rain1-4 カレー
キャンプ場についた僕らはさっそくテントの準備を始める。
テント製作班と食事の準備班の二つに分かれた。男はテント班、女は料理班。
運良く3人ずつだったので、綺麗に分かれた。
テントの設置というのは、結構大変だ。地面に釘を打ち付けたり、重いものを運んでいたりすると、すぐ体力がなくなる。
僕は、高校時代陸上部だったので体力には自身があったが、それでもかなり大変だ。当然おなかもすぐに空く。
テントの設置が終わり、おなかの減りがちょうどよい頃になると、料理班の料理も出来上がりつつあった。
目の前にはキャンプの定番とも言えるカレーがあった。
恵美の作った料理。いつもお父さんに作ってるんだからきっとおいしいんだろうな。僕ははやく食べたくてうずうずしていた。
恵美は相変わらず、何に対しても一生懸命だ。このカレーに対してもきっと精一杯がんばったんだろう。
恵美の額には汗がにじんでいた。他の女の子2人にも汗がにじんでいるが、恵美の汗は僕にとっては格別に綺麗に見えた。
そしてついに、カレーも完成し、さっそくみんなで食べ始めた。
カレーをごはんに乗せ、食べる。
とてもおいしい。ほどよい辛さが美味さを綺麗に引き出している。
みんながおいしそうな表情で食べている。
恵美が突然僕のほうを見て聞いた。
「聡、どう?おいしい?」
恵美の突然の質問に多少驚いたが、僕は正直に答えた
「うん、おいしいよ。ほんとにおいしい」
「みんな、このカレーほとんどは恵美が作ったんだよ!私達は手伝っただけ」
グループのリーダー格の涼子が言う。
「へぇ〜!そうなん?恵美料理うまいじゃんか!」
健二がテンションを上げていう
「えへへ、そんなことないよ〜」
恵美は片手を頭の後ろに当てて、照れ笑いをしている。いつも笑顔でいる恵美の無邪気すぎる笑顔。まぶしすぎて、目のやり場に困ってしまう。
ずっと見ていたいのに、つい目を逸らしてしまう。
ずっと見ていると、自分の気持ちを恵美に悟られそうだから。
でも、いつかは自分から恵美に気持ちを話すときが来るだろう。
恵美に対する気持ちを。
『好き』という言葉を。




