第十一話
夜投稿。許して
俺たちはギルドを出て、宿探しを始めた。
「おじちゃん。この辺でオススメの宿屋って知ってるか?」
俺は露店で何かの肉を焼いているおじちゃんに聞いてみた。
「何も買わない奴に、教えてやるものか」
「んじゃ、それ二つくれ」
「銅貨三枚だ」
魔法の袋からお金を出した。
「ありがとさん。えっと、オススメの宿屋か。俺はここに住んでるから宿屋なんて使わないからよく分からないが、冒険者達がこぞって行く宿屋があったな。名前が確か、「あや亭」って言ったかな?」
「ありがとう、おじちゃん。デル、行こっか」
そして、俺たちは日が暮れるまで探し続けた。
「見つからないね」
「早く休みたいのに。なんでだよ」
「あ、ケイゴ。あそこ宿屋じゃないかな?」
「あ、ほんとだ。行ってみようか」
扉を開けて中に入ると、眠そうにあくびをしてる女性が立っていた。
「ふわぁ〜、あ、い、いらっしゃいませ〜」
「えっと、ここは宿屋でいいですか?」
「はい。「あゆ亭」にようこそ」
「え、あゆ亭? あの、あや亭ってこの街にありますか?」
「無いですよ」
そこで俺たちは、無い宿屋を探してあることに気づいた。
「あの、くそおやじ。やりやがったな」
「デル、口が悪くなってるよ」
「あはは、聞き間違いをそのまま教えられて来た方ですね」
「まぁ、そうですね。で、今泊まれますか?」
その人は手元にある紙を見て、少し悩んでいた。
「えっと、申し訳ないんですが、一部屋しか空いてなくて、それも一人用のベッドしか空いてないんですけど」
隣のデルをチラッと見ると、デルは俯いていて顔が見えなかった。流石に男女で同じ部屋は駄目だろと思い、違う宿屋にしようと思い、断ろうとした。
「そう、ですか。じゃあ違う宿屋に「ここでいいわ!」」
「はい。分かりました!」
デルは、俺の言葉を遮って被せて来た。
「ちょっとデル、なんで⁉︎」
「一部屋で済むならそれで越したことはないでしょう?」
「いや、そうだけど」
「銅貨四枚頂きます」
銅貨四枚を渡して鍵を貰った。
「部屋は階段を上がった右側にあります。ご飯は朝と夜だけ出してます。お風呂は無いです。身体を拭きたいなら、タオルと水桶は貸し出してます。裏のところに井戸があるのでそこで水を汲んでお使いください。使い終わったらそこの棚に置いておいてください。以上です。あ、壁は薄いので静かにお願いしますね」
「わ、分かりました」
部屋に入り、さっきの事をデルに聞いてみた。
「さっき言ったじゃない。お金の節約よ」
「そ、そっか。じゃ、俺は床で寝るからお前はベッド使えよ」
「それは駄目! ケイゴがベッド使って私が床で寝る」
「いやいや。俺が床で寝るよ」
「駄目! じゃあ、一緒に寝る!」
「へ? いやいや、それはもっと駄目でしょ」
「いいから、来る」
「ま、待って。う、うわっ」
「これでいい」
俺をベッドの中に押し込み、デルも横に入って来た。
「こうすれば、万事解決」
その後俺は、一睡もすることが出来ずに朝を迎えた。




