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第15話 毒


朝倉「ゔっ…、ぁあ"ッ!!は"ッ、はっ"…」


体を横にし、体を丸める死刑者。





それをタブレット越しに見る郁哉と千世霞の2人。


朝倉『ゔぁぁぁ、!!』

千世霞「ぅっ…気持ち悪い…」

郁哉「お前なぁ…」


呆れた顔で千世霞を見る郁哉。その後「はぁ…」とため息をつき、画面に目を移した。


朝倉『はっ、はっ…ひゅっ…は"ッ…』

千世霞「なんか、急に静かじゃない…?」


郁哉は目線だけを千世霞にやった。そしてまたすぐ目線を画面に戻す。


郁哉「毒がだいぶ回ってきたってことだろ。」

千世霞「ぇ…」


千世霞は驚いたように郁哉の顔を見る。

しかし、郁哉の横顔は冷静で涼しいものだった。そんな郁哉を見て、千世霞は《ゴクリッ》と息を飲んだ。


千世霞「それって…」


千世霞が呟くと、郁哉は何も言わない。


郁哉「見とけ、」


郁哉はそれだけ呟き、千世霞はその横顔を見守る。

そして、千世霞も画面に目を移した。


画面に映る死刑者の胸元はこれでもかと大きく膨らんみ、ゆっくり戻っていく。そしてまた膨らみ、戻っていく。

そして、そこから胸元の位置が変わることは無かった。


千世霞「ッ…」


2人の背中とその間に見えるタブレット。

そのタブレットには部屋の中に倒れ込み、口や目を開いたまま惨い表情で死んでいる死刑者が映し出されていた。







《一方 咲夜の暗殺依頼》


車の後部座席に乗り、飴を咥えている咲夜の横顔。それは相も変わらず涼し気な表情だ。


《午後9時25分__ 》


渡瀬「もうすぐで着くよ。」

咲夜「…はい、」


渡瀬はバックミラー越しに咲夜を見る。咲夜はタブレットに手を伸ばした。そして、タブレットを開く。

タブレットに表示されたのは今回の任務内容。

《タッタッタッ》とタブレットを操作する音が車内に響く。しかし、咲夜の手が《ピタッ》と急に止まる。

画面に移されたのは依頼動機。


咲夜「…」


咲夜はタブレットの画面を閉じた。そしてケースにしまい、また、外の景色に目を移した。

そんな咲夜の一連の様子を見て、渡瀬は控えめに微笑んだ。





《半年前___ 》


パチンコ屋に出入りしている死刑者。


《死刑者 東 与一》


《36歳 無職》


車を運転している死刑者。片手にはタバコ。

死刑者の車が信号を渡る男性に衝突。


東「ッ、!」


死刑者は男性に目をやる。

男性は血を流し、気を失っている。

しかし、死刑者はそのまま、男性を残して車を走らせた。


《責任者 山本由希子の息子である山本彰人(やまもとあきと)に対し、轢き逃げ容疑で逮捕された。》


車椅子の山本彰人。


《山本彰人は一命こそ取り留めたものの、開放骨折により、下半身切断を行った。》







渡瀬「着いたよ。」


車内でパーカーのフードを被る咲夜。


咲夜「…ありがとうございます、。」


それだけ告げ、咲夜は車の扉を開けた。車から降り、扉を閉める。振り返り、背中には車。

目の前にあるのは、防犯カメラもないボロボロのアパート。

咲夜はポケットに手を入れた。


《ザッ》と砂利の上を歩きながらアパートへ足を向けた。《ザッザッザッ》とそのままアパートへ向かった。


《103号室》の表札には名前が書かれていない。


咲夜はポケットを《ゴソッ》と漁り、合鍵を取り出した。合鍵をドアノブに差し込む。《クルッ》と合鍵を回すと、《カチッ》と音が鳴り、咲夜は手袋越しにドアノブを掴んだ。部屋の中に入った。



死刑者・東与一の行動パターンは決まっていて、毎日午後9時から午後10時までは毎日パチンコに滞在している。そして今日も案の定パチンコを打っている死刑者。

咲夜は手に提げていた袋に目を移した。《カシャッカサッ》と音を立てながら袋に手を突っ込む。袋から取り出した手には、ビール缶が握られている。





渡瀬『毎週金曜日にブラックスターハイボールとJINを購入してるね。』


渡瀬はタブレットを《タッタッタッ》と操作する。そして、その画面を咲夜に見せる。咲夜はタブレットを受け取った。


渡瀬『それで、これが頼まれてたやつだね。』


渡瀬は机上に袋を置いた。


咲夜『ありがとうございます…』


咲夜は袋に手を伸ばし、早速、《カシャッカサッ》と言わせて中を漁る。出てきたのはハイボールとビール缶だ。


咲夜はハイボールとビール缶をそれぞれ机上に置いた。手にゴム手袋を嵌める。そして、薬品棚に《ソッ》と手をかける。咲夜が手にしたのは睡眠薬だ。

そして、睡眠薬を机に置き、机上の機器を手にとり、それでビール缶に穴を開ける。同じようにハイボールにも穴を開ける。机上に《コトッ》と機器を置く。


今度は、机上にあった注射器を手に取り、注射器を液状の睡眠薬に刺し、注射器に睡眠薬を入れる。そして、注射器をビール缶とハイボールのそれぞれの穴に刺す。

ゆっくり睡眠薬を注入していく。


咲夜のその様子を見ている渡瀬は微かに微笑んだ。







《前日 午後9時45分__ 》


死刑者の部屋の前に佇む黒い影、咲夜だ。

ポケットに手を突っ込み、ピッキング道具を中から取り出し、ピッキング道具をドアノブに差し込む。

手馴れた動作で《クルッ》とピッキング道具を回すと、《カチッ》と音が鳴り、扉が開く。

ピッキング道具を引き抜くと、咲夜は手袋越しにドアノブを掴んだ。部屋に侵入する。


部屋を見渡す咲夜。咲夜は台所下の棚に目を付けた。棚を開くと、そこには咲夜1人ギリギリ入れるスペースが。そして、咲夜はそこに体を入れていく。

少しボロいせいか《ミシッミシ》と僅かに音を立てながら。

その中で体を小さくしながら、咲夜はそのまま目を閉じた。


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