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魔王の娘  作者: 瑞希
家族
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[神が作り出し運命]

「それで…、本当に大丈夫なのか?」

心平さんを疑うわけではない。

あの人はそんな嘘をつけるほど器用でも、頭の悪い人でも良い人でもない。

だが、心平さんの知らない間にケガしてることとか、それ以外のとこも心配になってしまう。


「クドイ。」

…まあ、そうだよな……。


「本当に怪我なんてしてない。

 そんなにスレスレでもなかった。

 むしろ、心平の方が心身ともに心配だ。受け身が全く取れていなかった。」

ああ…。寸土目じゃなくて自分の身をよじったのか…。


「…」

遙華はずっと黙り混んでいる。

色々な感情が混ざっているのかもしれない。

素直に言えば、真綾が心配だし、どうして相手を責めないのかと言いたいだろうが

相手は心平さんだ。

そんなに素直には言えない。


俺は気にしない。

真綾と遙華と家族以外は、わりとどうでも良い。

だからって真綾みたいな考えなしの行動は起こさないがな。


「真綾…避けた?」

遙華が怒っていらっしゃる。真面目に。


「…避けてない。心平だから大丈夫と……」

避けることが、心平を傷付けることになると思ったのだろう。

もし万が一傷つけられたところで、自分だから構わないと…。


遙華は真綾の肩を掴んで向き合った。

「もし…万が一真綾が怪我をしたら私達、心配になるよ。

 心平さんだってずっと自分を責め続ける。

 もしかしたら私は、心平さんをずっと恨むかも。」

遙華の目は本気だった。

俺だって場合によっては恨むかもしれない。

心平さんも自分自身を…。


「だから、真綾は自分を大切にして。私達のために。」

…遙華は本当にいい姉になったと思う。

いつもはちょっと…いや、かなり抜けているけれど、人として持っていなければならないことを。

優しさを。

誰よりも知って、持っている気がする。

単なる優しさではなく、相手にとって本当に必要な優しさ。


「わかった。

 ……すまなかった。心配させた。」

真綾は自分の肩を掴む、遙華の手を握り頬に当てていった


「ふっ…うぅぅ」

遙華は栓が抜けたようにポロポロと泣き出した。

真綾はそっと遙華を抱いた。


二人は、いい姉妹だな。

普通なんかは解らんが。微笑ましく思うよ。心から。


って、珍しく口角を上げて二人を見てたら、なんか真綾にめっちゃ睨まれた。

見てちゃいけないのか…?

と思いきや、真綾は来い。と目で訴えた。


そういうの苦手なんだが…って目で訴えたら、視線で殺されそうになった。


「…………」

俺は軽く笑って、二人を抱き締めた。

真綾は俺には甘いな。

こりゃ、結婚できる日も遠くないかもー。

って思ったらエスパーの如く、心を読まれ手をつねられた。


めっちゃ痛い。

めっちゃ痛い。

この子は加減を知らない…

加減する気がない…


なんか笑えてきて、余計に二人を抱き締めた。

二人は、それぞれに抱き返してくれて…俺は心の底から幸せと感じた。


…ああ。

こんな日々が永遠に続いてくれれば良い。









































なんて。そんな願い、叶うはずもなく。


「ハルカ!ハルカぁ…!」

真綾が傷でボロボロな遙華を泣き喚きながら何度も呼ぶ。

その真綾の体からは夥しい量の血が流れていて。

俺は…コンクリートに体がめり込まれている。





何だ?

何処で間違えた?

何処で失敗した?

俺達は普通に生きてきたはずだ。

俺も遙華も、真綾だって何一つだって悪いことはしていない。

…誰にだって迷惑なんて掛けちゃいない。

それなのに、何なんだこの仕打ちは。

普通に生きてきた。

生きていきたかっただけだ。

俺達は俺達の役目を果たしてきた。


それなのに。


………神は何故こんな苦しみを与える?

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