夢は映画俳優!!
僕の夢は映画俳優です!!
そんなことを学生時代に良く言っていた。
俺はもう30歳手前だ。
それでも、映画俳優に憧れて目指している。
そして、今オーディションが終わって帰っている途中だ。全然手応えがない。
「あんな奴らに俺の演技の良さが分かるわけがない。
もっとちゃんと俺のことを見ろよ。ちくしょう。」
人のせいにすると少し楽になる。
俺は酷い人間だ。自分が嫌になる。
家に着くと彼女がご飯を作って待っていた。
いつもみたいにおかえりと笑顔で迎えてくれた。
最近はそれが辛い。俺は彼女に何もしてあげれていない。それでも、彼女はずっと俺と居る。
彼女は夢である美容師になり毎日頑張って働いている。
俺とは大違いだ。
「今日のオーディションどうだった??」
「多分ダメだね。まあ俺の良さが分からない様じゃこっちから願い下げ。」
「そんなこと言っちゃダメだよ!!ご飯食べよう。」
いつも一緒にご飯を食べいる。
食事中は彼女が今日あった事を話して俺がそれを聞く。それが、日常だった。
でも、今日は俺が落ち込んでいると感じたのか彼女が慰めてきてくれた。
「そろそろ、映画俳優になれるんじゃない!?
だって、天才なんでしょ!!??」
けど、俺はイライラしていて、慰めに聞こえなかった。
「何が天才だよ!!どこが天才なんだよ!!
俺の!!どこが天才なんだよ!!今までで1回もオーディション受かったこともないし、名前の付いた役さえ貰えたことがない!!そんな俺のどこが天才だって言うんだよ!!(何で怒鳴ってるんだよ俺。あいつは悪くないのに)それに夢を叶えたお前に何が分かるんだよ!!いつもいつもニコニコ楽しそうにしやがって!!(そんなこと思ってない)俺に見せつけているのか!?私は幸せで貴方は不幸せだよ、現実見ろよってか!?(あいつはそんな事思ってない)なんで俺と一緒に居るんだよ!!私は売れない俳優と一緒に居て優しいでしょって周りに思わせたいのか!!??(やめろ、もうやめろ)迷惑なんだよお前なんか!!出て行けよ!!!!」
思っていないことを口にしてしまった。
恐る恐る彼女の方に目を向けた。
彼女はただただ黙って涙を流していた。
俺は耐えれなくなり部屋を飛び出した。
1時間程頭を冷やして部屋に戻った。
謝ろうと思った。
でも、そこには彼女の姿がなかった。
ハイ、カット!!
オッケーです!!