夜道
それはある日のことだ。
本当うに。
ある日のこと。
仕事が終わり帰宅途中の事だ。
ふと気になった事がある。
暗い夜道で。
辺りには誰も居ない。
当然だ。
深夜だからだ。
普通は誰もが寝る時間だからだ。
誰も居ないのは当然だ。
そう。
当然の筈だ。
当然の。
筈。
その筈だ。
だけど誰も居ないと妙な感じがする。
何というか……。
何かが潜んで居るのではないかと思わず考えてしまう。
何かが。
そう。
何か
ふと嫌な感じがする。
その瞬間怖くなった。
何かに襲われるのでは無いかと考えた。
ナニカニ。
「考え過ぎか」
そのまま歩き始めた。
カツカツ。
カツカツ。
「気にし過ぎだよな」
カツカツ。
カツカツ。
「気にしすぎだよな」
カツカツ。
コツコツ。
カツカツ
[うん?」
靴音がする。
自分ではない誰か。
こんな時間帰宅していない者が居るとは思わなかった。
カツカツ。
コツコツ。
カツカツ。
コツン。
コツン。
「うん?」
コツン。
コツン。
コツン。
何かが止まる。
何かが。
ナニカガ。
「……」
息遣いを感じる。
人……。
人だと思う。
恐らく。
恐らくだと思う。
夜の闇。
深い。
深い。
夜の闇が有った。
暗い。
暗い闇。
そこには何かが居る。
何かが。
ナニカガ。
原始の本能を呼び起こすナニカ。
それが感じられる。
夜の闇が其処に広がっている。
暗い闇。
人影があった。
黒い。
黒い影。
汚泥の様な黒。
ドロドロとしたナニカ。
トレンチコートを着た不審人物がいた。
手をゆっくりとトレンチコートにかける。
其の人物はトレンチコートを脱ごうとしているみたいだ。
「ミテ」
何を?
「ミテ」
不審人物から声がする。
喉がヒリヒリする。
唾液が飲めない。
何だ?
何なんだ?
何が起こる?
何なんだ?
「ミテ」
何なんだ?
「ミテ」
トレンチコートを脱いだ。
そう。
不審人物はトレンチコートを脱いだのだ。
眼の前で。
眼の前でだ。
「見て」
そこに居たのは一人の女性だった。
縄で体を縛った全裸の女性。
羞恥と興奮で顔を赤くし震える女性だった。
露出狂である。
女の。
「沢山見て」
二十年後。
「というのが母さんとの馴れ初めだ」
「いや~~ん」
父が母の肩を抱きニヤける。
母は赤面してモジモジしてます。
「親子の縁を切らせてもらいます」
間髪入れず言いました。
僕の誕生日に何というカミングアウトしてるんだ。
この両親は。
「その時母さんを押し倒して生まれたのがお前だ」
「興奮したわね~~」
あ~~。
蹲りたい。
ええ。
「そんな僕の誕生秘話何ぞ聞きたくないわっ!」
「お前も年頃になれば分かる」
「分かるかああああああああああああああああああっ!」
後日談。
五年後にAV女優に一目惚れして結婚しました。
血筋ですかね~~。(遠い目)
ええ。
露出する勇気っ! ←お巡りさん、こいつです。