弟3話 放課後
放課後
俺は新木さんに勉強を教えるため、図書室に向かっていた。
「し、翔太!」
後ろから聞き覚えのある少女の声がきこえた。
振り返ってみると案の定、紗穂がいた。
俺たちは違うクラスだから、会う機会は無いから放課後に声を掛けてきたのだろう。
「...」
しかしもう関わらないと決めたので紗穂を無視して歩き出す。
「ちょ、ちょっと!なに無視してんのよ!早く帰るわよ。」
そう言って腕を引っ張ってくる。
「はぁ... おい、紗穂、もう俺に関わるなと
言ったはずだが?」
思わずため息が出る。
「か、関わるなってどういう意味よ!」
「そのままの意味だ。もう関わるな。
それに俺は、今からクラスメイトに勉強を教えるから帰らない」
「く、クラスメイトってだ、だれよ?
ま、まさか女子じゃないでしょうね?」
「教える義理はないんだけどな。まぁ、教えてやるよ。新木さんだよ」
「な、なんで陽菜に教えるのよ!教える必要ないでしょ!陽菜は頭良いんだし」
「今回のテスト、自信が無いから教えてって言われたんだよ。それに俺が誰と勉強しようと勝手だろ」
「勝手じゃないわよ!お、幼馴染の許可なく誰かに
教えようなんて許さないんだから!」
何を言ってるんだこいつは...
「お前の許可なんていらん。幼馴染だからってなんで許可がいるんだ?恋人でもないのに」
「...っ」
正論を言われたようで急に黙り出した。
そろそろ行かないと待たせてしまってるかもしれない。
「じゃあな、もう関わるなよ」
俺はそう言って走って図書室に向かった。
紗穂はその場で、立ちすくんだ状態で何も言わなかった。
♢ ♢ ♢
図書室に着いた俺は見渡すように新木さんを探した。
図書室の端っこに向かい合うような4つの席があり奥の方に座って勉強をしている新木さんをみつけた。
「すまん、待たせたな」
「ううん、大丈夫だよ、教えて貰うんだから。
よろしくね」
♢ ♢ ♢
勉強が終わった。
「今日は、教えてくれてありがとね!」
「俺も復習できたし、気にすんな、そろそろ帰るか。」
時計を見ると時刻は5時半頃、学校にいる 生徒も少なくなってきて日も暮れてきた。
「うん、そうだね...あっ、せっかくだし一緒に帰ろうよ!」
「えっ、まじか…?」
「え…須田くん、もしかして嫌だった?」
上目遣いで捨てられた子犬のような目でみてくる。可愛いすぎんだろ、やめてくれ…反則だろ。
「ま、まぁいいけどよ...」
「うん!じゃあ帰ろっか!」
そう言ってパァァと笑顔輝かせる。
さっきの表情はどこえやら...
そして新木さんと一緒に帰ってると周りから多数の殺気やら敵意を感じる…
新木さんと一緒に帰りたくなかった理由はこれなんだよな〜…。
そんな事を考えていると新木さんが
「須田くん、どうしたの?気難しい顔して」
…と声を掛けてきた。
新木さんといると殺意を感じて居心地が悪いとも言えるわけもなく…
「なんでもないよ...」
と答えた。
「そう、ならいいんだけど…」
なんか気を使わせてしまったな。
新木さんといる事が原因だけど…
「そう言えば新木さんの家ってどの辺なの?」
「あっちょっと待ってね」
そう言いバッグからスマホ取り出して
地図が書かれたスマホを見せてきた。
「この辺だよ〜」
「そうなんだ、俺とは少し離れてるな」
「須田くんはどの辺りなの?」
「俺はこの辺だ」
「確かに少し離れてるね。じゃあ途中までしか
一緒帰れないね…」
そう言い少し表情が暗くなった。なんだ?
そういえばだけどこういうのは男が女を家に送って行くのが正しい気がする。
「新木さん、家まで送っていくよ」
「えっ!?いいよ須田くんの帰りが遅くなっちゃって迷惑掛けちゃうよ!」
「いや、大丈夫だ。女の子1人で帰らせたら危険だからな。それだったら一緒に帰る。新木さん可愛いからな、余程危ない」
「かっ…かわっ」
なんか新木さんが顔を赤くし始めた。
なんか悪いこと言ったか?
「…もうっ、そういうとこだよ須田くん...」
声が小さくてよく聞こえなかった。
「なんて言ったんだ?」
「ううん、なんでもないよ〜、えへへ〜じゃあ早く帰ろっか!もう暗くなってきたし」
「そうだな」
♢ ♢ ♢
そんなこんなで新木さんの家についた。
「もう着いちゃたんだ…… ここが私の家だよ!
送ってくれてありがとうね」
「おう、気にすんな、じゃあ俺は帰るわ」
「……あっ、ちょっと待って、須田くん!今度の土曜日 何か予定ない?」
今週こ土曜日は確か何も無かったよな……
「特には無いぞ」
「……そうなんだ〜 ……じゃ、じゃあ…良かったら一緒にデート行かない……?」
「デ、デート?」
デートとは恋人同士が行うあれか?!
「うん、勉強教えて貰ったお礼だけど、須田くんが良ければ……」
と、頬を赤らめながら言った。
なんだお礼か……
「わ、分かった……」
これはお礼。何かあるわけではない。別に期待してたわけじゃないぞ?勘違いしてはならない。
「じゃ、じゃあ土曜日の9時に駅でいいかな?」
笑顔でそう言ってきた。とてもカワイイ
「おう、いいぞ」
「じゃあ、土曜日によろしくね!じゃあ、バイバイ!」
「じゃあ、またな」
そう言って俺たちは別れた。
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