第九話
「これがエルダー王国か」
中に入りまず目に付いたのが、途轍もなく立派な城だった。まだ、王都じゃないのに、こんな立派な城がある事にものすごく驚いていた。
「おおー。すげー。りっぱー」
「ちょっとケイゴ。語彙力がだだ下がりだよ。確かに凄い高くて立派で綺麗だけど。ほら、早く行きましょう。ってか、どこに向かってるの?」
「そうだな。冒険者だったらお金稼ぎながら旅出来るんじゃないか?」
“それが得策だと思いますよ”
「キュアもそれがいいだろうだって」
「じゃ、ギルドに行きましょう」
ギルドには色んな人たちに聞いてたどり着いた。みんな優しい人達で良かった。
「よし。入るぞ」
中に入ると、冒険者の人たちはあまり見えなかった。クエストにみんな行ってるのかな? そんな疑問を抱えながら受付に向かった。
「ようこそ。クエスト依頼ですか? それとも、登録ですか?」
「あ、えっと、登録です」
そこに居たのは、茶色の髪に黒い目をした、女性だった。そして、俺が最初に口籠ったのは頭に生やした猫耳のせいだった。
「登録ですね。えっと、お二人で宜しいですか?」
「はい。お願いします」
「では、この紙の※が書かれているところをお願いします」
俺はそこで思い出した。
(あれ? 俺って文字書けたっけ? よし、一旦日本語で書いてみよう)
そして、日本語で名前を書いてみると、
「あの。これなんて読むんですか?」
「す、すみません。気にしないで下さい」
「ちょっと何してるの?」
「ご、ごめん。あ、デルは文字書ける?」
「えぇ、もちろんよ。何ケイゴって文字書けないの?」
「うっ、そ、そうです」
「しょうがないわね。私が書いてあげるわ」
そう言うと、スラスラと俺の名前などを書いていった。
「これでいい?」
「はい。ありがとうございます。では、こちらの紙は預からせていただきますね。カードを発行するまで時間が掛かりますので、冒険者の説明をさせて頂きます」
受付の人が張り切ってそう言うと、キュアがこんなことを言い出した。
“私がいるので聞いても意味ないですよ。と言うか、あの人でも知らないような規則まで知っていますから、本当に無駄ですよ”
(あ、えっと、まぁ、この人の仕事を奪わないであげて。ほら、デルは知らないかもしれないし、ね)
“デル様は……そうですね。しょうがないですね。デル様のためにここは聞いてあげますか”
キュアはムッとし感じで受付嬢の話を聞いてる俺の事を邪魔してきていた。
王都じゃないのにこんなに大きい場所を作って良いものなのか?




