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従姉妹のセクシーハラスメントに耐えられない!

作者: 暮影司

俺は健斗。

健全な男子高校生だ。


東京の高校に進学が決まり、マナ姉が借りているマンションに住まわせてもらうことになった。


マナ姉は実の姉ではなく、従姉妹の女子大生である。

小さい頃から兄妹同然で育てられ、一緒にお風呂に入ったりもしていたので異性として見たことはない。


高校から東京に行ってしまったマナ姉には4年ぶりに会ったのだが、小学生のとき以来に見たマナ姉は妙に色っぽく見えて困っている。


「けんちゃ~ん、起きた~?」


今は昨日の夜に引っ越してきた初日の朝だ。

高校生にもなって、けんちゃんと呼ばれるのは恥ずかしいが、俺もマナ姉はマナ姉としか呼ぶ気がしない。

まぁ、そういうものだろう。


俺は制服に着替えて、リビング兼ダイニングに向かう。


「けんちゃ~ん、朝ごはんよ~」


俺は朝は食べないタイプだ。


「いいよ、別に」

「ん、もう。朝からヌイちゃ~ダメよ?」


なんでだろう、朝ごはんを食べないっていう意味に聞こえない。

まぁ、俺の考え過ぎだろう。

起き抜けにマナ姉の胸元の大きく開いたちょっとセクシーなパジャマ姿を見たせいかもしれない。

っていうか、そんな姿で朝ごはんを作るなよ。

自分が美人女子大生だという自覚があるのだろうか?

今年、大学のミスコンで優勝したと聞いている。


「わかったよ、食べるよ」


俺はダイニングテーブルの席についた。

従姉妹がわざわざ作ってくれたものを食べないわけにはいかない。


朝ごはんは、ソーセージといなり寿司か。

って、組み合わせ無茶苦茶だな!

そして何故ソーセージの端にいなり寿司をくっつけて盛り付けたんですかねえ……。


「いただきます」


作ってもらった料理に文句をいうわけにもいかないので、有り難く食べる。


「ンッ、ンッ……プハッ」


今のはマナ姉がソーセージを食べる音です。


「マナ姉さぁ、なんで髪を耳の上にかき上げながらソーセージ食べるの?」

「あ、つい」


全然答えになってねえ。

どうも何か変なんだよなあ。

俺の考え過ぎなのだろうか?


「……マナ姉さぁ、なんでいなり寿司を舌でコロコロしてるの?」

「あ、ごめんごめん、つい」


だから、ついって何だよ。

つい、パンパンに膨らんだいなり寿司を優しく手で持ち上げて、転がすように舌で舐め上げたの?

妙に潤んだ瞳で?


オカシイ。

絶対オカシイ。


「けんちゃん、高校は部活決めたの?」

「あ、あぁ野球続けるつもりだよ」


よかった、会話は普通の家庭っぽい。


「そうなのね~、お姉ちゃんは高校の時ソフト部だったのよ?」

「え? ソフトボールやってたの?」

「ううん、ソフトSM部」

「んな部活あるわけねえだろ!」


全然よくなかった、普通の会話じゃねえ。


「これでも全国行って、ベスト8だったのよ?」

「この国にそんな学校が8校もあってたまるか!?」

「そこに表彰楯飾ってあるけど」

「あんのかよ!?」


リボンで亀甲縛りされているセーラー服の女の子を白い線だけで表現したデザインの楯だった。

良く出来たデザインだな!

デザイナーに謝れ!


「けんちゃんも縛られたかったら言ってね?」

「結構です!」

「じゃあ縛りたい方か~、優しくね?」

「どっちでもねえよ!」


すげー疲れる。

俺は気を取り直すべく、冷蔵庫から牛乳を取り出した。


「でもね、大学ではまだ何もやってないの。お姉ちゃん、Eスポーツ初めてみようかと思って」


唐突だな。

この家にはパソコンもゲーム機もないのに。

格闘ゲームでも始めるのかと思いながら俺は牛乳を啜った。

するとマナ姉は突然パジャマの胸元をはだけさせた。


ブゥーーー!


俺は盛大に牛乳を吹いた。


「なぜいきなり胸を出すの!?」

「Eカップのスポーツブラ、見てもらおうと思って」

「Eスポーツってそういう意味だったの!?」

「本当はFカップなんだけどね?」

「聞いてませんけど!?」


全く、なんなんだこの人は。

マナ姉はどうしちゃったの?

東京という都市がそうさせたの?


「ン、も~。こんなにいっぱい……」


Fカップの胸元に俺の吹いた牛乳がいっぱいかかっていた。

思ったよりいっぱい吹き出してしまったようだ。


「ちゃんと、出すなら出すって言ってからにしてよね?」

「ブッかけるつもりでしたんじゃありません!? ごめんなさいね!?」

「……ぺろり」

「指で牛乳を拭って舐めないでください!」

「……ごっくん」

「ごっくんって言うほど濃くないですよねえ!?」


ぜーはー。

もう俺は朝からツッコミすぎて疲れた。


「けんちゃん、朝から激し過ぎ……」


激しいのはツッコミのことだろうが、言い方がわざとらしい。

はぁ、そろそろ学校に向かおう。

俺はカバンを持って立ち上がった。


「あ、けんちゃん、放課後スーパーのお買い物手伝ってね?」

「うん、わかった」


さすがに外出時は普通だと信じたい。


*******


放課後、最寄りのスーパーにやってきた。

学校帰りなので、学生服のままだ。


「ごめんね~、卵がお一人様1パックなの~」


よくあるよな、そういうの。

なんか普通の家族って感じで安心するよ。


スーパーに入り、鶏肉のパックを選ぶマナ姉。


「今日は親子丼にしようと思って。親子丼好き?」

「うん、好きだな」

「よかった~。 私のお母さんのことも好き?」

「なんでそこで叔母さんの話になるんですかねえ!?」


叔母さんは親父の妹で39歳だったか。

まだ若く見えるが――いや、今は全く関係のない話だ。

マナ姉が突然関係の無い話をしたと信じたい。

それはそれでアレだとしても。


「私に娘はまだ生まれてないよ?」

「知ってるよ!!」


アレじゃなかったみたい。

これは今どきの女子大生ジョークなのだろうか?

それともマナ姉が特殊なのだろうか?

どっちでも嫌だ……。


レジに並ぶ俺たち。

レジ打ちは随分と若い女の子のようだ。

俺と同じで高校生かもしれない。


「卵が、あっ、お客様、こちら3パックですが、お一人様1パックまでとなっておりまして」


あたふたと説明するレジの女の子。

マナ姉のせいで困らせてしまったじゃないか。

うっかり屋さんだなあ。


「すみません、もう一人いるんです……」


お腹を擦りながら俺の方を見て、頬を赤らめるマナ姉。


ハァー!?

何言ってんのこの人!?

微塵もお腹が出てませんけど?

見事なまでに出るとこ出てて、へっこんでるとこへっこんでますけど?


「あっ、えーっ? 高校生なのにスゴイですね、お父さん」


誰がお父さんだ!?


「ぴっ」


卵3パック買えちゃったよ!?

親指を立ててニッコリとするマナ姉。

ってサムズアップのつもりなら、親指を人差し指と中指の間から出すんじゃねえ!

後ろに並んでるオバさんがドン引きしてんだろうが!


*******


一緒に帰宅した俺とマナ姉。


「お風呂にする? ご飯にする? それとも……」


それとも何だ、もう言ってみろっつの。

ワ・タ・シなんて恥ずかしくて言えないよね、普通。


「セッ」

「やっぱり言わないで下さい!」


恥ずかしいのは俺の方であった。

マナ姉は恥ずかしいという感情があるかどうかがもはや疑わしい。


「全部作ってもらうのも悪いし、米くらい砥げるからさ、先にお風呂入ったら?」

「先、シャワー浴びてこいよ……ってことね、さすがけんちゃん」


そんな言い方してません。


――20分後。


「けんちゃ~ん、バスタオルとって~」


リビングに居る俺に風呂場のマナ姉が呼びかける。


んなわけねえだろ?

風呂場の前にパウダールームがあるのだ。

こっちにバスタオルを置いていくわけがない。


「間違えてバスタオルを冷蔵庫に入れちゃって~」

「なんでだよ!?」


がぱっ

入ってるよ~、ビールの下にバスタオルがあるよ~。

嘘だと信じたかったよ~。


仕方がないので、手に取る。

冷え冷えっすわ。


さて、これを素直に持っていくのは非常に危険な気がする。

っていうかもう完全に罠だと思う。


直接渡すのはやめて、浴室のドアの前に置いてから声をかけよう。

俺はパウダールームに入った。


って、なんで風呂のドアが透明なガラスなんだよっ!?

ここはラブホテルかっ!

行ったこと無いけど。


「あー! こっちまで入ってくるなんてエッチね~」


絶対俺は悪くねえと思う!

俺は見ないようにしながら、バスタオルを放り投げた。


「ほら、これ使えよ、俺は出ていくから」

「あら、それバスタオルじゃなくて抱きまくらよ?」

「なんで抱きまくら!?」

「けんちゃんにプレゼントしようと思って。 私だと思って大切にしてね」

「って、本当にマナ姉がプリントされてる!?」

「私が居ないときは替わりに抱いて眠ってね~」


居るときはマナ姉を抱いて眠るみたいに聞こえるんですが!?

ってか自分をプリントした抱きまくらをつくるってどんな神経してんの!?


「バスタオルは野菜室に入ってるの~」


わかったよ、野菜室ね。

もはや突っ込む気にもならない。

俺はほうれん草とネギの間に挟まっていたバスタオルを取り出し、パウダールームのドアから投げ込んだ。


*******


お風呂上がりのマナ姉と夕飯を作る。

裸エプロンなどではなく、いわゆるスウェットの普段着だな。

俺は安心したのであって、決してガッカリしているわけではない。


「あぁ、おつゆが零れちゃうぅっ……」


おつゆって麺つゆね。

親子丼を作っているだけなのに、妙に色っぽい声を出すな。


「もう、じゅくじゅくだよお……」


卵がいい感じに半熟になったんだな。


「らめぇ、待ちきれないよお……」


俺がご飯をよそってる間くらい待ってくれよ。


「はやく、早く頂戴!」

「はい」

「んっ、そっちじゃなくて、こっち」

「はい、よっと」

「あっ、アツぃ」

「ごめん、焦りすぎた」

「ん、もう……」


俺達はご飯の上に親子丼の具を載せてるだけなんだが。


「お口の中に入り切らないよぉ」


そんなでかい匙で味見するからですよ。


「お姉ちゃんのこと、はしたない女だと思ってる?」

「つまみ食いのこと? 味見しただけでしょっ?」


でも、そうかもしれませんねえ!?


*******


「自分だけ先にイッちゃって、もう……」


俺達は食後、人生ゲームに興じていた。

ゴールに着くことをなんでイクって言うんですかねえ……。


「俺の勝ちだな、じゃ洗い物はマナ姉ってことで」

「ひどい!? 私とは一回切りの遊びってこと?」

「いや、これは明らかに遊びだし、一回でいいでしょ」

「次は一緒にイこう?」

「人生ゲームで一緒にゴールすることなんかないから」

「後でもいいからイかせてよぉ」


まぁ、全員がゴールしてから精算するルールでもいいんだが。

2人だし、誰かがゴールした時点で終わりにしたほうがいいだろ?


「お金いっぱい持ってるんですから、お客さん延長しません?」

「人生ゲームのお金ね。お客さん言うな」


結局、4回戦までやった。

ヤり過ぎてへとへとだ。

床でやっていたため、足腰もフラフラである。


もういい時間だったので、俺は風呂に入ることにした。

疲れているので湯船が気持ちいい、がドアが透け透けなのが落ち着かねえ。

マナ姉が出てから大分経っているが、まだ浴室には湯気が残っていた。


……なんで洗面所じゃなくて風呂場にイソジンがあるんだろう?

風呂の椅子もなんか形がヘンだ。

左右しか座るところがなく、真ん中が空いている。

あまり気にしない方がいい気がする。

さっさと洗って出よう。


「これ、俺の部屋に持っていってもいいかなー?」


洗面台にあるドライヤーを借りようと思い、リビングに聞こえるように声をかけた。


「私のパンツを部屋に持っていってどうするつもりー?」


パンツじゃねえよ!?

でかい声で何言ってんの!?

って、マナ姉のパンツらしきものが俺の着替えの隣に置いてあるし!?

レースのいっぱいついた白い下着だ。

赤とか黒とかかと思ったら、意外と清楚だな。


「気に入ったー?」

「結構、好みかもー?」


って何言ってんだ俺は!?

つい返事してしまったあああ!


「じゃあ、いいよ、部屋に持っていってもー!」


ありがとう。

――ありがとうじゃねえよ!

一瞬本当に持って帰ろうとしてしまった……。

やれやれ、当てられるというか毒されるというか。

マナ姉の影響を受けてしまっているのかもしれない。


ドライヤーだけを持って自室に戻る。

すると、マナ姉が勝手に俺の部屋に入ってベッドに座っていた。

なんで勝手に入っているのかと問い詰める前にマナ姉が口を開けた。


「けんちゃん、そこに座りなさい」


俺の部屋のはずだが……?

家主には逆らえず、大人しく地べたに座る。


「けんちゃん、荷物を調べさせてもらったんだけど」


とんでもないことをするね。

女子大生が男子高校生の部屋の荷物を確認するなんて許されないだろ。

従兄弟ならなおさらのこと、気まずくなってしまうだろう。

ところが残念でした、俺は見られて困るものは荷物に入れていない。


「エッチな本やDVDがないじゃない! どういうこと!?」


えぇ……。

それって、あった場合のリアクションじゃね?

なんで無いことで責められてるの、俺。


「いや、必要がないですし」


さらっと答える俺。

まぁなんつーの、嘘ではないよ。

かといって健全な男子高校生であることには変わりない。

要はパソコンの中に入ってるワケ。

ログインしないと見つからないから安全、安心だ。


「なっ、それって……」


顔を赤らめるマナ姉。

俺のベッドの上でもじもじしている。

なぜそんなセクシーな態度を取るのだ?


「私がいるから、そういうものは不要って、そういうことなのねっ……」

「違ぁ~~~~~~~~う!?」


そんな鬼畜な発想はなかったよ!

俺を何だと思っているの!?


「じゃあ、どうするつもりなの?」

「なんでどうするつもりか言わなくちゃいけないんですかね!?」


俺はマナ姉を追い出した。


「お手伝いできることがあったら遠慮なく言ってね~」

「いいから出ていってください」


やれやれ、今日一日だけでもマナ姉からどんだけのセクハラを受けたことか。

絶対セクハラだよな?

セクシーすぎる従姉妹のセクハラに俺はいつまで耐えられるだろうか。


そんなことを思いながら、マナ姉の抱きまくらを抱いて寝た。




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