表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の娘  作者: 瑞希
家族
5/16

[心平隊]

次はこっちを真面目に書かなければ…

俺の目は、悪魔が見える。

正確には悪魔だけではない。

悪魔と人を見分けることができる、この力。


誰に発生するかも分からない。

能力者レジティーマの中でも、また貴重な力だが。

“今回”は俺だけに現れた。

偶然としか言いようがないこの力は、そういうものだと知る前も、そして知ってからも中々に苦労するものだった。


人には、霧のようなものが見える。

濃さ、大きさ、色もバラバラな霧、オーラとも言うのかもしれない。

能力者は特に、濃く、大きい。

そして、その能力によって色は大体にして決まっている。

火は赤

水は藍

土は橙

雷は黄

風は青

木は緑

異端は基本、金


そして、悪魔。

黒い黒い靄のようなもの。

それは…、まさに、“絶望”のような。

本当に視界に入ればすぐに分かるほど…。

属性によって多少色はあるが、所詮はすべて黒。


俺には、悪魔というものは靄を纏っているものにしか見えない。

その靄は力の大きさに比例して、濃く、大きくなる。


そう。

俺のそばには、他の悪魔には見たこともないほど、大きく濃い純黒の靄を纏っている存在がいる。


仇篠あだしの 真綾まあやだ。


その靄が美しく視えるのは俺が真綾を特別視してるのか、それとも強すぎるのか、能力者だからなのか。


「―パワー全力アップ!―」

その姉である、操辻あやつじ 遙華はるかの声により、大石おおいし 心平しんぺい秋風あきかぜ 芹那せりなに大きなオレンジの光が点った。

操作の能力レジとは便利なもので、本当に力が沸き上がってくる。


「―岩よ、悪しき者を粉砕しろ!―」

いつもは苦労しなければ出来ない大きさも、遙華に能力レジをかけてもらうと、楽にできる。

心平が出した大岩によって潰された悪魔は、為す術もなく消え去った。

地も亡骸も残らないんだから、悪魔も悪魔で便利なものだ。

いっそ初めから現れないでほしいんだが…

…………あー。


それをしっかり見ていた小学生組の風隼かざはや 芹那せりなが、満面の笑みを浮かべていらっしゃる。

「中々にグロテスクな絵図ですね!

 心平先輩!」


ハキハキとした声でそういった芹那に、心平は思いっきり視線を外した。

「どうしてキラキラした目で見るんだ?

 小学生セリナ…」


心平の言葉に、芹那は首をかしげた。

「どうして…?

 断罪すべき悪魔を、常人では引け目を感じてしまうほどの残酷な方法で退治してくださったからに他なりません!」


褒め称えたつもりの芹那に、キラキラした目でなおも見つめられる心平は、ちょっと涙目になった。

「傷つく…!

 遙華ぁぁあ、芹那が純粋なハートで俺のハートを抉るんだぁっ!」


「あはは…

 でも私もそう思います!」

「遙華まで?!」

近場の後輩に泣きついたは良いものの、その後輩にまで言われてしまった。


「だってだって…、岩ってあれ以外にどうしたら良いのさ

 あとは貫くしかないよ?

 そっちの方が残酷じゃない?

 俺そこまで酷くねぇよ?

 ピュアピュアハートなんだよ?

 ガラスハートの心平ちゃ―(以下略)」


完全に一人の世界に入ってしまった心平に、芹那は驚愕を目に浮かべた。

「なっ…どうして落ち込んでいるんですか?!

 心平先輩?!心平先輩!!」


「ブツブツブツ」

心平はそんな芹那の必死な声に答えることはなく、何故か体操座りになって地面を突っつき始めた。


「何してる―」

瞳に映った黒い靄に、心平は芹那を突き飛ばし、本能的に靄に向かって拳をぶつけようしとた。


ッ…?!


それが真綾であることに気付いて、心平は慌てて自分の体を引っ張った。

地面に倒れこみ、何とか真綾には当たらずにすんだ。


「大丈夫か?!」

真綾は血相を変えて心平を心配した。


「…!

 違うだろ…!!!」

今の状況で心配されるべきは俺なんかじゃない。

仲間を、悪魔と見間違える俺なんかじゃない!


「ッ……、すまん!

 すまん!真綾…!!!」

小さい頃は何ともなかったんだ…!

見間違えることなんて絶対になかった…!

なのに…!!

俺は、今、真綾を殺そうとした…!!!


「……大丈夫だ、怪我してない。

 それより心―」

真綾が差し伸べてきた手を心平は掴んだ。


「結果論だ……!

 くっそ…!」

この手を、俺はいつか傷付けてしまうかもしれない…!

そうなったとき、真綾はきっと抵抗すらしない。

真綾には俺を殺せるだけの力があるのに…!

だから…!

恐ろしいんだ…!!

今だって!!!


「心平が私だから、と、攻撃をやめた過程による結果だ。」

真綾の言葉に、幾分いくぶん心が軽くなったのを感じた。

そんな自分にも嫌気がさした。


「…………すまん…。」

ケガレたような俺が、真綾に触れるのも可笑しい気がして、心平は手を放した。

…いっそ、真綾が俺を恨んでくれれば………。

どうして、俺だったんだ…?


…視える目は


今思うと、もしかしたら心平と結婚するのは真綾だったかもなぁ

あー、でもそしたら陸穂も愛雅も生まれないのか。

縁とは不思議なものだなぁ…

真綾には志保ルートもあるけど

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ