



「なんか、そんなやばいやつだと思ってなくてすみません!」



「……ははは、そうかお前が呼んだのか! よし! 久々にお前の大好きな勉強をみっちり教えてやろう!」


「流石にびっくりしたから、トウマは当分おやつなしね!」



「ごめんなさいごめんなさい、勉強は勘弁してくださいおやつ抜きもやめて!」



 未だ、現状を理解できない船長達を尻目にトウマ君はメンバーに説教されていた。



 その後やっと戻ってきた船長達に事情を説明し、ダーゴにも船の事をお願いすると喜んで船を引っ張り物凄いスピードで進むのであった。


 

 ちなみに俺が皆との会話の中で何気なく



「海上をここまで速度を出せる生き物は他にはいないでしょうな。素晴らしい速度だ」



 と言うと、バサシは拙者が引っ張った方が早いのに、といじけていたので慰めてやろうと思ったけど犬の姿の時以外はあまり甘やかしくないので完全に無視した。





 それからは、本当に楽勝だった。

 


 魔王の支配域に入って、魔物が襲ってきてもダーゴが全て蹴散らしてくれるし、稀に船に接近できたとしてもトウマ君パーティーが瞬殺、と言った具合でただの船旅と化していた。



 そんな船旅と化してしまった航海は、船長はじめ船員達をダメ人間へと変えていった。


 

 船長最初の頃は、船員の命を預かる身! とかカッコよく言っていたのに今では、船長室にこもりこれまでの激務で溜まっていた読みたい小説を読みふけっており船員達の魔物襲来の報告を


「そんなの、ダーゴさんやトウマ君が瞬殺でしょ? 俺今までの激務で読みたい小説溜まってるからほっといてよ」



「お前たちも今まで忙しかったし、航海に必要な最低限の人数だけ残して休憩回していいよ」



「てか、全員休んでもダーゴさんが勝手に連れてってくれるし問題なさそうだよな?」



「……そうっすね! この機会にがっつり休みましょう! ぶっちゃけ全員で休んでもいいでしょうけど体裁もあるし何人か残しときますね」



「うん、そこらへんの人選は副船長に任せるから魔大陸つきそうになったら呼びに来てね。俺も魔大陸見たことないし見てみたいからさ」




 と、こんな感じの会話を俺の聴覚は捉えていた。マジで船長達は最低限の人間を残して休憩している。その最低限の人間達も甲板で各々好き勝手に過ごしている感じだ。


 まあ、平和に過ごせているしいいんだが。こいつらこれからトウマパーティーがいなくなったら大丈夫か? と心配になってくる。




 そんな心配をよそに航海はとても順調に進み、遠目に魔大陸が見え始めた頃ついに船長が姿を現す。



「つくのはえーな、もうちょっとゆっくり行ってくれたらよかったのに、ダーゴさんも少し気を利かせてくれたらなー」



 そこには、出発前の凛々しい船長はおらずぐうたら人間ができあがっていた。人間が立派になるのは難しいが、腐るのは本当に一瞬だな。と考えさせられ、ある意味勉強になったな。



 と、一人考えているとこれまたダメ人間と化していた副船長が声を掛けてきた。



「皆さん、あちらが魔大陸になっています。そして、今突然現れて物凄い巨体を見せつける魔物は、魔王の支配する海域を任されたクラーケです。どうせ瞬殺されるのでしょうが一応報告しておきますね」




 全く緊張感のない声で、クラーケを紹介した副船長は船員達に声を掛け。誰が何秒でクラーケを倒すか掛けを始めた。



 だが、残念ながらその掛けが成立する前にクラーケは細切れになる。



「すみません、僕イカが大好きで、あんなデカいの初めでだったので興奮して飛び出してしまいました。お詫びに沢山持ってきたのでみんなで食べましょう」


 

 そう言って、細切れになったクラーケ改めイカ刺しを船員達に渡した。最早ビックリすることもなくなった船員達は喜び勇んでイカ刺しに食いつきみんなで腹一杯食べた。




 結局なんの苦労もなく魔大陸に着いたが、俺自身初めてこんなに長く船に乗っていたのでとても楽しく良い思い出になった。



 別れ際、船長達はトウマパーティーがいなくなることを思い出し世界が終わったような顔をしてたのは笑える。


 だけど、優しいトウマ君はダーゴに言って船長達が無事港に着くまで引き続き引っ張ってあげるよう頼んでいる。それを聞いた船長達は休暇が更に伸びた! と大はしゃぎ。


 今後こいつらがしっかりと仕事ができるのか一抹の不安はあるがもうどうでもいいので気にしない。



 絶対にこの船に戻ってきてくださいね! と何度も言う船長達を見送り俺達は遂に魔大陸に上陸した。ちなみに、トウマ君の魔法で一度行った所は行けるらしいので帰りの船はいらないらしい。


 


 誤字脱字ありましたらお願いします。


 感想ブックマーク頂ける嬉しいです。


操作ミスで十二時に投稿できませんでした。

 すみません。


明日も昼前後に投稿したいと思います。




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