一日一本投稿 ~三日目~
テーマ 転生の最初
今日、俺はトラックにひかれて死んだ。
突然のことだった。ワクワクしながら新作の漫画を買い、信号を待っていた時だ。
一人の少年が横断歩道を飛び出してきた。少年は一瞬で十メートルは吹き飛んだ気がした。信号は赤だったのにもかかわらずなぜ飛び出してきたのかはわからないが、咄嗟のことで俺は脚がすくんでしまい助けることができなかった。
…が、少年がひかれたかと思うと、俺がワクワクしながら信号を待っていたころに戻っていた。
向かいの信号を見ると先ほど引かれた筈の少年がいた。
俺は漫画を買ったワクワクはなくなっていた。夢か現実かを考えていると視界の端で少年が走り出しているのが見えた。
「だ、ダメっ」キー!!
少年が引かれた。また、救えなかった。今度は先ほどよりも少年の死の瞬間が見えた。自分のことではないのに走馬灯が見えたかのように世界がゆっくりとなっていた気がしている。夢かどうかなどどうでもよくなっていた。俺命を救わなかった。
…ふとした瞬間に目の前の景色が変わっていた。
それは先ほどまで見ていた少年が引かれる前の俺が信号を待っていたころだった。
「ま…た。」
隣にいたスマホしか見えていない女子高生が少し俺から離れた。
俺は頭が働かなかった。少年が今から死のうとしている。
「動くなッ!!」
人生で一番大きな声が出た。周りの人間はみなこちらを見ている。だが少年は聞こえていないのか、同じように横断歩道を飛び出してきた。
少年が止まらないことに気づいた俺は考える間もなく動き出していた。手に握っていた新作の漫画が地面に落ちる。今まさに少年が車にひかれるという瞬間、少年の手を引いた。
少年の顔は見れなかった。