【茶side】
自分では普通の女の子だと思ってるようだけど、実際はガサツで女らしさのカケラもねぇガキに、俺は惹かれていた。
――職員室。現在俺は、生徒たちの答案用紙に丸バツを付けながら、とある生徒の事を考えていた。
……黒子…。
つい数分前まで、彼女の瞳には、俺しか映っていなかった。
「ハァ…」
「どうした茶十河? 成績が落ちた子でもいたのか? 」
隣のデスクで、俺と同じように赤ペンを走らせながら唐突に聞いてきた同僚に、「そんなんじゃねーよ」と何時も通りの口調で返す。
「じゃあ何だ? 恋の悩みかー? 」
ニヤニヤした顔で聞いてくる目前のヤローに多少の苛立ちを覚えながらも、生まれ持ってのポーカーフェイスを崩さず、「まぁ、そんな処さ」と、答えた。
「へぇ…」
「……何だよ? 人の顔、ジロジロ見て。そんな趣味ないんですけど」
「俺だってそんな趣味ないわッ!! …っつーかさぁ、意外だなぁと思って」
「は? 何が? 」
「お前が。だってよぉ、お前、自分のお気に入りの女見付けちまったら、無理矢理でも手前の我を通すヤローが、今回はまだ、キッスさえ出来てないってさぁ」
「……」
誰かが言ってた。自分というものは、人に言われて、初めて気付くことが多いとか。
だったら、俺は今、同僚の言葉で知ったわけだ。
自分というヤツに…。
「茶十河? 」
「本気で、大事にしたいと、思ってんだな」
「はぁ? 」
「サンキューな、同僚」俺は、持っていた赤ペンで同僚の頬ぺったに大きなはなまるを書くと、大の大人である事を忘れ、勢いよく席を立った。
一瞬、職員室がシーンと静まり返った気がするが、多分気のせいだろう。
他の先生達や勉強を聞きに来ていた生徒達の視線が痛い…気がする。
「茶十河、先生? 」
教頭が、訝しげな顔で俺を見ていた。
「あのぉ俺も、休み時間に、入りまーすぅ」
赤ペンを放り投げ、職員室を飛び出した。校則で禁止の廊下を走り、いや…俺の場合はや歩きであって、決して走ってるわけじゃない。
あの子に、一分一秒でも早く、会いたい。
その思いでほんの少し走ってるけどぉ…。あ、走ってるって認めちゃった。まぁ、いっか。
後ろで怒声が聞こえた。うん。今は多分、空耳だろう。そう願いたい。
暫く走り続けていると、視界に漆黒の髪を肩まで下ろした、女子生徒の背中が映った。
「おいっ!! 」
声を掛け、女子生徒―黒子の肩を掴もうと腕を伸ばしたその時、「先生」と、声を掛けられた。
「……何? 赤那、何の用? 」
自分でもビックリするぐらいの冷たい声。
後、一歩の処で黒子を捕まえられたのに、ホント、何時も何時もコイツは俺の邪魔するよなァ。イライラする。早くコイツ消えてくんねぇーかなぁ…。
「何、イライラしてるんすか? 先生ー」
「え? まじぃ? 顔には出してないつもりだったんだけどなぁ」
噛み合わない会話。コミュニケーションはキャッチボールって誰かが言ってた気がするけど、まぁ、俺は今生徒とのコミュニケーションより、自分の気持ちに素直になって、楽になりたいわけで。
「赤那ぁ、悪ぃけどさぁ、先生今大事な用で―…」
「だったら、尚更行かせたくありません! 」
「…は? 」
間の抜けた声を発したのと、唇に柔らかい感触を感じたのはほぼ同時だった。
目前には、赤那の意外に長い睫毛が映る。
…え? ちょっと待って! 俺、今、何してる? 唇に感触って…。あれ? 此処、何処だっけ? 確か、此処は――。
「茶十河先生!? アンタ、生徒と何してんだアァァァァ!! 」
あ…ヤベぇ。これ、完全にクビだわ。
to be contnued・・・
後書き
はい…。短いですが、茶十河Sideでした
教師×生徒に最近萌えまして((勝手に萌えてろッ!!
今の処、赤那が悪役な感じですが、次は、赤那Sideです
初出【2012年3月15日】




