最弱国家の最強王子
*本作品は、「96丸がお話しするよ。」にて一部公開したものです。
重要:この作品は、短編に収まりきらないため別枠での連載に切り替えました。
同じ作品とその後(続編にあたる、長編ver)を既に投稿していますので、
そちらへ下の作者マイページより飛んでいただきお読みください。
作品名は“最弱国家の最強王子(長編ver)”になっております。
プロローグ
今から300年前、大陸全土で東西に分かれての大戦争が発生した。
もともと一つの国として統一されていた大陸はこの日をもって崩壊したのだった。
その後100年余り戦争は続いた。
最初は、
国家政府の兵隊のみが戦闘に参加していたが
戦争の長期化とともに影響が大きくなった。
戦争の被害は軍隊だけに収まらず各地の農村などをも被害を受け焼け野原となった。
200年ほど前、大きな戦争はいったん終結したがそれ以降も民族同士の争いは、
収まりを見せず抗争は今も続いている。
この争いは後に“第一次大陸戦争”と呼ばれる歴史的な戦争となる。
ちなみに、この戦争後大陸の東側は、各地を分割し自治ごとで復興を行わせた。
これにより、東側は8つの新たな国と地域で形成されることになった。
また西側はカルベスタ共和国を建国、東西の対立は今も続いている。
時は神輝暦一〇二七年、
東側諸国にあり戦争の被害を
一番受けながら戦死者を一切出なかった国がある。
それがブルージャ皇国である。
その国に今、新たな生命が誕生した。
彼の名はルドルフ・エパリアこの国の王になる人物である。
この時からこの国の、
いやこの世界の命運は
彼にかかることを誰が予想しただろう。
戦争の終結後、いち早く国の復興を果たしてみせたのが
このブルージャ皇国だ。
ここは、戦争の最前線部分として、多くの兵が血を流した場所であった。
戦争の悪化で、もともとこの地にあった農作物は踏みつぶされた
魔導師の戦闘により、村の建物、貴重な自然・・・
すべてが焼き尽くされた。
だが不思議なことがここではそのころ起こっていたのだ。
記録によると、
「農民 戦死者ナシ、全員ノ生存ヲ確認シタ」
とあるのだ。
戦争の最前線だったのにもかかわらず農民の戦死者はなし。
これは今では考えられないことでもない。
今では街のあちこちにシェルターが設置されているし、
防御力にもかなりの力を入れているからだ。
しかし、戦時中にそんなものがあるはずがなかった。
なのにもかかわらず・・・
だがその記録にはまだ続きがある。
「農民ノ多クガ記憶ヲ失ッテオリ、記憶ヲ持ツ者ハ・・・黒ノ騎士ガ敵影ヲ倒シタ・・・」
記録には、黒の騎士なるものが存在したと書かれているのだ、
実際、軍記にはそのような兵、魔導師がいた記録もなく
伝説の勇者と呼ばれている。
そのおかげか、そこに新たな国が生まれるまでは早かったとされる。
現国王、エルネキリス皇帝陛下の祖父ぎみがこの地に足を踏み入れてから150年
新たな都がそこには誕生していた。
【第一章 天才少年と少女の出現・そして出会い】
東側諸国は、
7つの国からできている。
そしてどの国にも属さない1地域が存在する。
その1地域が学園都市ヘルパスタである。
ここヘルパスタは、同盟国の連合本部が存在し東側諸国の中心に存在する。
各国の中枢もここに集まって活気あふれる大都市だ。
ここでは年に1度だけ武術大会・セブンピックが開催される。
神輝暦1033年10月、今年で90回目を迎える記念大会が開かれた。
ここ数年は、同盟国内最大勢力を誇るウェルアート帝国のお姫様
エリザーべート・マリア公(16)が優勝している。
「今年もマリア公の優勝が固いかな~」
街中では昨年の優勝者マリア公が今年も優勝するのではとの期待も
大いに広がっていた。
優勝した暁には、セールイベントを行おう
など、結果の出る前から盛り上がりを見せている。
大会初日。晴天・客席万席
第一回戦、マリア公の試合が行われた。
そこで観客が見たのは、今までに見たことのない光景だった。
「お、おい。あいつ見ろ。剣だぜ、剣。」
「ほんとだ、あんなものでマリア公に挑もうなんて・・・」
武術大会では、どんな武器の使用も制限されていない
しかし・・・
このご時世、一番強いものは魔力とされていた。
エリートは、魔術師を目指す。
こんな時代に剣を使って戦うようなのは物好きくらいしかいなかった。
「なんだ、ありゃ」
「がんばれぇーい。ははは」
観客の多くは、お姫様を応援していた。
その中でも、ふざけ半分に少年を応援する者もいたが・・・
「これより、武術大会一回戦を行う。はじめ」
審判の号令とともに、試合が始まる。
だが、始まってすぐ場内の観客は何かが違うことに気づき空気が乱れ始める。
それは誰もが予想していない展開が起きていたからだ。
「つ、強ええ・・・」
「強いぞ。あいつ。」
「すげーー。」
そこには昨年の優勝者が押されている姿があった。
そう、優勝候補が無名のそれも同い年の少年に剣技だけで押されていたのだ。