第十七話
「え、嘘。ほんと?」
「はい。本当です。シュート様の本名は……」
「ちょっと待った!」
キナさんの話を遮り中に入って来たのはシュートだった。
「ちょっと、何僕の秘密喋ろうとしてるんですか!? 後で僕からびっくりさせたかったのに」
「そ、それは、大変申し訳ございませんでした! 私、どう責任を取ったらよろしいでしょうか……。あぁ、ご主人様にそんな事を聞くのも申し訳ございません。只今、自害してまいります!!」
「え、ちょっと、何勝手に決めてんの!? ちょっと、行くなって、足早! おい、待っててー!!」
その部屋には、俺とデルが取り残された。
「どうしよう」
「待ってましょうか?」
(どうしよう?)
“私なら、道案内出来ますよ”
(それだと、誰だ!? 捕らえろ! とかなりそうだから、パスで)
“そうですね。では、待ってましょう”
(そうなるのか)
待っている事30分。
「はぁ、はぁ、お待たせ、しました」
「大変、だったな」
「あはは、いいメイドなんですけどね」
そして、キナさんの道案内で食堂に到着した。
「ここです。では、ごゆっくり」
キナさんがドアを開ける。
「やぁ、いらっしゃい」
「さ、席に座って」
優しい感じの男性と女性が待っていた。
「お父様、お母様、紹介します。僕の命の恩人のケイゴさんとデルさんです」
「貴方達が、シュートを魔物から助けてくれたんですね。この度は本当にありがとうございます」
「儂からも礼を言う。ありがとう」
「頭をあげて下さい。お礼はきちんと受け取りましたから。ご飯が冷めてしまいますよ」
それでも、頭を上げてくれない2人に俺とデルは大変困った。
「お父様、お母様。ケイゴさんが困ってますから。頭を上げて下さい」
「本当に感謝してるんだ。これぐらいしないと、気が収まらん」
「そうね」
そして、やっと席に着いた俺たちは、朝食を食べ始めた。
「頂きます」
目の前にあるのは、朝には重すぎない料理達だった。パンにサラダそしてスープ。これが、一国の王達の食事だと思うと、いい国だと本当に思えた。
全員が食べ終えたのを見計らって俺はさっきから気になっていた質問を投げかけた。
「さっき、シュートの専属メイドのキナさんが言ってたんですけど、シュートってこの国の第一王子です何ですか? ってことは、お二人はこの国の王様と、王妃様何ですか?」
三人は、少し微笑んでから答えた。