rain1-7 告白
僕はいま、好きな子。玉木恵美と一枚の毛布を共有している。
恵美の腕が僕の腕に当たり、恵美の体温が伝わってくる。
そして、僕の顔は恵美のほうを向いていて、すこししか離れていない恵美の綺麗な眼が僕の眼をじっと捕らえて離さなかった。
「あたしがした願い事はね・・・」
恵美の口が開いた。僕は耳に神経を集中した
「幸せな日々がやってきますようにって」
恵美の意外な答えに僕は大きく眼を開いて、そのまま眼を離そうとしたが
「まだ駄目!」
恵美の当然の声に反応して、僕の動きは止まった。
「え、恵美?」
恵美の綺麗な眼が少し大きく見えた。それは恵美の眼にあるものがレンズの役割を果たしているからだろうか。恵美の表情は相変わらず笑顔だが。
「あたしはね、幸せになりたいって願ったの。いまも幸せは幸せなんだけどね。これ以上の幸せがほしいなんて欲張りかもしれないけど・・・・」
僕は恵美の眼を見ながらも息を飲んだ。
「でもあたしは、聡と一緒に幸せになりたい」
恵美のその言葉に頭が真っ白になった。ちゃんと聞いたはずなのによく分かっていなかった。そんなことを恵美は知ることもなく続けた。
「あたしは、聡が・・・好き」
僕は額に汗をにじませていた。肌寒いこの季節にもかかわらず、僕の体は高熱を発していた。頬が赤く染まる。自分でも分かる。
でも恵美のいった言葉を理解できるほど僕の頭は回らなかった。
でもすぐ近くにある恵美の顔を見ると、恵美の頬も赤くなっていることに気が付いた。
そして、それを見た僕は恵美がさっき言った言葉を理解した。
恵美から言われた予想を遥かに超える言葉。まさか恵美が僕のことを。
いつかは自分で言うつもりだった告白の言葉
好き-----。
それを恵美に先に言われてしまった。僕の好きな子に・・・。
「・・・、僕も・・・実は・・・・恵美が・・・好きなんだ」
もう、先には言えない。それでも僕は、自分の気持ちを精一杯伝えた。
僕がそれを言い終えた瞬間、恵美の眼が大きく見開いて、恵美の笑顔から声がこぼれた。
「アハッ、ほんとに?」
僕はうなずく。
「ずっと、好きだったんだ」
恵美の眼に捕らえられていた僕の眼はいつのまにか恵美の眼を捕らえていた。
それから言葉はなかった。
空には星が満天に輝いている。そんな空の下行われた愛の告白。
もう後ろにいるみんなは見えない。
僕の眼には恵美しか映らない。
そして、僕の眼にはどんな綺麗な星空にも負けない、恵美の綺麗な綺麗な無邪気で純粋な満面の笑顔が映し出されていた。




