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不協和音  作者: 冷蔵庫
3/5

ななみ編

この物語はフィクションです

ゆきのが目の前で倒れている。

真っ赤な路地裏を、静寂が包んでいた。


「まりなに続いてゆきのまで殺すなんて、やるじゃない」


いきなり耳元で声がした。

いつの間に…!


「誰だ!」


僕はそう叫んだつもりだった。

しかし、声が出ない。


「まあ、ゆきのは私たち音操(サウンドルーラー)の中でも最弱だけどね」


続けて、謎の女はそう言った。

音操(サウンドルーラー)?私たち?コイツは何を言っているんだ?


僕が何も理解できずにいると、彼女は静かにゆきのが倒れている方へと歩いていった。

そして、ゆっくりと僕に会釈をすると、再び口を開く。


「私はななみ。私の演奏記号(のうりょく)mute(ミュート)


理解がとても追い付かない。

とにかく、こいつはまりなやゆきのの事を知っている。

生かしておく訳にはいかない!


僕は手に持っていた銃を彼女に向け…ん?

銃が、ない。

まあいい、ならば拳で…!


彼女に向かって走り出そうとした時、足に激痛が走った。

僕は足に目を移す。血が、溢れていた。力が入らず、膝をついてしまう。


撃た…れた…?


「ごめんね」


彼女の声が聞こえて、思わず顔を上げる。

ななみと名乗るその女の手には、さっきまで僕が持っていたはずの銃が握られていた。


「言ったでしょ。私の演奏記号(のうりょく)mute(ミュート)。君の声や銃声を奪ったのは、私」


そういえば、未だに声が出ない。

足を撃たれていたのも、痛みだけが気付かせてくれた。


よく考えてみれば、いくら人気のない路地裏だったとは言え、あれだけの銃声が響けば誰かしらが気付くだろう。

まりなの時だってそうだ。あそこは病室だ。まりなが倒れた音は病室の外まで響くのが普通だろう。


…誰かが気付いてもおかしくなかったはずなんだ。

そうならなかったのも、きっとコイツの仕業なんだろう。


「ゆきのの演奏記号(のうりょく)loop(ループ)。だから彼女が許す限り、君は死を繰り返した」


僕は無意識に唾を飲み込んだ。

音操(サウンドルーラー)とかいう連中は皆、演奏記号(のうりょく)を持っているというのか…?


「それじゃあ、まりなは?」


僕が声を出すのは許されたようだ。


「まりなの演奏記号(のうりょく)arrange(アレンジ)。君を君じゃなくさせたのは、彼女」


確かにそうだ。あれは僕であって僕ではない。

安堵の気持ちと共に怒りが湧いてくる。


「じゃあお前らは何故、僕を苦しめようとするんだ?」


一番気になっていた事を聞いてみる。


「そのうち分かるよ、まさゆき」


まさゆき…それが僕の名前なのか…?

そういえば、僕は自分の事をあまり覚えていない。


「ようやく気付いた?君は記憶を無くしているの。そして、それは私たちにとっては好都合」


また理解が追い付かなくなる。

僕は誰なんだ…?僕は過去に何をしたと言うんだ…?

何より、好都合という言葉が引っかかる。

僕は、音操(サウンドルーラー)に恐れられる何かを持っていたのかもしれない。


「それ以上の詮索はやめた方がいい」


彼女の言葉が聞こえると同時に、再び足に激痛が走る。

また、撃たれたのだ。


「私はゆきのとは違うの。だから、この銃弾は君を殺すこともできる」


そう言うと、彼女は僕の頭に銃口を向ける。


気付けばまた、声が出なくなっていた。

僕は涙を流しながら、必死に首を振る。


待ってくれ。僕は、死にたくない。


死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくな…


「死ね」


彼女は無慈悲にそう言い放つと、引き金を引いた。

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