嫌な相手には、なぜか何度も会う
『理不尽な威嚇』のワタシと、『顔が好きで、付き合ったけど』のカップルが再登場します。
何かのジンクスなの?
神様の悪戯なの?
べつに、ワタシは何も悪いことしてないからいいんだけど。
さっき、
雑貨屋でめちゃくちゃ睨んできた、
あのカップルと、
まさかの
ランチで同じ店。
さっきの出来事を思い返し、
変な不安がワタシに立ち込めてくる。
何も悪いことしてないのにな。
そんなこと考えてたら、
胸の奥が、
どよーんと、してきて、
居心地が悪くなってきた。
トマトソース系のパスタを注文して、
しばらく待っていた。
「あたし、やっぱりドリアにする。でも、パスタも食べたいから、少しリョウくんちょうだい」
にこりと、
可愛らしく笑んで見せてた。
あぁ言う態度って、
男は、好きなのかしら?
ワタシは2人のやりとりを、
悪趣味と、思われても、
気になってしまってるから、
思わず聞き耳立ててた。
「え? シェアすんの? オレ、べつにドリア食べたくないし。一口食べさせてとか、オレ、そう言うのやなんだよね? 口汚れりゃ、拭けばいいじゃん?」
男性の言葉に、
なぜか、ワタシは、
胸の中で、ガッツポーズとった。
よく言った!
と。
褒め称えた。
「えー! 半分こしよーよ」
「結局、パスタ食いたいんじゃん? だったら、最初から頼なよ? わけないよ。さっきも言ったけど、オレ、ドリア食べたくないし」
膨れっ面した彼女に、
一向にひかない彼氏。
彼氏、ガンバレ!
心の中で、エールを送ってた。
「えー! じゃ、もういい。あたし、帰る」
彼女は、席を立ち、ブランドのバックを肩にかけ、スタスタと歩き出した。
なに、あれ。
わがままも、度がすぎない?
彼氏は、怒ってるのか、追いかけもしない。
店員さんがきて、男性がパスタをオーダーした。
「お連れのお客様は?」
「あ、帰ったんでいいです」
爽やかな笑みを見せて、
男性が答えてた。
しばらくすると、
男性がスマホをいじり始めた。
そうして、
操作を終えて、テーブルにスマホを置くと、
はぁーっ。
と、大きなため息吐いてた。
きっと、
彼女からメッセージ来たんだろうなと、ワタシは勝手に推測。
すると、
男性が席を立ち、レジに向かった。
「すみません。急用できたので、食事代支払うのでお願いします」
男性は、食事代を支払い、店を出て行った。
彼女の呼び出しくらったのかな?
2人が去り、
ワタシのテーブルには、トマトソースのパスタが来た。
湯気だった酸味のあるトマトソースの香りが、
食欲そそらせていた。
そうして、
居心地は、もう悪くなくなってた。
お読みいただき、ありがとうございました。
『理不尽な威嚇』に続いた、ワタシさんと街で会ったカップルのお話は、これでおしまいです。
また、次作投稿で、ご興味ございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。