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第5話 開示


実技授業(暗殺訓練)に加え、座学なども通常通り始まり、歪な学校生活が始まって4日が経過していた。


不流「まず、今回の任務について詳しく説明する。」

千世霞「はいっ、!」

郁哉「かたっ」

千世霞「…」

不流「お前ら仲良くしろよ…。」


教壇に手を置きながら、話を進める不流。


不流「責任者は佐竹 美菜子(さたけみなこ)68歳。政治家。」

郁哉「佐竹って、あの佐竹ですか、?」

不流「恐らくお前の言ってる佐竹だな。」

咲夜「何、誰?」


その言葉に郁哉は溜息をついた。


千世霞「少し前に、闇金の話が出てた政治家だよ。連日ニュースになってたけど見てないの?」

咲夜「テレビ部屋に置いてない。」

郁哉「スマホでニュースは見れるだろ。」

咲夜「世間に興味無い。」


「「…はぁ。」」とみんなが溜息をつき、呆れ顔で咲夜を見るも、それすら気にも留めていない様子。


千世霞「あの、責任者って?」

郁哉「依頼主のこと、」

咲夜「学校外で、暗殺とか言ってたらヤバいでしょ。隠語みたいなもん。」


ロリポップの棒を持ち、それを《クルクル》と回しながら説明する咲夜。


不流「覚えとけよ。」

千世霞「はい。」

不流「報酬は3000万。」

郁哉「しょっぱ、」

千世霞「え、高、くない…?」


千世霞「(人の命を扱う仕事だからそう考えると安いってことなのかな、?)」


咲夜「1人で3000万ならそこそこだけど、今回は3人で共同だから、割ったら1人で1000万。しかも死刑者が不法人とか殺人犯とかだったら、しょっぱ過ぎだから」

不流「ドンピシャだ」


「「えぇ〜…」」と拒絶反応を示す咲夜と郁哉。

そして、それに全くもってついていけない千世霞。


千世霞「え、あの…死刑者とか、不法人って言うのは…?」


千世霞を見て、大きくため息をつく咲夜と郁哉。


不流「1から説明する。一般人、暗殺者を除いた人間を終身者と呼ぶ。これは、終身刑から来ていて、暗殺者が手を下すことなく死を迎える人間のことを指してる。」

千世霞「わかりやすい…」

不流「また、標的にされた人間は死刑者と呼ばれる。これも終身者と同じで、死刑囚から来ていて、暗殺者が死をもたらすためにそう呼ばれている。」


スラスラと説明を進めていく不流。


不流「次に、執行人。これは暗殺者の事だな。」

咲夜「死刑執行とか言うから、そのままの意味。」

不流「また、これに習って警察を不法人と呼ぶ。由来は不法者から来ていて、ひとつに絞らずに幾つもの事件を請け負うことから来ている。」


不流は少し説明する事柄が多いことを察したのか、綺麗な真緑の黒板にチョークで大切な言葉をつらつらと書き並べていく。


不法「そしてさっきも言ったが、依頼主を責任者。まぁ、この2人はそうだが、逃亡者って言う時もあるな。」

千世霞「責任者と逃亡者って…真逆な感じが…」

不流「まぁ実際その通りだからな。逃亡者って呼ぶ時は、依頼主を蔑む呼び方だな。」

千世霞「え…」


両脇の2人を見る千世霞。


千世霞「(お金を貰ってる立場で、いわゆる依頼主を蔑むようなことをしていいのだろうか?)」


郁哉「実際、金で人殺してんだ。」

咲夜「お金出しただけで目障りな人間殺してるんだよ?責任逃れしてんじゃん?」


思い悩む千世霞。


千世霞「(そう言われると頷かない訳にはいかないかも。依頼主と言いつつも、人を殺すのは良くないことだし、それをお金でやろうとしてるのはきっともっと良くないこと。平たく言えば殺人教唆(さつじんきょうさ)と言ったところかな。)」


千世霞「…言われれば確かに?」


咳払いをする不流。


不流「基礎知識は入ったとして、次な。責任者からの依頼は不法人、天衣 快斗(あまぎ かいと)27歳の暗殺だ。」

千世霞「あの、動機は…?」

「「不法人か、」」

千世霞「あ、ごめん…。でも気になって…」


咲夜と郁哉に鋭く突っ込まれるも、大袈裟に身体を縮めることなく話を進める千世霞。


不流「あ"〜…」


タブレットを忙しなくスライドさせる不流。そしてあるところで、《ピタッ》と手が止まる。


不流「責任者の息子、佐竹 治久(さたけ はるひさ)が痴漢行為をしたとして逮捕された。目撃者もいたことから、その場で死刑者が逮捕したが、責任者の息子は否定し続けたらしい。」

千世霞「実際には、どうなんですか…?」

不流「限りなくクロだな。」


キッパリと言い切る不流。

そのあまりに揺るぎないと言わんばかりの言い方も相まり、千世霞は動揺を隠せない。


千世霞「え…それなのに、?」

咲夜「だからでひょ(だからでしょ)、」


いつの間に、机に突っ伏して目をつぶっている咲夜。

《コロンコロンッ》と口内でロリポップを転がしていて、口から出ている棒が《クルクル》回っている。

そして、困惑の表情を浮かべる千世霞。


千世霞「えっと…どういう、こと、?」

咲夜「シロなら裁判で戦えばいい。でも、クロなのを本人も逃亡者も分かってんの。だから、お金でもみ消そうとしてるってこと。だって逃亡者は闇金でリークされてたんでしょ?そんな奴だよ?もうわかりやすいじゃん。」

郁哉「正義感の強い死刑者は、金でもみ消されたくなかったんだろ。そんで抗った。そいつが邪魔だから、金で揺れない奴なら、金で殺そうってことだろ。」

千世霞「え、そんなの__ 」

咲夜「千世霞知ってる〜?」


咲夜は千世霞が言葉を続けようとすると、それに被せるように話し出した。机に《ベターッ》と頬をつけたまま、千世霞を無気力に見つめる咲夜。


咲夜「逃亡者に多い職業と、死刑者に多い職業。」

千世霞「えーと…政治家と…、犯罪者…?」

郁哉「違ぇよ。政治家と不法人、警察だよ。」


千世霞はドクンッと胸が嫌な高鳴りをしたのを感じた。衝撃は勿論だが、千世霞の中ではそれ以上に嫌悪が勝っている。 その事実に俯く。


千世霞「な、なんで…」

郁哉「政治家は金にものを言わせてんだよ。金で動かないのが警察。まぁ一部例外もあるだろうが…。だから殺して抹消すんだよ。」

千世霞「そ、そんなの…良くない…」

咲夜「だから言ったじゃん。」


咲夜は身体を起こし、頬杖をつき、真っ直ぐと不流を見つめる。


咲夜「あいつらは責任者じゃないよ。逃亡者だよ。」


千世霞「(最もだ…。お金をもらう側である僕たちが依頼主を蔑むのはいいのか…なんて思っていたけど、蔑みたくもなる…。)」


千世霞「逃亡者、だね…」


3人の顔を見渡す不流。


不流「最初の任務にしては重いと思うが、行けるか?」

郁哉「はい」

咲夜「はぁ〜い」


机上で手を強く握る千世霞。


千世霞「僕、自信、ないです…」

郁哉「さっきはあんなに啖呵切ってたのに早々かよ。」


千世霞の顔を〈チラッ〉と見る咲夜


咲夜「じゃ、千世霞見学で。報酬は私と郁哉で山分けは?」

郁哉「こいつが邪魔しないならあり、」

不流「…まぁそうだな。今回は千世霞は見学にするか。」

千世霞「すいません…」

不流「いや、初めての依頼でこの内容は確かに重いからな。俺とか、こいつら2人は慣れてるから、そこら辺の感覚がズレてるからな。」


千世霞「(感覚がズレてることは自覚してるんだ…)」


不流「とりあえず、あと期限まで3日だ。頼んだぞ。」

郁哉「はい」

咲夜「ん〜」

千世霞「…はい、」


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