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第9話 右肺


運転する渡瀬と後部座席に座っている咲夜・郁哉・千世霞の3人。


千世霞「さっき言ってた、右肺の機能がどうのって話は…」

咲夜「あぁ、あれね。」


千世霞の服を捲りあげる咲夜。


千世霞「ちょ、ちょ、ちょ!!!ダ、ダメだって、!!!」


千世霞のホルスターからナイフを取り出す咲夜。


千世霞「ぇ…」

郁哉「勘違いしてんじゃねぇよ。気持ちわりぃな、」

千世霞「なっ、!」


ナイフをケースから取り出し、自分の顔の前に出す咲夜。


千世霞「あ、危ないから、!」

咲夜「これ、一突きでここまで貫通するの。」


咲夜がナイフを振りかざした。


千世霞「ぇッ!」


千世霞は大きく目を見開いた。咲夜の振りかざしたナイフの先がキラリと怪しく光る。千世霞は咄嗟に目を瞑り、手で頭を守る。


千世霞「(何も無い…?)」


千世霞が恐る恐る目を開くと口を手で覆い、声を抑えるようにして笑う2人。


郁哉「傑作だな、」

咲夜「揶揄いがいがあるね」

千世霞「2人して、バカに…」


悔しそうに表情を歪め、軽く2人を睨む千世霞をケラケラ笑いながら散々バカにする郁哉。


郁哉「普通そんなビビるかよ。」

千世霞「ビビるよ!!!」


2人のやり取りを見て、耐えきれずに笑っている咲夜。少し驚いた顔をする千世霞と郁哉。

すると、そんな2人に気がついたのか、途端に真顔になる咲夜。


咲夜「…なに、」

「「いや、なにも」」


「(意外と高校生らしいところあるんだな…)」


咲夜「それで、本題に戻るけど、」

咲夜「このナイフで右肺を狙って刺したの。」

千世霞「あ、だから…」


千世霞は咲夜の手元のナイフに目を落とした。咲夜がナイフの角度を少し変える《キラリッ》と光るナイフ。


千世霞「肺にナイフが貫通した…。」

郁哉「つまり、右肺は完全に空気を取り入れられなくなる。」


千世霞のナイフケースを掴む咲夜。そして、《スチャッ》と音を立てながら、ナイフをしまった。


咲夜「人間、通常であれば右肺の方が大きい。右肺の機能が停止すると、左肺の機能が停止するよりも致死率が上がるってこと。」

千世霞「…」


千世霞は咲夜と、その向こうに座る郁哉の顔を見つめる。千世霞はなにか物言いたげな表情をする。


千世霞「(分かる、分かるよ。2人の言ってることは…。でも、それはいつから考えてたことなの?あの時、咄嗟に考えたの…?)」


千世霞の脳裏に浮かぶもの


それは__


千世霞は身体は前向きのまま、《チラッ》と目線だけを横に動かした。そして、涼しい顔をしている2人が視界に映る。



千世霞「(2人への、自分では分析できない感情。)」



恐怖なのか、畏怖なのか、それともまた別の何か。


No.1

死刑者

天衣 快斗-あまぎ かいと-

27歳 警察官(真田町二丁目交番勤務)


執行人

神月咲夜・響郁哉


責任者

佐竹 美菜子-さたけ みなこ-

68歳 政治家


報酬額

3000万円


依頼内容

死刑者(天衣快斗)の暗殺。


依頼動機

責任者(佐竹美奈子)の息子(佐竹治久-さたけ はるひさ-)が痴漢行為を働いたとして逮捕された。目撃者もいたことから、その場で死刑者(天衣快斗)が逮捕した。その事実を金銭でもみ消そうとしたが、死刑者が金銭の受け取りを拒否したため。


殺害方法

背中(右肺)・右足を刺突後、死刑者(天衣快斗)を池に沈め溺死。


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