兄妹
前回から大分遅れてしまいました…次回はもっと早く長く書ければいいなと思います!
空を飛ぶときはグリフォンに気を付けろ。
海に行くときはクラーケンに気を付けろ。
隣町に行くときは、ゴブリンに気を付けろ。
誰でも知ってる当たり前のこと。
だって彼らには勝てないから。
けれど、それは気の遠くなるような昔の話。
今は剣で、魔法で、銃で、抗うことが出来る。
我々だけじゃない。
全ての種族がそうだ。
自分達の土地を持ち、家を持つこと。
攻めてきた魔物を倒すこと。
危険も伴うが、それ以上に面白いのだろう。
そんな時代が長く続いた。
これからどうするか。どうなるのか。
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カーテンの隙間から入る陽光が、アルザの煉瓦色の髪を包み込む。
瞼が開かれ、黒紅色の瞳をのぞかせる。
「んあ…朝か…まだ眠いのに…」
アルザはそう呟きながら、ベッドから起き上がり、足元のブランケットを乱雑にベッドの上に放り投げる。
隣のベッドをちらり、と見ると、ブランケットはきちんと畳まれ、シーツもきちんと整えられている。
見習うべきなのだろうが、起きたばかりにそんなことするきは起きない。
部屋から出ると同時に、妹のクミルがが呼びかけてくる。
「お兄ちゃんおはよう!朝ごはん出来てるよ!」
クミルは、兄の自分から見ても可愛いと思う。年相応のすらりと伸びた手足は健康的に焼けており、自分とお揃いの煉瓦色の髪の毛は、比べ物にならない位綺麗だし、山吹色の瞳はくりくりとしている。
それに性格もいい。こんな妹に恵まれて幸せだと思う。
「ああ、いつもありがとう。すぐ行くよ。」
そう返事をして洗面台に向かってから食卓につく。
「「いただきます」」
二人で同時に言ってから食べ始める。
メニューはパンとスープだ。
食べているとクミルがこちらをちらちら見てくる。最初はわからなかったが、ピンとくる。
「スープいつもと違うね。美味しいよ」
そう言うと、クミルは目を輝かせて、嬉しそうに言ってくる。
「でしょ!今日はいい材料が入ったから気合入れたの!」
そのあと、おかわりもあるのよ?と、付け加える。
それから、しばらく沈黙が続くが、ふとクミルが口を開く。
「ねぇ、パパとママいつ帰ってくるかなぁ…?」
アルザはドキリとする。両親とはもう何か月も会っていない。正確には会えてない。
「きっともうすぐ帰ってくるよ!」
そう聞くと、クミルはしばらく黙っていたが、そうだよね、うん、と言ったきり黙ってしまった。普段はそんな素振りは見せないが、家族がいないのは辛いらしい。
自分はもう慣れた。元々両親が冒険家で家にあまりいなかったのも理由の一つだ。
冒険に行くときはいつも、自分達の使う分のお金を置いていき、なくなるまでに戻ってくる。
いつもそうだった。あのときもそうだった。
「なあ、そろそろ行かないか?」
あまり重苦しい空気は好きじゃないのでかき消すように他の話題を出す。
するとクミルも忘れるように明るい声で返事をしてくる。
「わかったわ!今日は何するの?」
「まずはおっさんのところに行ってから、頼まれていた依頼を解決しよう。それからなんか買って帰るか!」
そういうとクミルが嬉しそうな顔をする。
「じゃあ急ぎましょ!」
2人とも壁に掛けてある皮の鎧を纏い、準備を始める。
それから壁に立てかけてある杖を渡すと、自らも腰に自分の腕くらいの長さの剣を纏う。
「まずはおっさんのとこだな。行こう。」
そういうとアルザはめんどくさそうにドアを開けた。
まだまだ自分の中では始まってすらないので、もっと皆さんに見てもらえるよう頑張っていきたいです!
ちなみに主人公は青年のイメージで妹はそれより少し下のイメージでした。