青-アオ-
青い髪、青い瞳の少年、浅木 蒼太はいつもの交差点で愛を待っていた。
第四話 青-アオ-
真九は飛ばされてしまった日本刀を拾い集めると元のように竹刀袋にしまった。
「戻っちまったか。お前の勝ちだぜ」
そう言いながら竹刀袋を肩に担いで立ち去ろうとする。
「待って」
呼び止められた真九が立ち止まる。
「何だよ。アタシもこれから学校へ行くんだ。手短に頼むぜ」
真九はクルリと大袈裟な仕草で振り返り、右手で愛を指差した。
「あなたは……」
愛は昨日とは一転して晴れやかな表情を見せる真九に戸惑いながら話し始める。
「あなたはどうしてそんな楽しそうなの?」
真九は複雑な表情を浮かべながら答える。
「アタシは、本当はこの色そんなに嫌いじゃないんだ。嫌なことがあって、それと一緒に忘れようとしたけど」
真九は空を見上げる。
「無理だったな。こうやってもとに戻って、ほっとしたって言うか、むしろ清々しいというか……」
真九につられて愛も上を向いた。
「たぶん……忘れたく無かったんだろうな」
呟くように言うと視線を戻し、再び歩き始める。
「じゃあな。アタシはもう行くぜ。お前も早く行きな。時間とらせて悪かった」
言われた愛が腕時計を確認すると、すでに待ち合わせの時間を過ぎている。
まだ待っていてくれるだろうがいつまでも待たせるわけにはいかない。
愛は真九とは逆の方向に向かって駆け出した。
青色に戻ったセーラー服をなびかせて走る。
時間が遅いためか、いつもいるはずの生徒たちは見当たらない。
しかしそのお陰ですぐに見つけることができた。
いつもの交差点では青い少年が待っていた。