十月桜は、風に吹かれて
掲載日:2022/10/16
静かな雨の午後
行く道に浮かぶ
水溜まりのエメラルドに
黄や紅の葉が映える
碧く繁っていた街路樹も
いつの間にか
細い枝が見え始めて
かすかな雨音に
耳を澄ませながら
涙ぐむ空を見つめる
ふと気付けば
小さな薄紅色の花
十月桜の樹の下で
十月桜は、雨に微笑んで
咲きゆく花は
風のまにまに
冷たい時雨に
その身を揺られながら
春のような陽射しは
そこになくても
それでも咲く
控えめで小さな花びら
けれど春にも増して美しく
その姿に惹かれて
十月桜は、風に謳って
花と葉にそよぐ
時の風にのせて
人知れず重ねてきた
日々はきっと
冷たい雨や風にも
負けない強さとなって
やわらかに咲き
春のようなぬくもりを
見る人の心に届ける
その姿に憧れて
十月桜に、心を重ねて
その花のように
生きてみたいと
咲かせたい花が
伝えたい今が
そこにあるから
光り出す雨打ち際
やがて空が晴れわたる時
その花びらも
キラキラ風にゆれて
雨に微笑み、
風とともに謳い、
星のように静かに、
ぬくもりを届けられたら
それは季節をも越えて
そんな花を
咲かせたくて
雨上がりの陽に輝く
十月桜の、樹の下で
十月桜は、春と秋の年二回花を咲かせる桜の種類で、秋は十月頃から春とはまた違った雰囲気で咲きます。お読みいただき、ありがとうございます。




