表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

海の中のスープ

これまで書いた話の内容の設定の一部をまた変更しました。

変更点)王国→帝国 竜→王国にのみ存在、帝国にはいない

初めのプロットからずいぶん離れていくだろうとおもったためです、申し訳ありません。


トーマス自治爵家のもとに産まれた主人公はアレクと名付けられた。産まれた直後ではなかったが、頭の成長と共に少しずつ記憶と人格は復元されていき、アレクが5歳を過ぎるころにはほぼ復元されていた。


産まれた時点で、とは確かにあれは言わなかった。が、まさか自治爵家に産まれるとは...あれを何と呼ぶべきか......最高存在は理性やモラルに基づいた一種の不可知論的のようなものだろうから違うかもしれない、だが、無感情で理論的な感じだったから、仮に異なる意味ではあっても最高存在という仮称が似合いそうだ。


そんな事を、執事で教育係のフーキエから帝国の宗教についての簡潔な概要と状況に関する教えをぼんやりと聞いている中で考えていると、

「何か考え事ですかな?」と尋ねられた。この物腰柔らかな初老の紳士の持つ、気配り上手という言葉を蓑とした鋭い観察眼に何度もひやりとさせられる。


「ぼくには難しくてよくわからない」


彼にごまかしはきかないが、ある意味誠実に答えた内容に、少し困った表情をみせた彼は


「簡単に今の状況がどのようなものかがわかればいいのですよ」と言う。


"ただただ信じればいいのですよ"と頭ごなしに言わない彼は、少し無神論的な考えと客観的に考える習慣をもっているのかもしれない。


「さあ、そろそろご両親との昼食の時間ですので、お庭へ参りましょう。」


暖かな陽光に包まれた外の世界は、様々な青い色の植物達が彩豊かに花を咲かせ、まるで南の海に潜っているかのような幻想的な景色を創り出す。

植物の枝葉が緑色でないことは、この世界が幻想的に見えるものの、野菜のスープの色も青色という単純な事実に未だ慣れずにいる。


「ちゃんと野菜を食べなきゃだめよ」と優しくほほ笑む美しい母エレノアと、「なんでもどんどん食べろよ」と大きく笑う精強な体つきで男前な顔をした父アルベルト自治爵とのお決まりのやり取りの中で、

アレクは 「はい、美味しいです」 と少し苦笑いをしながら応える。

周りにはフーキエと2人の料理人のみが立ち、相手が自治爵という高い身分に加え、精神年齢が社会人の時のまま、前世では事務的会話が多かったといった理由から、年相応の反応をなかなか見せずにいる姿に、両親はどこか寂しさを覚えているように見えた。


昼食を終えると、アルフレッドが「今日はこの後知人のステファン家へ顔を出しに行くぞ」と言った。


「馬に乗ってみたいです!!」


さっきとはかわって可愛い笑顔で年相応の頼みごとをするアレクに対して父アルベルトは決まって

「危ないしアレクにはまだはやい」と言いながら頭をわしゃわしゃなでるのみ。


10歳という年齢であるものの、アレクは不満に感じていた。カッコいいからというありふれた理由ではなく、初頭教育の重要さを前世で味わっているからだ。言語、特に英語の発音は最たる例だと思っている。


そのために、今のうちに早め早めに詰め込めるだけ詰め込んでしまえと、幼少期のうちから、アルセア帝国に大河を隔てて隣接するラべリス王国及びワ―トスリデルン皇国の公用語を、母国語と同時に教えるようフーキエに土下座する勢いで何度も頼み込んだ。また、すでにある程度知識と経験を持つ会計を基に、領地経営の仕事を手伝いたいと父に懇願していたが、これは毎回却下された。


これらに加え、半ば強引に音楽やダンスといった貴族の愉しみを覚えさせられていたが、舞踏の練習相手はいつもフーキエであった。



アレクは、移動するのに不便だし、戦闘の訓練も積んでおきたかったので、これまた乗馬の訓練をさせるよう懇願し続けているのだが、アルベルトはなぜだか未だに認めていなかった。


そして何よりもまず、アレクにとって家から離れた青く染まった外の世界へ行くこと自体そう多いことではなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ