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異世界ヒッピーは異種族バンドで世界を救う  作者: 不破久太郎


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5/5

〚4〛Start Me Up

あー、結局ハテナマークがついちまった。

世界を救う?俺が??音楽で???

やっぱり見た目通りこの神様はイカれてるのか。


「イカれてなんかないよ、俺の管轄する世界の一つから音が消えようとしているんだ」


え、心読めるのズルくないか?


「心を読んだわけじゃないよ、なんかすごい汚いものみるような顔してたからねキミ」


しまった、完全にバレてた。


ケンジは、気まずそうに手を合わせて

「すまない神様、別に悪気はなかったんだが今日はいろんな事が起こりすぎて。で、その音が消えるってのはどういう事なんだ?」と、さっさと話を元に戻そうとする。


神様は一つ咳払いをしてから


「惑星ツリル。サイズは小さいが、環境はお前が住んでた地球とほぼ一緒の星だ。ありとあらゆる種族が生息していて、どの国も歌や踊りを愛し、わりと平和に暮らしていたんだ。奴らが現れるまでは」


「奴ら?」


「『沈黙の教団』静寂こそが本来の世界のあるべき姿だと主張するファッキン謎の組織だ。奴らは強大な魔法力で人々を脅かし世界から音を奪っていった。このまま完全に音がなくなれば、水は流れを止め、大地は割れ、木々は枯れて、風は止まり、世界は崩壊してしまうだろう。

何より、何よりもだ、奴らのせいで俺の下界ライフお気に入りワールドがつまらない場所になってしまう。ドワーフの村のビール、エルフの里のワイン。蜂蜜酒だってある。これらが無くなると言うのなら、それは許せない事だ。分かるか?」


後半、かなり私情が入ってる気がするが?


「あんたの下界ライフはどうでもいいが、音楽の弾圧は気に入らないな。歌えない踊れないなんて、俺にとってはまさに地獄そのものだ。ピストルズだってクラッシュだってこんな世界はクソったれだって言うだろうな」


神は満足そうに「そうだ、パンクもロックも元々はカウンターカルチャーから発展したんだ。俺は今日のお前のステージを見て確信したね。こいつなら世界を救ってくれる、ってな」と納得するようにうなずいた。


ケンジは2本目のタバコに火をつける。

「で、俺はどうすればいい?まさかそんな危険な連中相手に演奏して、音楽の素晴らしさを説くわけじゃあないんだろ?」


「半分、正解」


神はニヤリと笑い、ケンジに向かって虹色に光る小さな三角形状のものを指で弾いた。


ケンジは受け取りそれを見る。

「ピック...?」


「そう、それはソウルピック。それを持って、ちょいと頭に思い浮かべるだけで、思い浮かべたギターが現れる。もちろんサウンドも思い浮かべた通りさ。試しにやってみなよ」


神がワクワクを隠せずにそう言った。


言われた通りケンジが頭にギターを思い浮かべると、その手の中に黒いレスポール型のギターが現れた。

「おぉ、こりゃすげー!」


ギター覚えたてのロック少年のようにはしゃぐケンジを見て神は嬉しそうに「すげーだろ!?」と、こちらも負けないくらいにはしゃいでいる。


そして急に真剣な面持ちになったと思うと「だがな、すごいのはこれからさ。お前の音は具現化する」


ケンジのギターはいつのまにかアコースティックギターにかわっていて、ゆっくりとアルペジオを弾き始めた。


「ツェッペリン...か」


ケンジが弾く一音一音が優しい風を纏いゆっくりゆっくりと辺りを覆っていく。その風は神の足元から徐々に体全体を包み込み、温かなオーラとなった。


「すごいな、お前のその音が体全体に染み込んでくる感覚だよ。って、え、ちょっ、待って」


ケンジのギターはテレキャスターに姿を変え、音が歪み始める。

ギターソロが始まった。

と、同時に神の体が吹っ飛び、辺りを暴風が吹き荒れる。


「痛い!ちょっ、ストップ!」


強制的に演奏を止められたケンジは不満げながらも「なるほど、これでその沈黙の教団て奴らに、身をもって音楽の素晴らしさを叩き込めってことか」と、チラッと神の方を見る。


神はボサボサになった髪型を整え「ギター1つでその力だ。これがバンドサウンドになったらと思うとヤバくないか?」


ケンジはピックを見つめ考えていた。


バンドサウンド。

ソウルジャム結成時のライブの事。

シュウとサトルのリズム隊がとても頼もしかった事。

好き勝手にギターを弾いていた事。

死んでしまったこと。


あー、2人には悪いことしたなぁ。


「...なぁ、神様、...俺やるよ。もう一回誰かと、バンドで音を鳴らしたい」


神は頷き「じゃあ、向こうでメンバーを見つけるといいよ。ほれ」と言い、ケンジに虹色のマイクとベースピック、ドラムスティックを渡す。


「きっと、それを扱うのにふさわしい者たちがいるはずさ」


パチン、と指を鳴らした。


真っ白な世界は砕けるように溶けていき、ケンジはまた意識を失った。


失った意識の中で神が語りかける。


「初めてのワールドツアーだね、頑張れよー」


やれやれ。

ピストルズ:70年代イギリスで結成されたバンド、セックス・ピストルズの事。現代でもパンク・ロックの代名詞になっており、このバンド名とメンバーのシド・ヴィシャスという名前は聞いたことあるんじゃないでしょうか。ちなみに、ピストルズといえばシド・ヴィシャス、みたいな感じがありますが、実は彼はは初期メンバーではありません。


クラッシュ:70年代にイギリスで結成されたバンド、ザ・クラッシュの事。こちらもまたパンク・ロックの代名詞になってます。僕が大好きな3rdアルバム『ロンドンコーリング』のギターを振り下ろすようなジャケットは見たことある人はいるかもしれません。(僕は高校時代ふざけてこれをやったらほんとに叩きつけてしまいとても後悔しました。)


ツェッペリン:60年代にイギリスで結成されたバンド、レッド・ツェッペリンの事。メンバー全員技術がものすごいことで有名。ちなみに、書いてはいないけど作中でケンジが弾いているのは『天国への階段』という曲。

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