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第三話

今年最後の投稿!

「君のその力があれば、ここから逃げることが出来るはずだよ。お願い。一緒に逃げよう!」


 慶吾が女の子に言葉をかける。しかしその女の子は、


「そんなこと出来るなら、もうやってますよ。そんなことも分からないんですか?」


 そんな酷い言葉を女の子の口から放たれた。


「え、うん。まぁ、そうだけど……」

“ぷぷぷ。マスター面白すぎです。少しは考えて下さいよ”


 キュアは慶吾の頭の中で爆笑してくる。それに恥ずかしくなり慶吾は顔を真っ赤にして顔を伏せた。

 しかし、これじゃあ逃げることが出来ない。どうしたものかと考えていると、キュアがアドバイスをくれた。


“マスター。あの女の子の手首に付いてるものを見て下さい”

(あの、ブレスレットがどうかした?)


 女の子の手首には、凄い綺麗な装飾が付いたブレスレットが付いていた。


“あのブレスレットが女の子の莫大な魔力を封じているんです”

(って事は、あのブレスレットを外すことが出来れば逃げることが出来るのか。まて、あれってどうやって外すんだ?)

“解呪の魔法が必要です。それも、ものすごく熟練度の高い解呪の魔法です”

(そんなの、待ってないんだか?)

“もう一つありますが、マスターでは絶対に出来ないものです。聞きます?”

(一応聞く)

“あの女の子の魔力よりも多い魔力をあのブレスレットに注いで強制的に外す方法です。マスターはあの女の子の三分の一程度なので無理です”


 詰んだ。慶吾の旅は今日で終わって奴隷になって一生を終える。慶吾は絶望的な状況に死にそうな顔になっていた。


“マスター。そんな絶望しないで下さい。まだ、希望はあります!”

(え、そうなの?)

“はい。マスターはまだ、あのブレスレットを付けられてません。なので、自身を魔力で強化して、マスターがあの女の子を連れて逃げるんです。あの女の子は近接戦闘も出来ますから。マスターは女の子と一緒に走りながら道案内をして下さい。あの女の子は魔法で強化したマスターよりも早くて強いですから、心配は要りません!”

(ものすごく、嫌なんだけど。俺が主導権握ってるの苦手だわー)

“まぁまぁ、そう言わずに女の子に提案してみて下さい”

(分かったよ)


 再び女の子に声をかけた。


「えっと、悪いんだけど、一緒に逃げません?」

「は? さっきも言いましたよね? 逃げれるなら逃げてますよ」

「それって、道が分かんないとか、そのブレスレットのせいだったり、武器がない。そんな理由でしょ?」

「なっ、なんで分かったんですか?」

「えっと、俺の能力だな」

「そうですか。分かりました。貴方の提案に乗りましょう。このまま奴隷になるのは御免ですから」

「そうと決まれば逃げるだけだな。武器はこれを使ってくれ」


 女の子に渡したのは、慶吾がこっちの世界に来るときに女神様から貰ったサバイバルキットのナイフだ。


「何これ、キモ」

「ん? え? きもい? 酷くね?」

「見ただけでなんとなくの性能が分かるから。なんか、性能がキモすぎて、それしか言葉が出ない」

「褒めてる?」

「褒めてる」


 女の子はそれを興味深そうにみている。


「で、戦いは君に任せて、俺はこの森を抜ける道案内をしたいと思ってるんだが、それでいいか?」

「問題ないですよ。では、行きましょうか」


 そう言って、女の子は手足を拘束していた鎖を力ずくで壊した。


「まじかよ。道さえ分かってれば一人で脱出できたんだな」

「まぁね。私方向音痴なのよ。だから一人で逃げられないのよ」

「そうですか、そうですか。では、早速道案内しますか」


 慶吾は魔法で、自身を強化した。村に着くまでにせめてその魔法だけは出来た方がいいとキュアに色々と習っていた。


「よし、俺はこれでいいな。えっと、君の名前って何?」

「人に名前を尋ねる時は自分から言うのが礼儀でしょ?」

「あ、はい。俺は慶吾って名前の旅人だ」

「け、い、ご? 変わった名前ね。私は、デビルマース・ファントよ。みんなからはデルって呼ばれてるは」

「な、なんか凄い名前だな。強そう」

「な、人の名前になんて失礼な人。まぁ、良いわ。さっさと行きましょう」


 慶吾とデルの森からの脱出が始まる。

良いお年を!!

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