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第7章:カミノス

〜 南極点・大穴 〜


穴の淵に立つのは崩れそうでためらったが、軽く底をのぞいてみる。

やはりかなりの深さだ。穴自体の大きさも直径500mくらいある。

あの時見た夢では、たぶん東京タワーやスカイツリーの高さより深い穴のはずだ。


さて、どうする? ロッククライミングでもするか?

いえ、建物があるはずです。氷で埋まっていなければ

たぶん、方角的には、あっちです


2人は穴の淵を歩いていく。15分くらい歩いたところで翔吾さんが雪の丸いドーム型の人工物を見つけてくれた。

建物の、雪で埋まった時に天井から出入りする扉らしかった。バーナーで雪を溶かし、ハッチを回してみると結構簡単に中に入ることができた。



〜 破棄された研究施設 〜


ハシゴを降りた先は、ブロックユニットを連結して組み合わせたような、宇宙船の内部のような構造になっていた。

翔吾さんがGPSを受信モードから発進モードにして床に置く。

ヘルメットを外し一息つく。


こりゃあ使われなくなって相当年月が経ってんな…

どこかの国の研究施設でしょうか?

電源は入ってないな。どこかに発電機と燃料が残ってれば良いが


懐中電灯の灯りを頼りに奥へと進んで行く。

研究棟、居住棟を順に抜け、倉庫の前にたどり着いた。

中にディーゼル発電機と燃料のドラム缶が複数個残されているのを見つける。


いいぞ、俺たちは神様に愛されてる!

…複雑な気分だ

? なんか言ったか?

いえ、なにも

発電機に燃料を入れて電源を入れてみてくれ。俺は暖房機を点検してくる

はい。気をつけてください!

おぅ、すぐ戻る


発電機は問題無く起動してくれた。消えていた灯りが点灯する。

この燃料の量なら一週間くらいは大丈夫だろう。

翔吾さんが暖房機を起動して戻ってきたので少し休憩を取った。

食事にしようと言うので、軍用の携帯食料をもらう。

食べ物があることがありがたかった。

空佐はちゃんと計算して物資を用意してくれていたんだ。


…この軍用食は何回食っても慣れないな

そうですか? 結構いけますよこれ

おまえって民間人の割にたくましいよな。いっそ隊に入れよ

それ米崎さんにも言われました、隊に入ればいいって

米崎さんか…。無事に帰れたら、ちゃんと挨拶にいかねーと…

…そうですね、俺ももう一度会いたいです

などと話していると、突然翔吾さんが人の気配に気付いた。


…、だれだ?! だれかいるのか!

拳銃を構え走りだしていく。その後に続いた。


研究棟の方だ、白い影が動いた。気をつけろ


研究棟の奥は電気が付いていなかった。懐中電灯を再び付け周囲を探る。

ノートのようなものを見つけた。研究日誌…か?

タイトルは、「PROJECT NOA」…


雄二、この扉…

どうしました?

さっきは気付かなかったが、見つけた

地獄への入り口だ


扉の奥のユニットは、大きなエレベーターホールになっていた。



〜 巨大エレベーター 〜


エレベーターを点検すると、まだ充分動きそうだった。

荷物を集めエレベーターに積む。


さっきの翔吾さんの見た影が気になったが、ひとまず下に降りることにした。 上にいても仕方がない。


翔吾さんが言うには、GPSの信号を探知して、

三郷空佐が迎えにきてくれる手筈にはなっているらしい。


が、それはまだまだ時間がかかるだろう。下に降りよう

…はい

雄二、ここまではこれた。かなり無茶だったと思うが、この先はさらに命の保証は無い。というか、もう命は無いと思え

それでも行くか?

翔吾さんは仇を打つために、俺はいろんなことに決着をつけるために、

あの輸送機に乗った時に、覚悟は決まっています

行くしかない


そうだな、行こう


エレベーターのボタンを押すと、凍りついていたローラーが氷を噛み砕き、音を出して下り始めた。



〜 エレベーターシャフト 〜


エレベーターはかなりゆったりとした速度で降下している。

降り始めて30分は経過しただろう。もうかなり深く潜った筈だ。

さっき見つけた研究日誌を翔吾さんに見せた。


ノア プロジェクト… ? 英語か。俺は苦手だ

おまえ読めるか?

なんとか、単語くらいなら…

地球…、精神、アクセス、

南極、ヘルツ、場所

合格者…


あとは、数字の羅列ですね、これを書いた人は

、…!!

? どうした?

Nobuteru Sakaki…… これは、ゆいちゃんと同じ苗字だ

父親…か。黒幕が誰か、掴めてきたな


……雄二、ゆっくりと、後ろを向け、ゆっくりだ

…? え?

幽霊、だ……


後ろを見ると、白い少女がこちらを見ていた。



〜 白い少女 〜


もう、大概のことには驚かなくなってきたな……

翔吾さんがそうつぶやき、銃を取り出し構えた。


少女が宙に浮いていて、こちらをじっと見ている。


翔吾さんが見た影って、この子…ですか?

たぶんそうだ…


少女は黙っていたが、やがてこちらに手を向けた。


う、動くな!!

翔吾さんの警告も虚しく、少女の手から強烈な閃光が放たれ視界を奪われる。


ぐわ!!!


そして、二人は意識を失った。



〜 最後の夢、始まりの夢 〜


また、夢を見た。

これまでとは違う、過去の夢。


俺は制服を着ている。この制服は中学の時の制服だ。


学校から家に帰り、家の扉をあけようとすると、近くで何かが割れる音と、

続けて女の人の悲鳴が聞こえてきた。


とっさに走ってその悲鳴の聞こえた家に向かう。


扉が開いていて、中を覗くと、女性と、赤ちゃんが血だらけで床に倒れ、

包丁を持った男が立っていた。


俺は恐怖で身体が硬直し、その場から動けなくなる。

男は俺に気付き、そして……


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