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エンドラン  作者: きと
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第四話 一つ目の町

*この話は、作者が中学時代の頃に小説というモノを知らぬまま書き上げた小説を大幅に加筆修正した小説です。

*この話を元にした(リメイク小説)『結末は分岐しだい』と読み比べてほしいためだけに、公開しています。

*話の本筋はラスト以外変えていませんので、不思議なことも多々発生します。


*このお話の彼らがいてのリメイク版があるので、広い心で読んでいただけると嬉しいです。

*誤字脱字等ありましたら、お知らせください。





   第四話 一つ目の町



 エンドランへと向かう二人は、国際空港へと来ていた。

「なんで飛行機に乗るのさ。ここからいけるじゃないの?」

 説明もなく案内された場所に、訑灸は疑問を口にする。

「いや、いけない」

「ないって…!」

「キレんなよ! 今はここじゃなくて、別の大陸にあるって聞いた」

「?」

 彼の話によると、一年ごとにエンドランは移動しているらしい。

 瞬間移動(テレポート)能力スペアを持っている強力な術者がエンドランを移動させて、存在する場所をあやふやにしているそうだ。

「じゃあ、今はどこにあるんだ?」

「知らないよ」

 笑顔で答えた友人を見て、溜息をついた。

「じゃあ、一からエンドランを探さなくちゃいけないんだな?」

「だな! がんばろーぜ?」

「俺は知らない」

 一から目的地を探すことになった訑灸の表情は、すでに諦めモードだ。

「……仕方ない。しゅう、行こう」

「木更のためだから、なー?」

 二人は機内へ乗り込んだ。

「只今より、離陸します。お客様は、シートベルトを着用してください」

「さぁ、出発!」

「……はぁ」

 そして飛行機は、一つ目の国へと旅立つ。


 二時間の飛行を終えた二人は、目的の国へと降り立った。

 その国は、とても明るくどこを見渡しても街の人間で活気づいている。

 二時間の飛行で、強力な睡魔に襲われている訑灸が口を開いた。

「で、ここのどこにあるんだ?」

 それを聞いたしゅうは異常なほど明るい声で話し始めた。

「それが! ここにはないんだよ! ただ、知り合いがいるから寄っただけ」

「ないって」

 一瞬にして眠気の覚めた訑灸は、自由すぎる友人にため息を吐いた。

「案内頼んだ」

「もう少し興味持ってもいいと思うんだけどなぁ」

 そして、二人はしゅうの知り合いを訪ねるため歩き始める。

「ところでしゅう」

「ん?」

「お前の知り合いってどんな奴?」

「見てのお楽しみかな」

 曖昧な返事を笑顔で返され、訑灸は小さくため息を吐く。この旅、本当に大丈夫なのだろうか。


 二十分後。

 二人は一軒の店の前に立っている。店名の書かれた看板はあるが、異国語のため読むことはできない。

「よしっ、入ろう」

 そういって迷わず中へ入っていくしゅう。

 友人の行動から間違いなくこの店なのだろうが、今までのことを思うと不安が勝り入店を渋ってしまう。しかし無情にも、痺れを切らし戻ってきた彼の手により、入店することになった。

「いっや~、久しぶりですね、タイラさん」

「おー、しゅうじゃねぇ~か。元気か?」

 そこには、見た感じ三十前後の若々しい男性が立っていた。

「ほら木更。自己紹介!」

「えっ、あー。木更訑灸です。よろしく」

 突然振られ、とりあえず簡単な挨拶をする。

「で、お前とタイラの関係は?」

 初対面でタイラを呼び捨てにした友人へ、しゅうが慌てて、

「いや、呼び捨てはダメだろ!?」

 訂正する。だが本人は、理解できず不思議そうな表情だ。

「あっはは、気にするなしゅう。活きのいい子供ガキじゃんか」

 子供ガキという言葉に秒で反応した青年。すぐさま文句を言おうとしたが、それよりも早くしゅうが口を開いた。

「僕とタイラさんは、僕の親と友達だったんだ。で、僕らと同じ能力者だよ。タイムだったと思う」

「タイム?」

 不思議そうな顔をして、能力を復唱する。

「うん、意味はそのままで時間を操ることができるんだ」

「なるほど?」

 能力に興味を持っている訑灸を見たタイラは、声を掛けた。

「訑灸って言ったな? そんなに知りてぇんなら、地下に行けよ。そこに詳しく書いてあるぞ。それにいろんな能力の本もあるしな」

「まじか。ありがとうございます」

 嬉しそうな表情を浮かべた彼は地下へ行く道を聞くと、あっという間に行ってしまった。

 それを見届けた二人は、目つきが変わる。

「で、本題に入るけど、なんですかタイラさん」

「まっ、そー難しそうな顔をするな。お前らの旅に連れてってほしい奴がいるんだよ」

「連れてってほしい奴?」

 そう訊ねるとタイラは頷き、一人の少年を連れてきた。

「こいつは、春風すばる。能力者で、年齢(とし)は十歳だ。すばる、自己紹介は?」

「春風すばるです。よろしくお願いします」

 すばるはそういうと満面の笑みで自己紹介。その笑顔はしゅうに効果抜群のかわいさで、座り込んで震えている。

「しゅうぃ~、あそぼ~」

「まっ、話という話は、そんくらいだし。遊んでやれ」

 もちろんですとも! そういって、しゅうとすばるは遊ぶために移動したのだった。


「へ~、そんなんだ~」

 訑灸は今、地下の一部屋に来ていた。タイラが集めたいろんな本をひたすら読んでいる。百冊ほどの本が並んでいるが、すでに半分の五十冊は読み終えていた。

 まず常人ではありえないほどの速さで読み進め、内容も忘れていない。隠れた才能である。

「あと三十冊くらい? ちょっと休憩」

 本を床におき、体を解すため背伸びをする。そして、どこか遠くを見て、思わず漏れる溜め息。

「……続き、読むか」

 小休憩もそこそこに、途中まで読んでいた本を手に取ると、再度ページを開いて続きを読み始めた。

 一時間後。

 そこにあった約百冊の本はすべて読みつくされ、立ち上がって背伸びをしている訑灸の姿があった。

 約二時間で百冊の本を読み終えている。一冊にかかる時間は約一分から二分。

 本といっても厚みが薄いものが多く、読めないことはないが普通の人なら早くても一冊に五分から六分はかかるだろう。

 満足した青年は、深く息を吸い込むと部屋から出て行った。


 地上では、残された三人で人生ゲームをやっていた。しかも、ただの人生ゲームではない。妙にリアリティーが溢れている。例えば、殺人鬼に殺されゲーム終了や町内会のくじで国外旅行が当たり五回休みなど。

 成人した二人は良しとして、また十歳のすばるにそれをさせるのは教育上の問題を考えるが、持ち出してきたのがその少年なのだ。問題以前の話である。

 ちょうどその時、地下から戻ってきた訑灸が姿を見せ、声を掛けようと口を開いた。

「おい…」

「ちょっとまった~」

 しかし、しゅうの叫びにそれは遮られた。

 突然のことに口を開いたまま動きは止まる。そして、数秒後。我に返り、叫んだ友人へ声を掛けた。

「なにやってんだ?」

「よっ、木更おかえり! ちょっと聞けよ~」

 右手を挙げ出迎えたしゅうは、やれやれと口を開く。

「人生ゲームやってんだよ。そしたら殺人鬼に殺され、ゲーム終了。それってあんまりだよな?」

(……ん? 人生ゲームってのは、もっとフランクなすごろくゲームで、そんなコマはなかったはずだけど?)

 思わず口に出そうとしたが、なんとか留まった。

「ところで、その子供は?」

 すばるを見て、知らない少年について訊ねる。しゅうがすばるも顔を見合わせ、それから訑灸へ説明するため口を開いた。

「この子は春風すばる。一緒に旅するよ」

「ふ~ん。って、は?」

「いや、は? じゃなくて、旅、するんだよ」

 その説明があまりにも簡単すぎたため、タイラが呆れながら補足する。

「こいつも能力者でな。親が殺され一人だった時に拾ったんだ。だから、ここに置いといたんだが、しゅうから旅に出るって聞いてな。それなら、こいつもと思って」

「なるほど。しゅうがいいんなら、別に構わない。で、すばるの能力は?」

「やっぱり聞いてきたか。すばるも俺と同じタイムだ」

「えっ?」

 声を上げたのは訊ねた本人ではなく、しゅうだった。

「だからか」

 友人の意外な返答にしゅうは混乱している。

「いや、タイラといいすばるといい実年齢に比べてさほど見た目が変わんねぇだろ。だから、タイムは自分の成長スピードを遅くすることがないんだ」

 真意を知ったしゅうは、ただ感心する。能力歴は長いが、その知識は正直浅い。

「今日は、遅せぇし、うちに泊まってけよ? 部屋もいくつか空いてるし」

「ありがとうございます、タイラさん。宿代が浮くな」

 感謝を伝え、鼻歌を歌いながらしゅうは部屋を出て行った。

 それを見届けたあと、訑灸はすばるに目線を合わせ笑顔を見せた。

「これからよろしくな。俺は木更訑灸」

 タイラの自己紹介とは全く別の声。

 それを聞いたすばるは笑顔で頷くと、訑灸を連れて部屋を出て行った。

 一人残されたタイラは、呟いた。

「あいつは悪魔だ……」

 そして、不気味に笑うと部屋を出て行った。



第四話です。


裏話1 タイラは本当は別の名前だったけど、書き間違えて途中からタイラに変わっていたのでその名前になった人です。タイラは、別小説のキャラの名前だったんだ。こいつも結局名前変わったけど(笑)。


この話を書きながら、こんな展開だったのか―、サクッと進んでんなーと思っていたのはここだけの秘密です。全体的にサクッと進んでるけど。文字数の違いに笑う。


それでは、また次回よろしくお願いします!




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