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プロローグ
幽霊なんているわけない。
そんなのただの空想だ。
そうゆう人はこの世の中にごまんと居るだろう。
率直に、見たことがないから信じられないのだろう。
なら、
幽霊が見える、触れられるといった、俗に『霊能力者』と呼ばれる人々は、どれくらい存在するのだろう?
ここである少女の話をしよう。
木下麻美17歳。
見た目も中身も普通の高校生である。
ただし一点をのぞいては…
彼女は幽霊を感じる事ができる人間『ユール』の1人だった。
私は彼女を、彼女が生まれた瞬間から、彼女の一番近くで、今までずっと見守ってきた。
彼女が元気な時も、落ち込んだ時も、いつだってそばにいた。
彼女が悲しんでいる時はその涙を乾かし、
眠りにつくときには、暖かく包みこみ、幸せな夢を与え、
時には、困難となる向かい風になった。
そう。
私は彼女の守護霊。
名前はミクル。
意味するものは『風』。風を司る霊の1人だ。
つまり私は『幽霊』なのだ。
これは、私と麻美との交流を描いた、真実の物語である―…。