表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/18

プロローグ

今まで書きたかった自由な旅を主人公に送ってもらいます。この作品のテーマはスローなので、ゆっくりと楽しんで下さい。

 俺は、カルブ会社に勤めている鈴木慶吾(けいご)だ。


「おはようございまーす」


 朝、先輩が出勤してきた。


「慶吾くーん。俺の仕事はちゃんとやってるかい?」


 何故先輩がそんな事を言うのかというと、俺はブラック企業に就職してしまった。幾度もやめようとは思ったが、辞表を持っていくと、門前払いされてしまうのだ。そして、五年の月日が流れてしまった。


 俺は昨日から、いや、忘れたがもっと前から家には帰っていない。


「は、はい。これ、先輩が今日の午前中までにやる仕事です」

「お、サンキュー」


 それからも、先輩や上司、同期や後輩が出勤しては、同じような会話を繰り返していた。


 そして、お昼頃になり昼休憩に入ろうとした時、立ち上がった瞬間目の前が真っ暗に染まり、意識が消えた。





 そして、慶吾は意識が覚醒した。


「ここは、どこだ?」


 そこは、何もない真っ白な空間だった。地面もなくふわふわと浮いている。


『ここは、時空の狭間です』


 何処からか女性の声がした。


「時空の狭間? 何を言っているんだ? ここは地球じゃないのか!? てか、お前は誰だ!!」


 俺は、パニック状態に陥り、何も考えられなくなった。


『そんなパニック状態では、私の話は聞き入れてくれないでしょう。少し待っていますので、ゆっくりとこの現状を飲み込んでください』


 そう言って、女性の声は聞こえなくなった。その間も俺は、ブツブツと何が起こっているのかを理解しようとしていた。


「ここが、時空の狭間? 俺は死んだのか? ここは地球じゃない。そうだ、俺は死んだんだ」


 そして、数時間後やっと立ち直った。


『落ち着いたようですね』


 それを見ていたそいつは再び現れた。


「あの、君は誰ですか?」

『私は女神です』

「女神、女神か〜。てことは、女神様ってお呼びした方がよろしいですか?」

『呼びやすい名前で良いですよ』

「それでは、女神様。俺は死んだんですか?」

『はい。貴方は過労死で死んでしまいました』

「……そう、ですか」


 俺はそこでやっと死んだ事実を飲み込んだ。


「それで、俺はこれからどうなるのですか? 天国か、地獄に行くのでしょうか?」

『天国は存在しませんし、地獄には行きません』

「では、どうするんですか?」

『貴方には、異世界に行ってもらいます』

「異世界、ですか」


 俺はその言葉に少しの高揚感を感じていた。俺はオタクだったので、某小説アプリやサイトで異世界転生、転移系の小説をいくつも読んでいたのだ。


『もちろん、ただで行かせるつもりはありません。貴方の願いを五つ叶えましょう』

「五つですか!?」


 俺は、その量にびっくりした。せいぜい二つぐらいかなぁ、と思っていたからだ。


『時間はたっぷりあるので、考えまくってください』


 それから、何日、何ヶ月、何年経ったかわからなかったが、決まった。


「女神様。決まりました」

『待ちくたびれました。一体何十年待ったと思うんですか!?』

「え? そんなに待ったんですか?」

『そうですよ! 二十年までは数えましたよ! それ以上は数えてません!』


 女神様の声は少し怒っているようだ。


「すみません。これからの人生に大切なものを考えていたので」

『そうですか。で、何にしたんですか?』

「はい。えっとそれの前に、その世界には魔法と剣があるんですよね?」

『はい、その通りです』

「奴隷もいるんですよね?」

『はい』

「では、[強い部類の戦いが出来る奴隷を買えるお金][地球産の壊れず錆びないサバイバルキット][自己修復、自己消臭、自己洗浄付きの服][少し多めの魔力][Q&A]の五つをお願いします」

『はーい』


 女神様はそう言って指を振る。すると、俺の身体を色々な光が包み込む。俺は、目の前でそれが起きているのに眩しさは微塵も感じなかった。それどころか、暖かさを感じていた。


『これで、貴方の願いは叶いました。おまけで健康な肉体と言語理解も付けましたので、有効活用してください』

「女神様。ありがとうございました!」

『では、そろそろ旅立ちの時です。異世界でいい人生であることを上から見守っています』


 女神様はその言葉と同時に、俺を異世界へ飛ばした。





 俺は、草原の中心に転移させられたようだ。なんたって、見渡す限り、緑の大地なのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ