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第11話 補佐


不流「ただこいつは、過去に轢き逃げ犯として服役している。」

郁哉「犯罪者か、」

不流「あぁ、そうなるな」


《ゴクリッ》と固唾を飲む千世霞。そして、横の咲夜に目を移した。

咲夜は机に頬を垂れながら、口先からでた棒が《クルクルッ》回っていて、口内のロリポップを《コロコロ》と回していることが見て取れる。


不流「責任者は山本 由希子(やまもと ゆきこ) 42歳 主婦。動機は__ 」

咲夜「別にいらない。」


動機を伝えようとする不流の言葉に、食い気味に答える咲夜。


不流「それもそうだな。」


「んん"」と咳払いをする不流。


不流「どちらも期限は無い。ただ、できる限り早くと、両者責任者からの依頼だ。」

「「はい」」


郁哉は咲夜に目を移した。相変わらず、眠そうな目をしている。


郁哉「はぁ…」


ため息を着く郁哉の横顔を盗み見る千世霞。








___千世霞・郁哉と対峙する女性。



夏菜子「は、初めまして…。橘 夏菜子(たちばな かなこ)です。今回の任務で補佐をやらせて頂きます…。」


夏菜子「(わぁ〜!!若い、何度見ても慣れない!!1回生って言ってたよね?ってことは15歳!?15歳が暗殺なんて…。お、恐ろしい…)」


千世霞「はじめまして、琴塚千世霞です、!」


《ペコッ》と深々とお辞儀をする千世霞。


夏菜子「(いい子、すっごくいい子!)」


郁哉「…響郁哉っす、お願いします…」


千世霞に習うように軽く会釈をした郁哉。しかし、すぐに《フイッ》と顔を背けてしまった。


夏菜子「(うん、クール!でもきっといい子!照れ屋なのかも、多分!)」


夏菜子「よ、よろしくね、!」


車に乗り込む3人。

後部座席に座った郁哉と千世霞。郁哉はタブレットを《サッサッ》と操作して、資料に目を通している。


千世霞「ぁ、あの、」

夏菜子「、どうしたの?」

千世霞「橘さんは、どうして補佐に…?」

夏菜子「っ、!」


驚いて目を見開く夏菜子。すると、千世霞は焦り、手を《ワナワナ》と振り出した。


千世霞「い、嫌なら言わないでもらっても、!」

夏菜子「違うよ、!嫌、なんじゃなくて…。初めてそんなこと聞かれたなぁって…」


そう言って照れくさく笑う夏菜子。


夏菜子「私ね、許婚が居て、その人と結婚したの。夫は、暗殺者だった。」

千世霞「それ、ご両親は…」


夏菜子は《ブンブン》と首を横に振った。


夏菜子「夫が暗殺者だからね…。私も補佐として借り出されてるってだけ。自分の家系に暗殺者はいないと思う。」

「「…」」


重い空気が《ズシッ》と車内に。


郁哉「生きててよかったっすね、」

夏菜子「え、?」


《ボソッ》とそういう郁哉。驚いてミラー越しに郁哉を見る夏菜子。そして夏菜子と同様に郁哉を見つめる千世霞。


郁哉「暗殺者と結婚して…、ましてや見合いとか許婚だと、殺されるなんてこと、よくある話っす。」

千世霞「そうなの…?」

郁哉「あぁ"…」


あくまでも、郁哉はタブレットから目を離さない。


郁哉「形だけであっても、家族になる。言ってしまえば、その暗殺者の弱みになる。」

「「…」」

郁哉「個人情報が流れるかもしれない。好意があるなら、人質に取られたら尚更弱点になりうる。」

千世霞「た、確かに…」


「だから」と言いながらタブレットを閉じる郁哉。


郁哉「暗殺者は独身が多い。それは好きな人がいないとかじゃなく、交際することにも、結婚することにも、メリットが見いだせないから。」


少し間を開け、郁哉は続けた。


郁哉「それと、自分と相手を守るため。」

「「…」」

郁哉「まぁ、もちろん例外もある。互いに暗殺者だから結婚するっていうのはよくある話だし…。」


「実際俺の親もそうだった…」と零す郁哉。


千世霞「(そうだった…?だったって…)」


夏菜子「そっか…。じゃあ私は今生きていられるだけで運がいいんだね、!」

郁哉「…」


千世霞は何も言わない郁哉から目を離さない。


郁哉「運がいいのか…、気に入られてるかじゃないっすか…。詳しくは知らないっすけど、。」


千世霞「(不器用なりに励ましてる…のかな?それなら、)」


千世霞「僕もそう思います、!」

夏菜子「そう、?ありがとう…、!」


夏菜子はバックミラー越しに2人を見る。

嬉しそうに郁哉をみて微笑む千世霞。


郁哉「なんだよ、気持ちわりぃな。」

千世霞「ぇ、酷いよ…」


心底傷ついた表情の千世霞。

面倒そうな表情の郁哉。


夏菜子「(仲良し…)」


そんな二人を見て、微笑む夏菜子の目元がバックミラーに映った。


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