ミュウの最悪な1日
「ふあぁ」
私は寝ぼけ眼を擦りながら朝ご飯の支度をしていた。
人差し指を冷蔵庫に向け、クイっと振る。すると冷蔵庫の扉がひとりでに開き、様々な食材が宙に浮く。
半分寝ながら手だけをあっちへ動かしたりこっちへ振ったり……。その度に浮いていた食材がスッと宙を横切り、次々に調理されていく。
「できた〜」
そう一人言を呟いて、調理された品をテーブルの上に置き、いつものように席についた。
「よーしいただ……ん?……あ、忘れてたっ」
私は駆け足でキッチンに向かい、棚を開けると深海魚の缶詰めを一つ取り出し猫用の皿に出した。
「ロニごめんねー遅くなって」
どこにもともなくそう呼び掛けると黒猫のロニがスッと姿を現した。ロニは私に見向きもせずに、軽くそっぽを向くと缶詰めを食べ始めた。
「もうちょっと愛想よくできないのかなーロニは」
少し嫌みっぽく言ってみたが無視されてしまった。私はロニに構うのを諦めて再び席についた。
トーストに手をつけると、今のやり取りですっかり冷めてしまっていた。
「はぁ…今日はやなことありそ」
ため息と共に漏らした言葉に、ロニはさっきのお返しだというように顔を向けてきた。
「もー!早いけど学校行こうっほら、ロニもだよ!」
私はまだ食事中のロニを引きずって後片付けもせずに、家を荒々しく出ていった。
学校に着くと、私は同じくらいの年の子とは全く逆方向にある教室に向かった。
教室内はシーンと静まり返っている。十八歳くらいの人から大人までしかいなくて、子供と言える子供が私しかいないからしょうがないのかもしれないけど。
私が教室に入るのとほぼ同時に先生も教壇の前に立った。
「えー今日からQクラスのみなさんには、三人ずつ順に人間界に行ってテストをしてもらいます。合格者は二ヶ月後に行われる魔法検定の参加資格を与えられるので、しっかり取り組むように」
私はチラッと横目で他の人たちを見ると、先生の話を熱心に聞いている。そんな彼らを見て私は素直に偉いなーと思ってしまった。
私なんか正直テストも魔法検定もどうでもよくて、ただ久しぶりに人間界に行ける!と喜んでいただけである。
――ちょっとミュウ、真面目に聞いてんの?どうせまた人間界に行ける!って思ってるんでしょ。
いきなりロニが意思を通わせてきた。頭の奥でロニの考えていることが響く。
先生が話してる途中だっていうのに…。でも図星だからなにも言い返せない。
そういえばパートナーの猫と意思を通わせるのって、初めは周りに聞こえちゃわないようにするの難しいって言ってたな……。あぁ、幼少期のときにシュウ兄から聞いたんだっけ。私は最初からロニだけと意思を通わせれてたから全然気付かなかったけど。
――ミュウ?先生の話終わっちゃったわよ。絶対聞いてなかったでしょう…。
――あれ、バレた?
――バレた?……じゃないでしょ!今日の話は結構大事だったわよ。
――じゃあ、あとで教えてねー。よろしく。
ロニのお説教から逃れるため、私はこれだけ言い残すと一方的に意思を遮断した。
ロニの様子をこっそり伺うと、家だったら確実に反撃しているであろうロニの怒りを堪えた姿が見れた。これは貴重だっ。
ていゆうか一時限目何だっけなー。いまロニに聞くのは…やめた方が健全だよね。
周りに合わせて行動しようと思い、待っていると次第にみんなが移動を始めた。
……もしかして実践魔法…?あれ疲れるから嫌いなんだよな。
そう思いながらも授業に出ないわけにはいかず、渋々実技室に向かった。
つかつかと実技室に入ってきた先生は切れ長の目…というよりつり上がった鋭い目で私達を見回した。
この先生がこうやって私達を見回すのは、誰に手本を見せてもらおうか考えているサイン。どうか当たりませんように…。
「…えーではミュウ。前に出て私の言う通りに魔法を使ってごらんなさい」
「はい……」
最悪だ。当てられるなんて……しかもしょっぱなから。
やっぱり今日はついてない日だ………。
初めて書いたので本当に読みにくいと思います……。
連載なので次話も読んでくださると、ありがたいです!
話の内容が全然わからない……という方が多いと思いますが、ちょっとずつ改善していければなぁと思っているのでよろしくお願いします!!