神様の不思議なプレゼント
初めましての方は初めまして。お久しぶりな方はお久しぶりです。どうも、鳥羽ふしみです。今回は合作という形で、この作品を投稿しました。ではでは、失礼します。
今日は学校もないし宿題もないし、最高の日曜日だ。
目覚めも良いし、気分も良い。
いつもより少しだけ遅い起床を済ませ、僕はリビングでテレビを見ていた。何てことの無い、よくある番組だ。
誰々が浮気しただとか、誰々が路上でキスをしただとか、まったくもって下らないものばかりだ。もっと他にも報道するべきことがあるだろうに。
っと、何だ? 来客か?
せっかくの休日だと言うのに、早くも邪魔が入った。
俺はしぶしぶ重い腰を上げて、玄関へと向かう。ゆっくりと扉を開いてみれば、そこには見慣れた作業着に身を包んだ若い男性の姿が。
営業スマイルならぬイケメンスマイルを顔に貼り付けて、サインをするよう僕に促す。
汚い文字でサインをし、あまり重くはない荷物を受け取った。差出人の箇所をちらりと確認してみれば、なんと“神様”と書かれているではないか。
「おいおい……悪ふざけが過ぎるぜ……」
あきらかに誰かの悪戯であることは分かるが、俺の胸の中で渦巻く奇妙な好奇心が勝り、自分の部屋で開けてみることにした。
部屋に入るや否や、俺は乱雑に包装を破り捨て、中身を確認。
すると――
「時計……?」
どこにでもある時計が箱の中に入っていた。右から見ても左から見ても、やはりなんら変哲のない時計だ。
もっと機能性に優れたものが欲しいとは思ったが、ひとまず、ただでもらえたのだから良しとしよう。
早速時計に電池を入れようと思い、時計を箱から丁寧に取り出すと、一枚の紙がはらりと舞い落ちた。
「なんだ?」
屈んでその紙を拾い上げてみると、どうやら手紙であることが分かった。
なになに?
『初めまして、私は神様です。
きっとあなたは、ただで時計をもらえてラッキー、とでも思っていることでしょう。
けれど実際、あなたは選ばれたのだから、自分のことを幸運だと思っても何ら差し支えはありません。あなたは私に選ばれたのです。
まずは説明書を読んでみて下さい。きっとあなたは幸福になれます
PS 今日のあなたの晩御飯がカレーライスです』
悪戯にしては手が込んでるな。それで、説明書がどうとか言ってたな。
箱の中身をもう一度よく確認してみると、この手紙とは別にもう一つ紙があった。
「説明書……」
ざっと目を通していく。ふむふむ、なるほど。ざっと噛み砕いて説明するとだな。
『この時計は自分で設定した時間の分だけ時を進めることができ、時間をワープさせた間の時間は確かに存在するが、その間の記憶は残らない。また、時を戻すことはできないから、使いすぎには注意しろ』
と言った感じだ。もしこんな普通の時計が、本当に俺をワープさせることができるとすれば、実に素晴らしいことではある。
だがしかし、そんな常識外れなことが、科学に絶対的支配をされているこの世界が、ワープなんてものを許すはずがない。
俺は大きくため息をついてから、しばらく時計を見つめる。
形も色もシンプルではあるが、見れば見るほど俺の心がざわつき始めた。しまいには、本当にワープができるんじゃないのかとすら思えるようになってきた。
「よし!」
ものは試しという言葉があるのだから、とりあえず試してみようじゃないか。
何十分にも及ぶ試行錯誤の上、俺はようやくこの時計が装着型であることに気が付いた。鏡で自分の姿を見てみれば、そこにはスーパーヒーロー然とした俺の姿――はなくて、時計を腰に巻き付けた、単なる変態の姿があるのみ。
「……恥ずかしい」
この部屋には俺しかいないとはいえ、こんな奇行をしてしまった自分が恥ずかしくてならない。
「ええい! どうにでもなれ!」
時計の針を十七時にセットして……日付は今日――っとできた。
スタートと書かれたボタンを押して、俺は目を閉じその場に座り込む。今か今かと心待ちにしてはみたものの、当然の結果として何も起こらなかった。
「……んだよ」
少なからずの期待をしていたので、俺はがっかりとして項垂れた。ふと窓を見ると、朝起きてから、まだカーテンを開けていないことに気が付く。
ぎこちない足取りでカーテンのもとへと向かい、そしてそれを一気に開け放つと。
「……ええ!? 夕方になってる!?」
近所の公園から退散していく子供たちの声や、カラスが夕焼けに向かって鳴いている姿を確認。
「やばいやばいやばい! これ本物だ!」
焦る気持ちをどうにか抑え、俺は階段を下りていく。急いでテレビをつけてみれば、俺の好きなアニメがちょうど始まったところだ。
「うおおおおおおお! 俺はワープしたんだぁぁぁぁぁ!」
「ちょっと? 何をさっきから騒いでるのよ」
興奮のあまり、大声をあげながらリビングをグルグルと駆けまわっていると、晩御飯のしたくをしていたお袋に、そうどやされてしまった。
とここで、さっき見た神様とやらからの手紙の内容を思い出す。カレー作りに勤しんでいるお袋に視線をあわせ、こう一言投げかけてみることにした。
「あのさ、今日の夕食ってカレーでしょ?」
シンプルな内容ですが、もしもこんな時計があったら凄いことになりますね。あり得ないからこその小説です。どうか子供の頃に感じたあのドキドキ感を、思い出していただければ嬉しい限りです。




