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大賢者が往く。  作者: ましまろ
大賢者 謎を解く
6/23

賢者の苦悩

 背後に幽霊のような奴を引き連れて好き勝手に店を覗く。


「ありゃ・・?ここら辺の通りって、また紋章屋かよ」


 露店ではない。本式の店舗を持った中位以上の紋章師の店並びだ。多分店奥には工房があるんだろうね。

 しかし多いね~。王都だから?

 でも多いね。学校あるから?

・・だろうな。それしか原因が思いつかんわ。


 ここは上位認定の店か。どれどれ・・。

 ショーウィンドウの中を覗いてみる。

 小奇麗にきちんと並ばれ、綿入りのお座布団の上で鎮座している数々の魔核。そのどれもが中位から上位の紋章が刻まれている。

 魔核の手前には「中位××紋章 価格」「上位○○紋章 価格」としっかり明記。

 なんか地球のお店みたいだな。


「ふむふむ・・。え?」


 何と中級オールキュアの紋章魔石が500万で売っていた。

 待てよ?

 僕が昼前に売った紋章魔石もオールキュアだぞ?

 

「あ。ハイ・ヒールもある!」


 1000万?!


「え?ちょっと待て・・・!」


 買い取ってもらったのはこの中級ハイ・ヒールと中級オールキュアの紋章魔石でほぼ同じものだ。ということは・・・倍の金額で買い取ってもらえたことになる。

 おお、なんということだ!

 安く買い叩かれたと思ったことはお詫びしておこう、おっさん!

 まるで菩薩のような人だったんだね・・。


「しかし。荒い出来だな」


 折角の良質魔核がもったいない。

 思わずガラスに額を付けて、まじまじと見射ってしまう。


「情けないことに。今の紋章師はこれで腕がいい方なんですよね」

「え?」


 ああ。あの背後霊のおっさんだ。そう言えば君、紋章ギルドの人だったよな。それで詳しいのか。


「ほほう。じゃぁ、昼間買い取ってもらって高額だったのは出来の違いか」

「えええ?何か売ったんですかぁ?」


 おっさん、何その異様なほどの驚き方。こっちが驚くじゃないか。


「うん、金策の為に。まぁ大したものじゃないが売ったよ。ここにも並んでいるオールキュアとハイ・ヒールの紋章魔石と同じやつね。でも買い取りが何と2倍だったんだわ~」

「2倍って安すぎでしょ!!」

「2倍が安いわけないだろ!」

「たった2倍ですよ!俺が金持ちだったら5倍でも買いますよ!!」


 何だと!?

 て言うか、君。そこまで興奮するなよ。マジでキモイよ。


「いいえ、この際はっきり言わせてもらいますね!ユーリ様の紋章魔石はその辺に転がってるゴミとはわけが違います!あの、魔素から魔法の返還の流れの良さと魔素消費の少なさ、それに魔法の展開の速さに正確さ!どれをとっても溜め息が出るほど素晴らしいんです」


 おっさんが宙を見詰めてうっとりと語りだす。

 何と!さすが紋章ギルドの職員!僕のこだわりをしっかり見抜いてる。


「そうなんだよ!僕はね、魔素消費と魔法展開における火力とのバランスを常に考えてるんだ!」

「そうでしょうとも!あの複雑怪奇な紋章!ユーリ様の紋章に置ける情熱を垣間見た思いです!」

「君!話わかるね!そうだよ!僕が一番に心血注いで、数千年に渡って研究してきた成果なんだよ!」

「さすがです!」


 嬉しいぞぉ!思わず両手でおっさんの手を握りしめて、ぶんぶん振りまわしてしまった。


「ああ!それにしてもユーリ様力作の紋章魔石をたった2倍程度で買い取る不埒者め!うらやましすぎる!!」

「まぁまぁ、僕は満足してるから気にするな」

「俺は、ずっとギルドで多くの紋章魔石の試験官をやってきました!思えば学校を首席で卒業して以来、自ら作り手になるのではなく、多くの作品をこの目で見て試すことを生きがいに、早15年!・・・何度も後悔し、こんなものかと嘆いた事もありました。ああ~ユーリ様のあの華麗にして強力で耽美なほどの紋章をこの手に出来た今、俺の人生はこの日の為にあったんだなと。でもでも、出来れば俺が買い取りたかった!あの芸術のようでいてまさに性能をとことん追求した紋章魔石!俺に、俺に金があったならぁぁ!

ギルドの職員なんてほんと!何これ、っていうくらい安い賃金でこき使われ、俺に預金なんてそんなものもなく。うらやましい!俺に買い取る先立つものも勇気すらないのだ!きっとその素晴らしい紋章魔石はオークションに出されるに違いない!いや待て!預金ならあるぞ!そうだ!メアリーには申し訳ないが、結婚資金にためていた金なら少しはある!あとは借金してでも手に入れたいです!それがいい!結婚なんていつでも出来るが、ユーリ様の魔石はこの先手に入るかどうかさえ怪しい!ああ~どこの店でした?売った先は!オークションに出される前に俺交渉して手に入れてきますよ!」


 ・・・う。おっさん、語らせたら長いよ。

 この僕が、押し負けるとは!

 大体、普通の1種紋章だぞ。そんなものに散財しちゃいけないよ。

 それに結婚資金に手を出しちゃダメだろ!しかも借金とか、そこは絶対駄目だから!身を滅ぼす最大の原因になるって。

 その、メアリーさんって言う女性が泣くぞ?

 取りあえず、僕の一番最初の理解者っぽいおっさんの為に。ポーチのなかをごそごそ。


「おっさん、君にこれをあげよう」


 その手に出した紋章魔石を乗せてあげる。


「・・こ、これは・・?」

「2種紋章の練習作。魔素の濃度は高いものの、核が少し小さくてね。2種類の紋章は刻みこめたが複合魔法は使えない。うん、そこは刻み込むと破裂しそうだったから」

「でも、2種類が刻まれているんですね?」


 おっさんは顔を赤らめてフルフルと震えている。その瞳はすっかり涙でうるるん。

 うん。やっぱり気持ち悪い。


「下位紋章ヒール下位紋章キュア」

「ええ、でも何と言うか、まるで別物のように美しい紋章です!複雑でそれでいてまるで絵画を彷彿とさせる・・」


 うっとりと眺めているおっさんに


「しかもそいつ、魔素吸収が十分出来ない、言わば下位とクズの中間サイズだから、基本使い捨てになる。一応魔素消費は最小限に抑えてあるんだけどね。僕の予測では1日10回使用で50年持つかどうか」

「・・・・・それ、ほとんど使い捨てになってない気がしますが」

「僕的には一瞬みたいなもんだから、50年って」

「まぁ、そうですね。って!こんなのもらってもいいんですかぁぁぁ?!」

「いいよ~」


 僕は嬉しい。僕のこだわりをきちんと見抜いてくれたこのおっさん。

 きっと、本来ならその辺で店を構えている紋章師よりも腕は立つ。この人も、僕みたいな自分のこだわりを持ってずっと頑張ってきた人だと思う。


「ですが・・」

「結婚するんでしょ?」

「年内には・・・その予定です」

「そっか」

 

 赤くなった。この人、意外に素直なんだね。いや、ものすごく感情露わな性格なんだ。多分。


「僕からの結婚祝いということで」

「・・ありがとうございます」


 だから泣くな、うっとおしい・・。


「それと、僕は必死に仕事する人が好きだからね!ここで遊んでないで自分の職場に戻りなさい」

「・・・はい」

 

 しょんぼりするな。


「精進するように。僕と君は、よく似ていると思う。だからまたどこかで会える気がする」

「はい。・・ありがとうございました。頂いた魔石は家宝にいたします!」


 そう言って深々とお辞儀したおっさんは慌てて走り去って行った。

 ふぅ・・。

 やれやれだ。

 というか。あんな習作、家宝にしないでくれ。



 

 ようやく張り付いてた幽霊なおっさんをひきはがすことに成功。

 さて、もっと広い通りで出ますかね。



「この辺は、食堂とか、飲み屋街だな。しかしまぁ何と言うか・・」


 数店舗が店を閉めている。

 食料不足が深刻だな。

 魔王出現のあおりがここは顕著に出てるなぁ。


「ん?」


 ド派手な鎧の騎士達が数名、道の向こう端にかたまっている。

 なんとなく見覚えのあるキンキラキンさだ。

 店の中を覗きこんだり、通りを見渡してたり・・挙動不審な動きを見せていた。

 何してるんだろう~?


「で、お前。どんな格好をさてれるんだって?」

「いやぁ~市井にまぎれる様な姿をしてらっしゃるのではないかと・・」

「街の子供的な・・かな?」

「そんな感じですかね~?」

「おい!そこ!何時までも話してないで、次行くぞ!」

「「は!」」


 その集団は向こうの奥の道に走り去っていく。

 キンキラキンに赤いマントはよく目立つわぁ~・・。てか、店の中に入って何やら聞いて回ってるようだし。

 あれか?

 このご時世で食料事情や調達先とか、調べているのか?

 大変だね。でも大事な仕事ではあるよな。

 しかしだ・・・。

 いかにも偉そうな格好している騎士達でも、やっぱ雑用することもあるんだね~。




 背後から馬車の音だ。

 慌てて道の端による。

 だが反対側前方で、嫌な音を聞いてしまった。

 不注意で、誰か馬車に跳ねられたようだ。


「・・・・・・・」


 やっぱりな。誰も騒がないし、誰も助けようと動かない。

 当然、轢いて行った馬車も止まらずそのまま去って行ってしまったし。

 命が軽い。

 その辺の落ちてるゴミと同じ扱いだよ。


 本当、自分とその身辺の人間にしか優しくしないし、ここほど「自己責任」という言葉が強烈な世界はない。

 地球にいた頃、どこかの国ではこんなのあったしなぁ~。この世界だけが異質というわけじゃないかもね。

 そう。ここは島国日本とは違う。誰もが助け合って生きているわけじゃない。

 ここはどちらかと言うと大陸思考なんだよね。

 でもって、僕はこの世界の住人で。

 昔は、躍起になって人助けしてきたけど、もう無駄だとわかったから。


 

 要するに、優しくするとつけ上がる。際限なくつけ上がって、助けた方に要求をバンバン出してくる。それも理不尽なくらいに。

「勝手に助けたんだから、最後まで面倒みてくれるんだろ?!」 

 そしてようやく後悔する。『助けるんじゃなかった・・』って。

 老若男女、すべてがそうなんだ。


 だから誰も助けない。そう言うことだ。

 


 一応、道行く人に「警備隊はどの辺に今いそうです?」と尋ねてみると「まぁそのうち来るよ」と返事がもらえた。

 ならば、警備隊が轢かれた哀れな人を病院か治療院か、どこかに連れて行くだろう。それも彼らの仕事だから。

 ・・生きていればの話だけど。

 ちょっと気になったので、見に行ってみる。

 

 うん。どう見ても浮浪者のお爺さんだ。

 お金なさそうだし、うまく行けば病院に運ばれるかもな。

 一応、サーチで状態を調べる。


「もう、長くないか」


 僕の足元では、ボロボロの衣服の老人が身を丸めて唸っていた。足が変な方向むいてるしな~。

 

「助けてほしいか?」


 尋ねると爺さんは首を横に振った。ああ・・そうか。自殺だったんだね。了解了解。

 僕はそのまま老人の傍を離れ、興味も失った。

 僕の横を警備隊の2名が走り過ぎて行く。

 爺さんが望むように死ねるかどうかは、今の二人にかかっているな。



 そう、この世界は優しくない。

 医療だって別に国の機関じゃないし、保険があるわけでもない。

 さっきみたいな事故で怪我した場合、身なりにお金がかかっていそうなら治療院に。

 お金がなさそうなら病院に。そう言う区分けがされている。


 治療院は女神信仰の神殿の中にあり、聖職者が行う治癒魔法によって完治できる。但しとんでもない金額を寄付しなければならない。

 まぁ平均100万ファル。

 今はどうかは知らんが、昔はそんなもんだった。そして当時の一般的年収は60万ファル。

 それに日本だって国民健康保険がなければ、風邪診てもらうだけで万単位の支払いなんだから。保険のきかない高額医療なんか数千万だろ?

 だからたいして違わない気がする。何より、一瞬で完治出来ちゃうしね!

 それ比べたら地球よりすごいってこと。

 

 そして貧乏人と言うか、金のない人向けなのが病院。

 こっちは人間の持つ自然治癒力を高める薬草主体の治療を行っているところ。料金は安いが、完治までがそこそこかかる。

 ここの経営は冒険者ギルドだ。そのため、新人君達の薬草集めが役に立っている。

 

 後、そのほか。

 ギルドの掲示板に「治癒魔法の使える魔法使い募集」と出して、やってもらう。これは治療院と病院の間あたりの金額になるし、魔法使いの気分次第で料金が変動するため、中には「ただでもいいですよ」なんて事もあるので、人気もあったりする。


 そして最後だが。

 王侯貴族や大店のセレブ。こういう人たちが家庭常備薬として「紋章魔石」特にヒールやハイ・ヒール、キュアなど買って持っている。

 誰でも使える便利品だし、装備に嵌めこんでおけば、持ち運びにも便利だしね。

 その分価格も高い。

 そういうことだ。


「あ・どうやら病院に運んで行くようだな」

 

 死にたがってたから、まぁそっちの方はましかな。



 余談だが。

 この世界には孤児院とか老人ホームとかの施設は一切ない。そう言うことに関心すら持っていないし。


 その代り奴隷制度もないんだな。奴隷みたいにこき使われる、ということはあるけどね。


 うん。要するにこの世界では孤児になってしまった子供は「家に来ないか?」と誰かに拾われる。拾っていく者は大概労働をさせるためで、だから拾われた子供は、労働を提供する代わりに見合う分だけの衣食住教育と安全を得る。

 そして大人になったら自由意思で「自分に見合った仕事」を探しに出て行ってもいいわけだ。一種の雇用関係ともいえるんだな、これが。

 故に「奴隷」のように一生こき使われるわけじゃないし、抜け出せないとか、絶対にないわけ。

 そして当然だが性奴隷も存在しない。

 勿論売春婦はいるが、それはその女性が自分で決めたこと。

 この世界の女性は強いんです・・。いろいろと。

 全てが自由意思。本人次第。

 

 まぁ稀に借金のせいで強制労働させられることもあるのだが、実は金貸業は国営なのだ。金利は一定、更に低めだ。だから頑張れば完済できないことはない。・・金額にもよるけど。

 ほらさ。

 世界は王侯貴族が支配しているので、金にならないことは国で面倒見る気がないんだよ。

 弱者救済?何それ?勝手に死んでろよってね。

 だがそんな世界でも唯一金にならないことに金をつぎ込んでいるものがある。

 それが義務教育だ。

 たった3年間だがこれのおかげで字識率は日本並み。単純計算も出来る。

 これは僕も誇っていいと思っているよ。

 なので、孤児院もないけど奴隷という言葉も存在していない。

 ある意味、僕としてはこっちの方が好きだったりするな。

 

 後、女神の加護のおかげか、親の家業を子供が引き継ぐ制度もないんだよ。その分師匠から弟子への移譲はあるんだけど。

 社会の仕組みが加護で回っている以上。親が子供の面倒をみるのは成人までと決まっていて、その後子供は無理やり一人立ちを強要される。まんま、動物の世界と同じというわけだ。その代り子供は老いた親の面倒を見る義務も責任もなくなる。

 そこは子弟が師匠の老後を見るということで丸く収まっているわけで、実際、子は成人し16歳までに家を出るが、師弟はその何倍もの時間を共有するため絆も深い。

 そして、何事にも例外はある。

 唯一。王侯貴族だけは親の持つその地位と領土を子に譲与できる『特別な権利』があり、だからこそ『特権階級』と言われる所以だ。

 一般市民には、それが許されていないから。

 

 ここは。

 やる気のある奴は己の力や能力を駆使し富や栄光を手に入れ、気概のない奴は地べたを這いずり回って野たれ死ぬ。

 誰の助けも得られない、正真正銘、弱肉強食。

女神からの加護はある。最低限の教育を身に付けた。その後は自分で何とかしろっていうことなのだから。

 分りやす過ぎて、かえって怖いよね。うん。

 当然、引きこもりもニートもいない。



 

 多分、僕だけじゃないかな?

 引きこもってニートしちゃってるのは。

 でもその背景には、それが許されるだけの地位と財産があり、王族と同列に扱われているからだ。

 すごいだろ~?びっくりだろ?

 何しろ、僕はささやかながらも自分の領土を持っている『特権階級』であり、僕が王であり続ける限り、それは永遠に保障されているのだ。


・・・まぁ、あの緑のキノコ的な小さな我が家を、偉そうに『財産』なんて言えるものなら、だけど・・・ね。




 ついでだけど。

 ここのアルテミネア女神は人間第一主義だけど、別に優しくはないよ?

 人に与えるのは生まれた時の加護だけ。

まぁその加護も、使える物ばっかりとは限らないようで、実際僕の女神の加護は「探究者」だったりする・・。

 金にならんわな。

 でも人によっては「詠唱半減」とか「鍛冶」とかの加護をもらっていたり?

 そうなると、自分の進む未来が生まれた時から決まってしまうけど・・。

 そんな、ありがたいんだかありがたくないんだかよく分らん加護しかくれない女神は、当然人の救済も予言じみたことも一切しない。

 そしてこんな女神を祀っているだけある神殿は、弱者救済も必然的に行なわないというわけだ。

 その分寄付の押し付けもないけど、稼ぎ頭の治療院あるからね。

 一応、聖職者とか僕は便宜上言ってはいるけど別にただの神官であって、金の亡者どもだ。だって神官自らが「祈ってたって腹は膨れん」と言いきっちゃってますしね~。

 もし祈るだけで色々救われるのなら、ここの住人達は一切働かなくなるだろうよ。

 だから神殿の参拝は。いっぱい頑張った、出来ることは全部した。後、ほんのちょっとの『後押し』の運がほしい。そういう祈りだ。



 何回か来た勇者たちが、口を揃えて言っていた。

「ファンタジー感、すっげ~薄いんだけど!」

 ですよね~。

 けも耳もいないし、エルフもいないし。いるのは人間と魔獣だけだし。

 

 何より、一番最初に嘆くのは・・・・。


「何で神官に女性がいないんだぁぁ?!俺を呼び出したのがなんで美少女じゃないんだぁぁ!」


 大概、爺だね。

 うん。分る。でもそれは多分祀っているのが、女神だから。

 召喚魔法を与えたのも、女神だから。

 そして。女の神が男主体にしたいのは、ある意味必然ですから。

 だから神官は男しかなれません、はい。

 女の神官は駄目なのか?って勇者によく聞かれましたよ。でもね~。女神が神官を認定する儀式で、即行女は殺されちゃうんです。

 何せ、好みの男ばっかり神官にして周り固めてちゃってますからね。

だってさ。

 男がイケメン男を見て『爆発しろ!』と思うように。

 女が可愛い女を見て『爆発しろ!』と思うのも仕方ないじゃ・・?

 ただそこに。女神は本当に『爆発しろ!』をやっちゃうだけで。


 きっと不細工な女性なら、儀式の通過も可能かもしれないな。

 ・・・わからんけど・・。

 大体僕に女神の心理なんてわかるかぃ!


 半ファンタジー半リアル?

 いやいや。よく眼を見開け。これが現実なんだぞ!


「うん。この路線でいいか・・・」




「あ・・」


 考え事してたら、道端の何かを踏んだ。

 ん~・・。食べカスの骨か。

 ゴミだらけなんだよ、道が・・。

 そう言うところも「日本以外の外国」に近いと思っていい。生活臭なんてきれいな単語で括っていいような臭いじゃないしね。

 日本だって昔はこんなもんだったさ。いつかは知らんが・・。


 さて。


 これらを今来ているという勇者に話すためにも纏めていたんだが。


 いつの時代から来ている異世界人だかは知らないが、もし、近代社会から来た日本人だったら、すぐには納得しないだろうなぁ。いろいろと。

 外人だったら「そうなんだ」と、なるんだけどなぁ~。

 そういう意味で地球の中でも日本はちょっと異質なんだよね。

 と言っても、僕の前世は昭和だからなぁ~・・・・・。



 それに。

 異世界=勇者+チート+美少女+けも耳+エルフ+ハーレムって・・。

 ・・夢盛り過ぎ。日本の勇者さまは。

 前二つでも充分だろ?

 そんな都合のいいことが普通に起こるわけないじゃん。

 どんな敗者復活戦だよ。

 


 はぁ・・。また会いに行かなくちゃいけないんだよなぁ。気が重いなぁ。


 一回目の勇者召喚で、こちら側の王様以下お偉いさん、頭抱えちゃったし。それでつい僕がお節介したら、その後全部「賢者に任せてしまえ」と丸投げが定着しちゃってね~・・・。

 はぁ~・・・。

 何で歴史書の一節「勇者の指導は大賢者に任せれば安心」なんだよ!


 面倒な。ああ~面倒くさぁ~・・。


 戻れるものなら、あの頃の自分に「止めておけ!」と釘を差してやれるのに。


 


 いやだな。なんか嫌だな。

 行きたくないなぁ~・・このままバックレようかなぁ~・・。





  ふぅ。何か全体的に長くね?

微妙に疲れるんだが・・暇つぶしのくせに。はぅ!?

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