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エンドラン  作者: きと
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第一話 目覚めた者

*この話は、作者が中学時代の頃に小説というモノを知らぬまま書き上げた小説を大幅に加筆修正した小説です。

*この話を元にした(リメイク小説)『結末は分岐しだい』と読み比べてほしいためだけに、公開しています。

*話の本筋はラスト以外変えていませんので、不思議なことも多々発生します。


*このお話の彼らがいてのリメイク版があるので、広い心で読んでいただけると嬉しいです。

*誤字脱字等ありましたら、お知らせください。





 この世界には、特殊能力【スペア】が存在する。


 産まれた時に、一人一つの【スペア】を授かっていた。


 だが、ほとんどの人間は、自分の能力に目覚めることなく死んでいく。


 そして、目覚めた者たちは、特別な縛りもなく普通に暮らしていた。


 ただ一つ、他の者達と違うことはあった。


 それは、目覚めた【スペア】の持ち主は、人間の成長する速さから逸脱し極端に遅くなることで、寿命が延びるということ。


 だから、目覚めた者たちは、一つの場所を目指して旅へ出る。


 深い迷路のような森の中に存在する都市へ。


 目覚めた者たちは、その場所をこう呼んだ。


 『残された最後の地“エンドラン”』とーー……



   第一話 目覚めた者



 とある週末の賑わう商店街。そこに青年たちの姿があった。

 一人は、黄色く染められた髪を無造作に跳ねさせ、頭上には触覚のような束が一つ伸びている。彼の名は木更訑灸きさらたく。少々単純な思考の持ち主で、物事に対して深くは考えない。マイペースな男である。

「しゅ~う!」

「なに、大声で呼ばなくても聞こえてるよ」

 冷静に答えたのは二人目の青年。ウニのように跳ねさせて、青く染めた髪をセンター分けしている彼は、時野(ときの)しゅう。家庭の事情が複雑で【スペア】に目覚めている者。見た目は高校生だが、歳は二十歳らしい。

「これからどうする? ゲーセン行っても金ねぇーし」

「じゃあ公園でも行くか?」

「はぁ?」

 笑顔で答えたしゅうに対して、気の抜けた返事する。その表情は、不本意そのものだ。

「はぁ? じゃなくて、こ・う・え・ん。わかる? 公園だよ」

「いや、そのくらいわかるって。なんで公園なんだよ」

「能力者の勘? な~んか、ヤな感じがするんだよね」

 大抵の能力者は五感も鋭いが、第六感と呼ばれるモノも鋭くなっている。そのため、ちょっとした空気の変化に気付いてしまうのだ。

 二人は新たな目的地も思い付かず、そのまま公園へ向かうことになった。

 そこで人生が大きく変わることも知らずに……。


 十五分ほど歩いた先に、その公園はあった。ベンチへ腰かけた彼らは、しばし無言の時を過ごす。

 が、一つの叫び声が敷地内に響き渡り、すぐに終わりを迎えた。

「わ、私の…娘が……どうして…」

「黙れ。このガキが悪ぃんだ。あはははは」

 そこには、血だらけの子供を抱えこみ嗚咽を漏らす母親と銃を右手に持ち気味の悪い声をあげる男の姿がある。彼らが駆けつけた時にはもう、子供の息は絶えているようだった。

「なっ、なんだよこれ」

「殺人現場じゃない?」

 日常とは不釣り合いの現場に動揺している訑灸に、見たままの状況を答える。

 そして彼は、男の方へ歩き始めた。

「おい、一人で倒そうとしてんじゃねぇだろうな」

 訑灸は歩いていく友人へ呟いた。

「僕たち能力者はこういう時の為に、いるんだ、よっ」

 瞬きをした一瞬の隙に、彼の姿がその場から消える。

「えっ……」

 刹那、間髪入れず男は倒れ、そこには消えた青年が無表情で立っていた。

「しゅう…お前……」

「大丈夫、こいつ死んでないし。気絶してるだけだから」

「いや、そうじゃなくて」

「ん?」

 訑灸は倒された男より、彼が先ほど見せた動きに興味があるようだ。

「あー、さっきの?」

 そう訊ね返せば、顔が縦に動く。その姿に一度、面倒臭そうな顔をするが、答えなければ余計にややこしくなると判断し説明を始めた。

「あれが僕の能力。僕の場合は【スピード】」

「ふ~ん。特殊能力ってそんな感じなのか?」

「……まぁ、それは置いといて。実はこれで終わりじゃないんだよね」

 談笑している間、銃を持った複数の人間が彼らの周りを囲んでいた。

「おいおい。これはなんだよ」

「さっきの仲間?」

「テキトーすぎるだろ」

 それと同時に何発かの銃声が響いた。その内の数発は先ほどの女性にあたりその場に倒れ込んでいる。それに気付いた無力の青年は、今までに感じたことのない怒りが沸き起こり、ぼそりと呟いた。

「なんで、こんなことができんだよ」

「あ?」

 銃を持っている人間の一人が彼にガンを飛ばす。

「なんでこんなことができんのかっていってんだよ!」

 訑灸の怒号と同時に、身体が光に包まれた。

「こんなことで覚醒するか、普通……」

 今まで彼が立っていた場所には、似て非なる者が立っている。抑えきれない殺気を放ちながら、その者はこう言った。

「あんたらに、俺の気持ちがわかってたまるか」

「なっ!」

 しゅうの言葉と共に、囲んでいた複数の人間はその場へ倒れる。十秒もしないうちに全ての敵を倒した非なる者は、またあの光に包まれ訑灸へと戻っていった。

「おーい、木更ぁー。生きてる?」

 しゅうが離れた友人へ届くよう大きな声で状態を確認する。しかし、彼はゆっくり倒れながら首を振り否定を示すと、そのまま意識を失ったのだった。


「ん…、ここは?」

 生活用品がきっちりと揃えられている部屋に訑灸は寝ていた。気絶している間に誰かが運んでくれていたようだ。誰かと言えば、一人しかいないが。

「よっ! 起きたんだ。ここは、僕ん家だよー」

「……しゅう、お前って家あったんだ」

「ん~、どーゆー意味かな、それって」

 少し機嫌が悪くなった家主に対し、彼はトドメをさす。

「てっきり野宿してるのかと思った」

 満面の笑みで言われたことにより、いよいよしゅうは音を立てて崩れた。

「……話は戻るけど。木更、身体は大丈夫か?」

 常識はずれの友人に、なんとか立ち直ったしゅうが口を開く。

「うん。……なんで?」

「いや、大抵の奴は能力が目覚めた後、二、三日は動けないんだ。特にお前みたいな奴は」

「俺みたいなやつ?」

 訑灸は自分の能力を把握していないので、どういうことなのかさっぱりわからない。

 言い出した男の顔は険しく、口を開こうとはしなかった。

「どーゆー意味だよ! 教えてくれたっていいだろ」

「うーん、どうなっても知らないよ?」

「おー、俺は構わない」

 言葉の意味を分かってない訑灸に対し、躊躇いつつ能力のことについて話し始めた。

この小説は、学生の頃に書いた小説を加筆修正したものです。

はじめはリメイクした小説のみ投稿予定でしたが、あまりにも話が違ったことと勢いだけで書いてる感じが面白すぎたので、どこまで改変されてるか共有したく投稿してみました!


キャラクターも設定もかなり修正したので、だいぶ読みやすくなったと思います。

ぜひ、初代の彼らも楽しんでいただけると嬉しいです!





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