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剣と魔法の世界に転生したのに

作者: レトルト


ここは、いわゆる、魔物などが存在する中世ヨーロッパ風の剣と魔法の世界である。


「おぎゃー、おぎゃー」


とある一室から赤ん坊の泣く声が響いた。


ある一人の赤ん坊が産まれた。


この赤ん坊は、地球からの転生者で元日本人である。


(ぇ、なに?どこ?ここ?目をあけるのがつらいし、何もよく見えない!ぅぅ、ね、眠い。。zzZ)



------------


あれから、一週間ほどが経ち、うっすらとだが状況を把握できてきた。


どうやら、自分は、転生したらしい。まだ、寝て、起きて、おっぱいを吸って、繰り返しで、意識もおぼろげで何もできないでいる。ほぼ本能に従って、生きるのが精一杯だ。



------------


そして、2歳半ばを過ぎたころに、この世界に魔法があることを知った。キッチンで母親が手をかざして、もごもご何やら言っていると薪に火がつくのを目撃しのだ。


(お!マジか!今の魔法か!?魔法なのか!?)


「まんま、なにちたの?」


まだ舌足らずの言葉で母親に聞いた。ちなみに、言語は、日本語ではないし、はじめは、言葉を理解できなかったが、子供が言葉を覚えるのと同様にわかるようになってきた。


「ん?どうしたの?こっちに来ちゃだめよー」


「これ、ボッした。ボッした!」


「あー、これは、火よ。アチチだから、近づいたらダメよ。」


「んんー、手て、んー、ボッ!しゅごい!」


「そっちかー。これはね。魔法って言うのよ。もっと、大きくなったら、教えてあげるからね。使おうとしちゃ絶対にダメよ。」


「ぉー、あい!」


(魔法!魔法があった!前世ではアニメやマンガ、ネット小説など見ていたし、魔法には、憧れる!母親には大きくなったらとは言われたが知ってしまったからには、試さずにはいられない)


こうして、魔法特訓を始めるのだった。



------------


都合良くすぐに使えるものでもなかったが前世の(マンガなどの)知識をフル稼働させて、親に隠れて、特訓をしていた。


あれから、体内の魔力を感じて、手のひらに魔力を集めるところまでで約1年かかって、やっとできるようになった。あとは、イメージをしっかりとして、魔力を放出させる感じのはず。


(とりあえず、火は、危ないから無難に風の魔法かな。そよ風をイメージしてやるか)


「そよかぜよ!ふけー!」


手のひらからほんのりと風が吹いているのを感じる。


「おし、せいこうだ!」


(マンガや小説に良くある魔力を増やす方法は、一度、魔力を使い切ることで、魔力欠乏からの超回復だな。試してみるしかないな)


「そよかぜよ!ふけー!」


(ぅっあ、頭が、体が、も、もうすこしか?うおーー!)


そこで、意識が途絶えた。



------------



そう、この転生者は、目が覚めることは、もう無かった。

この世界では、すべてのものが魔力を持ち、物質を形作る要素のひとつだった。なので、魔力を失ったことで死んでしまった。また、物質を形作る要素のひとつということは、それが無くなれば、それは、消滅を意味する。


母親が物音を聞きつけて、駆けつけて来たときには、人の形を保つことできず、崩れていくところだった。そして、衣服を残して、名もしれない転生者は、消滅したのだった。



この世界では、魔力を使い過ぎると消滅すること自体は、知られていたが、魔力を感じることができるのは早くても5歳頃で一般的には8歳頃に感じることができるため、親もまさか4歳なるかならないかくらいの子が魔法を使うとは思わなかったのである。


まぁ、可哀想なのは、親であって、転生者ではないことは、確かだ。

勝手に魔法の特訓をしだして、魔力欠乏になったのだから。。。

物語が始まる前に消えてしまう転生者を書いてみたくなりました(笑)

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