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エンドラン  作者: きと
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第二話 今後の予定

*この話は、作者が中学時代の頃に小説というモノを知らぬまま書き上げた小説を大幅に加筆修正した小説です。

*この話を元にした(リメイク小説)『結末は分岐しだい』と読み比べてほしいためだけに、公開しています。

*話の本筋はラスト以外変えていませんので、不思議なことも多々発生します。


*このお話の彼らがいてのリメイク版があるので、広い心で読んでいただけると嬉しいです。

*誤字脱字等ありましたら、お知らせください。





   第二話 今後の予定



 朝、空は雲一つなく晴れ晴れしている。つまり、快晴。そこには、天気と正反対の空気をまとった青年が立っていた。

「はぁ、やっぱり聞くんじゃなかった。しゅうの奴、こういうことは黙っとくもんだろ」

 一人ブルーになっている青年……訑灸だ。昨日、自分の能力のことを全て聞いてから、ずっとこの状態である。

「だから言ったろ。聞かないほうがいいって」

「なっ! ……お前のせいだ」

「なにが?」

「……」

「……くそっ。で、今後の予定ってなんだよ」

 訑灸は今後の予定を話すからと言われ、彼に呼び出されていたのだ。

「うん、そのことなんだけど……」

 しゅうは一度間を置き、続けた。

「昨日説明の中でさぁ、都市の話をしたろ?」

「……なんだっけ? えっーとあれだよな? ほら、うん…あれだ!」

「……長くなりそうだから話すけど、【エンドラン】残された最後の地って覚えてない?」

 今まで唸っていた彼はその言葉を聞いて思い出し、満面の笑みを浮かべる。

「それそれ! 単純な名前だよなー」

「それを忘れてた奴がいうセリフじゃないけど!?」

 適当な相槌で感想を漏らす男に、しゅうはすかさずツッコミを入れる。しかし、これがこの男の通常運転なのだ。しゅうは気を取り直し、話を続けた。

「で、そのエンドランへこれから行こうと思うんだけど、けっこう遠いし行っても罠がかなりあるから

、木更の能力がコントロールできるようにしようと思うんだけど、いいよな?」

「……」

「ん? おーい、木更聞いてる?」

「聞いてるよ。けっこう遠いってのはわかるんだけど……」

「だけど?」

「罠ってのは? なぜわざわざ仕掛ける必要がある」

 普段よりいくばか冷静な訑灸に少し驚いていたしゅうだが、説明しないと納得のいかない目をしているため面倒臭そうに話し始めた。

「罠があるのは一般人への対策で、本当にここへ来ても問題がないか実力をはかるため、だったような気がする」

「するってなんだよ、するって」

 曖昧な説明に顔をしかめる訑灸に対し、楽しそうな声が返ってくる。

「だって~、二、三回しか行ってないのに、わかんな~い」

「あーもう、いいや。だんだん腹立ってきた。さっさとコントロールするための練習しようぜ。話も終わっただろ?」

 返事も待たず、訑灸はどこかへ歩き始める。そして、突然歩き始めた友人を追うためしゅうも足を動かした。


 ーーガラガラガラ

 ドアが開く音が響き、二つの人影が中へ侵入する。影の一つが不思議そうに声を出した。

「なぁ、木更く~ん。この場所って使ってもよい場所なのかなぁー?」

「今更なに、くん付けしてんだしゅう。ここは誰も使ってないからいいだよ」

「いや、そーゆう意味じゃなくて……って、ムダ?」

 訑灸としゅう……二人は街外れの廃れた工場に来ていた。案内人の話によると、ここは今使われていない工場で、彼の大切なサボり場所であり人が訪ねてきたことはないらしい。

「で、どうすればコントロールできるんだ?」

「うん。木更の能力は一番厄介なヤツだって話したろ?」

「だな」

 自分の能力について覚えている訑灸は、素直に返事をする。

「お前の能力は別の人格が存在したタイプでさ。これがまた厄介なことに、ほとんどいなくて実際に会うのは初めてなんだよ。まぁ、これはおいといて、木更の場合はもう一人の人格が、見た感じ正反対みたいなんだよね。って、聞いてる?」

 訑灸はどうもこの話が嫌いらしく、すでに耳を塞いでいた。

 それを見たしゅうは呆れ、これからの先行きに不安を感じ、深いため息を吐いた。そして、彼には結論のみを伝えた方が早い判断し、前置きを省き要件だけを伝える。

「まっ、よーするに、トレーニング方法がないってわけね!」

「はぁ?」

 トレーニングすると言われてここまで来たのに、これを聞かされ黙っているわけがない。更に、日頃の恨みというモノもプラスされ、訑灸の怒りは最高潮に達した。

「おい、しゅう。お前俺のことナメてるだろ? トレーニング方法がねぇのにトレーニングしようなんて話を持ち出すバカがどこにいる!」

「ここにいる」

 おちゃらけて答える友人。

「殴るよ?」

「ダメだろ。それに人の話は最後まで聞きなさい!」

「へっ?」

 最高潮だった怒りも、友人の一言でグーンと下がり、間の抜けた顔になっていった。

「だっかっらー、これやってみって言おうとしたら、木更が怒り始めて……言い損ねたの! 自分のせいだろ!」

「なんだよ。そーゆーことならもっと早く言えよなー」

 調子のよくなった青年が友人の肩を叩く。いや正しくは殴ったという方がいいだろう。

「っ! いってぇーな」

「悪い悪い。で、言いたいことって?」

「憶測だけど、もう一人の奴は自分の中に住んでると思うんだよね」

「へー、そうなんだ」

「……。あのさ、自分のことなんだから、もう少し興味持ちなよ」

 適当な返事を返す友人に、しゅうは改めて不安を抱く。

「まぁ、いいや。で、そのもう一人の奴とは、話せると思うんだ。ココで」

 そういうとしゅうは、訑灸の胸を指した。

「ココって?」

「……」

 わかりません! と、表情で訴える友人に彼は頭を抱えた。

「あのなぁ、心でって言いたいの僕は。わかる? 木更が想えばいいんだよ、もう一人の奴に。そしたら、もしかすると返事が返ってくるかも、って……!」

 話途中で目の前の男はすでに実行していた。目を閉じ、深呼吸をしながら集中している。それを見たしゅうは溜息をついた。

(こいつに説明した僕が悪かったのか? そもそも人の話は最後まで聞けよ)

 自由な友人の行動に、うっかり文句が出るのも仕方ない。その時、急に彼の目が開いた。そして一言。

「俺って天才ぃ~! すごくね、すごくねぇ、しゅう!」

「なっ、なんだよ急に。本気マジでビビった」

 開口一番、嬉しそうな声を上げるその男。しゅうは本当に驚いている。

「で、なにが天才的なんだ?」

「もちろん、もう一人の俺に決まってんじゃん」

「は?」

「あれさぁ、思った以上に簡単で。だいたいわかった。いや~、話せるって楽だね~」

『おい、ちょっと待って。あの短時間でほぼ聞き出したのか?』と質問しようとしたが、あえて口にはしなかった。理由? 話が長くなりそうだからてある。

「それで、なにを聞いたんだ? 簡潔に述べろ」

「ん。まず、俺の意思で話せるのは間違いないんだよね。それと好きに交代できるらしい。体への負担も少ないって言ってたし。で、昨日の公園は俺の感情が高ぶってたからだって。俺の感情や気分次第でいろいろできるってさ」

「まっ、よーするに、お前で決まるってことだな?」

「そーゆーこと」

 簡潔ではなかったが、訑灸の話を聞いたしゅうは内心驚いていた。覚醒直後に能力とのシンクロ率がここまで高い人は見たことがない。それに、訑灸のような特殊ケースは、ここまで高めるためにそれなりの訓練が必要だというのに、なにもせず二日でマスターしている。これは驚きを通り越し、衝撃案件だ。

「じゃあ、トラップを抜けるためのトレーニングは簡単に済ませていいな?」

「しゅうがそれでいいのなら」

 そして、トレーニングは開始された。


「いいか? まずはここに置いてあるドラム缶を全部壊しちゃってー」

「全部って、かる~く二十個はあるけど。んな明るい声されても……、なぁ?」

「いいからとっとと始めろぉ!」

 友人のスパルタ宣言に、なんて無茶苦茶なと訑灸は遠くを見る。目の前に広がる二十五個のドラム缶。壊すためにドラム缶の方へ歩きながら、もう一人の自分へ問いかけた。

「力を貸してくれ。すぐに終わるから…たぶん……」

 それを聞いた内なる存在は力を開放する。姿は変えず、彼の持つ力の一部を訑灸へ渡す形だ。力を借りて運動能力値が通常の三倍近く上昇した状態では、全てを破壊することは造作もなくあっという間に片付けた。その時間、三分もかからない。

「まじか。これ全部、俺?」

「そうさ、見りゃわかるだろう」

 興奮する青年に苦笑いしながら答えるしゅう。しかし実際は、予想以上の速さでクリアした彼の力に不安を感じていた。

「まっ、そんくらいできるならいいか。でもさ、能力を使わないでそれくらいできたら嬉「無理」最後まで、言わせてよ」

 友人のいいたいことをすぐに理解した訑灸は否定を被せる。

「でも、一応能力なしでも動けるようになった方がいいから、能力なしで特訓な」

 能力者としての先輩である彼の一言で、能力を使わない修行をやることになった訑灸。面倒臭そうな顔である。

 そして、彼らの修行は始まった。




第二話、いかがでしたか?

好き放題している彼ら、しかしどこか、淡々としてる彼ら。時間の経過はたぶん適当です。遥か昔のこと過ぎて覚えておりませぬ。


ちなみに、最近は書くなら一人称小説が好きです。この話は三人称だったので、修正がとても大変で……余談。


それでは、ここまでお付き合いありがとうございました。次回もよろしくお願いします!



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