日本の避妊は遅れてる、なぜ日本はコンドーム第一主義?
(* ̄∇ ̄)ノ 奇才ノマが極論を述べます。
避妊と言えばコンドーム。
だと思い込んではいませんか?
コンドーム以外にも避妊法はあるものの、日本では知名度が低いようです。では他の避妊法を少し見てみましょう。
ちなみにコンドームの避妊失敗率はパール指数では2%から18%です。
■経口避妊薬
飲み薬による避妊、いわゆるピルです。
低用量ピルは、排卵を抑制する作用に加え、子宮内膜や子宮頸管粘膜にも影響することで、避妊効果を現します。
避妊失敗率は0.2%です。
■アフターピル
アフターピルは避妊措置に失敗、または避妊措置を講じなかった性行為後に使います。そこからモーニングアフターピルと呼ばれます。
72時間以内の服用で避妊失敗率は16%から19%です。
■子宮内避妊器具
かつては避妊リングと呼ばれていましたが、現在のものはT字型のIUDが主流です。このIUDは一度、子宮内に留置すると3年から5年と継続して効果を発揮します。
銅タイプのIUD、ホルモンタイプのIUSがあります。
ホルモンタイプは月経困難症や月経過多の治療にも使用されます。
避妊失敗率は、0.2%から0.6%です。
次は日本では広まってはいないもの、認可されていないものです。
ピルと同様にホルモン薬による避妊法です。
■膣リング
膣リングは柔らかく透明な樹脂のリングです。自分の手で挿入できるため、IUDとは違い医師の施術は必要ありません。
ホルモン薬を分泌し膣上皮より吸収されます。
膣リングは最大5週間まで排卵を効果的に抑制するのに十分なホルモン薬を含んでいます。
約3週間入れたままにし、その後は1週間抜去して消退出血を起こさせます。
抜去毎に新しいリングに取り換えて使います。
■パッチ型
パッチタイプの避妊シールは、腕か腹、またはお尻などに貼り、肌からホルモン薬を接種するものです。
肌にペタリと貼るだけと使用は簡単です。1週間毎に交換します。約3週間の使用後は、パッチを貼らずに消退出血を起こさせます。
■避妊ジュエリー
避妊ジュエリーは避妊パッチを組み込んだアクセサリーで、開発中のものです。
ピアス、イヤリングなどアクセサリーが皮膚と接触する部分に、避妊効果のあるホルモン薬のパッチが装着されています。
IUDなどの子宮内避妊具などが手に入り難い発展途上国を対象として開発されています。
■注射
ホルモン薬を注射する方法では、3ヶ月に1度、病院で注射することで避妊効果が持続します。ピルと違い飲み忘れる危険がありません。
■インプラント
マッチ棒サイズのインプラントを二の腕などに入れて使います。インプラントを体内に挿入すれば3年は効果が続きます。
インプラントの最新型はマイクロチップ搭載で最長16年の効果があります。
また妊娠を望むときにはリモコンで外部からオンオフが操作できる機能があります。
次はコンドームと同様のバリア法のものです。
■子宮頸管キャップ
バリア法とは、子宮内への精子の進入を物理的に阻止する避妊法です。
子宮頸管キャップは帽子のような形をしたカップを子宮頸部にかぶせて使用します。
子宮頸管キャップは、子宮頸部への精子の進入を阻止します。子宮頸管キャップは洗浄することで約1年、繰り返し使用することができます。
ただし、殺精子剤と併用する必要があります。同じバリア法のコンドームも殺精子剤がついているものを選んだ方が良いでしょう。
■殺精子剤
殺精子剤は性交前に膣内に挿入して使うものです。
その名前の通り精子の受精機能を喪失させます。バリア法との併用により効果を高めます。
次は手術による避妊法です。
■避妊手術
手術により卵子や精子の通り道を塞ぐ方法で避妊成功率は高いです。しかし、一度手術するともとに戻すのが難しいというデメリットがあります。
日本は旧優生保護法のもとで1980年代まで、本人の同意を無視した強制不妊手術を行い、2万人を越える人達が生殖機能を奪われました。
今の日本の少子化はかつての日本の政策の結果とも言えそうです。
■避妊もガラパゴス化
日本は避妊の80%以上がコンドームで、他の避妊具、避妊薬が少ないという特徴があります。
夫婦間の性交でもコンドームを使うことに違和感を感じない人が多い、という奇妙さに慣れてしまっています。
性交の結果に妊娠するのは女性の身体です。コンドームとは男性主導の避妊具であり、男性の同意が無ければ使用が難しくなります。
女性の人権を守ろうという国ほど、女性主導で使える避妊具、避妊薬が充実し女性の選択肢が増えます。
『夫婦の間でコンドームを使うというのは、仲良くしようと言いながら手袋をしたまま握手をするようなもの。避妊は妻がIUDとピルで管理して、性病は病院で検査すればいい』
自分の身体を自分で管理するのが当然、という国ではこのような意見があります。
日本の避妊法がコンドーム以外の選択肢が少ないのは、日本人には根深い男尊女卑の精神があるのかもしれない、という説があります。
■ピル後進国、日本
日本で低用量経口避妊薬が認められるようになったのは1999年です。
1960年にアメリカで開発されたピルが日本で承認されるまでに約40年の時間がかかりました。
国連加盟国189ヵ国の中で最後までピルを承認しなかった国が日本です。
また、アフターピルは1970年代より欧米では中容量ピルを使った緊急避妊が行われていました。
日本で緊急避妊薬が承認されたのは2011年。
このときアジアで認可していない国は日本と北朝鮮だけでした。
ここから世界の最先端医療が日本に導入されるまでは、30年から40年の時間が必要だというのが分かります。
日本の医療とは世界の先進国から見て、時代遅れのものになります。
この為に、古い医療機器をまだ使っている日本の為だけに交換用部品を作る企業が世界にあったりします。
■日本国内のピルの扱い
ピルは世界的には薬局で入手可能な国が多いですが、日本では処方箋が必要な処方箋医薬品です。病院で医師に診察してもらわなければ購入できません。
アフターピルは多くの国では市販化されています。
世界19ヵ国では処方箋無しでカウンター越しに売買され、76カ国では薬剤師を介して買えます。また自販機で購入できる国もあります。
アフターピルは72時間以内(薬品によっては120時間以内)に飲まないと効果が無い薬ですが、病院で診察を受ける際、病院が休みとなれば診察を受けることができずにタイムアウトを迎えます。
アフターピルのような薬こそ医療用医薬品から要指導医薬品に切り替え、処方箋不要でドラッグストアでも購入できるようにした方が良いでしょう。
薬局での販売の解禁については、一部の専門家からは、日本人は性教育が遅れているため、先に性教育を充実させるべきという反論があります。
■日本の性教育
1997年の七生養護学校事件から日本の性教育は劣化していきます。
七生養護学校事件とは、都立の養護学校での性教育に対し、当時の都議会議員が非難したことで起きました。
性教育の内容が『常識とかけ離れている』『不適切な内容』と批判されました。これにマスコミが、
『都内の公立小中学校や養護学校で不適切な性教育が行われていた』
と報道しました。
この七生養護学校事件から、性教育そのものが『子供には刺激が強く不適切』としてタブー視さる風潮となりました。
文部科学省の学習指導要領から、『性交』『避妊』という単語が消え、妊娠はどうして起こるのか、を学校で教えられなくなりました。
2000年代には学校で避妊や妊娠の仕組みについて授業を行えば、保護者からバッシングを受けることもあり、学校側は萎縮していきます。
性教育の劣化から厚生労働省の『母体保護統計報告』によると、1995年には女性の人口1000人に対し全国平均6.2人の割合だった10代の人工妊娠中絶率が、2001年には約13人と、わずか6年で倍以上に増加しました。
また、コロナウィルスの自粛期間中から、中高生の妊娠相談が増加しています。
2017年度に行われた人工妊娠中絶の件数は約16万5000件。その中で20歳未満の未成年は約1万4000件です。
日本人女性の中絶経験率は10.4%と言われています。
■富山県の出張性教育
全国で10代の人工妊娠中絶が増加傾向にある中で、富山県はこの10年で大きく減少しています。
産婦人科医と富山市が協力し、1991年から性教育の出張授業を始め、性の健康教育を浸透させていった結果です。
富山県産婦人科医会は性教育をタブー視する世論に惑わされず、子供たちの実態に合った性教育の大切さを重視しました。公立中学校の教員と協力し、性教育の出張授業を続けてきました。
性教育の普及が人工妊娠中絶の減少に繋がることを富山県が証明してくれました。
性教育バッシングの風潮の中、世論に流されること無く理性を信じ、子供達のために尽力した産婦人科医の種部恭子さんと富山市教育委員会に称賛を送ります。
■専門家の意見
2017年、厚生労働省の検討委員会では日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会から選出された委員からは、
「アフターピルがOTC化すれば、安易な使用が広がる恐れがある」
「安易に販売されて悪用されたらどうするのか?」
「薬局で薬剤師が説明するのが困難」
「性教育が遅れている日本では時期尚早」
といった意見が出ました。
しかし、これは奇妙な理論です。避妊薬、避妊具が手軽に手に入るようになれば性が乱れる、というのであれば、同じ避妊具のコンドームもまた販売に制限を儲ける必要があります。
ですが、コンドームを販売禁止にという話にはなりません。
■避妊ビジネス
ここで少し視点を変えましょう。日本のピルの普及率は約4%。ピルが普及しない理由には、婦人科のピル販売による利益の少なさが原因のひとつです。
日本ではピルはOCとLEPの二つに区別されます。
避妊用のピルはOral Contraceptives、避妊目的のピルは保険適用外になります。自由診療となり患者の全額自己負担になります。
月経困難症治療用として処方される低用量ピルはLow Dose Estrogen Progestinと呼ばれ、こちらは保険適用になります。購入するときは患者の負担は3割になります。
呼び方は違いますがとちらも同じピルです。
過去にはピルは自費診療のみでした。『オーソM21』という薬品は避妊目的のOCで、全額自己負担です。
後に『ルナベル』が月経困難症の治療薬として承認されました。こちらは保険適用になるLEPです。
このとき、避妊目的の人が生理痛だと偽って健康保険でピルを入手しようとすることが懸念されました。
仮病で保険適用にして安く買おう、という事案を防ぐ為にLEPの原価が約6倍に設定されました。
薬価が引き上げられたことでLEPの販売価額が高くなりました。
保険適用にならず全額自己負担の『オーソM21』と保険適用になり3割負担の『ルナベル』このふたつの薬の値段がほとんど変わらないということになりました。
『オーソM21』と『ルナベル』は名称は違いますが成分は同一です。
LEPの原価が高くなり、医療の現場では仕入れ値と販売する価格との差である薬価差益は少なくなりました。
医療関係者にとって、ピルは利益の少ない薬品となりました。
また、保険診療では、内科などが慢性疾患を管理する時に算定できる『特定疾患療養管理料』は、婦人科では請求できません。ピルによるホルモン治療の説明に関して請求できるのは初再診料のみとなります。
婦人科にとってはピルについて患者に詳しく説明することに時間を費やせば、その分、経営が悪化することになります。
■中絶ビジネス
次に中絶ビジネスを見てみましょう。
人工妊娠中絶は保険適用にならず、患者の全額自己負担になります。初期中絶でその費用は10万円から15万円。中期中絶は15万円から40万円と費用がかかります。
この人工妊娠中絶が、日本では1年間で約18万件と行われています。
中絶ビジネスは年間、200億円以上のお金が動く市場となります。
ピルの販売は利益率が低く、人工妊娠中絶の方が利益率が良いという狂った経済学の構造が、日本がコンドーム以外の避妊法が広まらない要因のひとつです。
■フランスの避妊と中絶
WHOは中絶について、
『女性および医療従事者をスティグマ および差別から保護するために、公共サービス、または公的資金を受けた非営利のサービスとして医療保健システムに組み込まなければならない』
と、明言しています。2018年には、
『意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利があり、緊急避妊の複数の手段は国内のあらゆる家族計画プログラムに常に含まれねばならない』
と、勧告しています。
フランスではピルは1969年から利用可能になりました。
2013年からは女性の未成年者は無料かつ匿名で入手できるようになります。
1999年にアフターピルが医師の診察を受けずに入手できるようになり、2002年には無料化。
未成年者は匿名で手に入れられるようになり、学校の保健室でも入手できるようになりました。
世界では避妊を保険適用または無料化し、望まぬ妊娠を防ぐことで中絶を減らそうとなっています。
日本はこの流れに逆行し、避妊ビジネスを抑えることで中絶ビジネスや水子供養ビジネスの市場を守ろうとしました。
■避妊ビジネス対中絶ビジネス
しかしインターネットで世界の情報を知ることができるようになった現在、避妊ビジネスの構造が変化しつつあります。
フリマアプリやSNSを利用してのピル、アフターピルの販売が増加しています。アフターピルを無許可で販売して逮捕される事件なども起こりました。
日本国内で病院からアフターピルを購入する場合、その値段は15000円から20000円です。
アフターピルはアメリカでの販売価格は1500円から5000円、ドイツでは約2000円、カナダでは1000円から2500円で購入できます。
また、イギリスではアフターピルを含め避妊はすべて無料、ドイツやフランスでは未成年には無料で提供されています。
日本では医師の処方箋が必要で高価なピル、アフターピルは、海外で入手したものを転売すれば利益が出る構造となりました。
個人通販は信頼できるバイヤーを見つけることが難しいというデメリットがありますが、病院で診察を受ける必要も無く安く購入できるというメリットがあります。
今後はますますアフターピルのネット通販が増加していくことでしょう。
■今後の避妊
コロナウィルスによる自粛から家庭内暴力も増加しました。家族による性的暴行による望まぬ妊娠が増加傾向にあります。
また、日本はこの先、貧困化から未成年の売春が増加することが推測されます。
日本でも学校の保健室で、女性主導で使える避妊具、避妊薬が未成年にも入手できるようにする対策が必要ではないでしょうか。
この辺りは避妊、中絶、性教育と後進国の日本では国の医療に期待するのが良くないのかもしれません。
日本へ移住してきた外国人女性の多くが、使い慣れた避妊法を利用できず、望まない妊娠のリスクを抱えている問題は未だに解決されてはいません。
コストが安く、避妊成功率が9割を超える方法が世界には多くありますが、日本ではほとんどが合法的に入手は難しいです。
緊急避妊や中絶の背景には、かなりの割合で性暴力が関与している事実から目を逸らし、妊娠は自業自得、自己責任、とする懲罰的な中絶の在り方から脱却しなければ、文明国とは言えないのではないでしょうか。
アフターピルは、性暴力の被害に際し、望まない妊娠を高い割合で防ぐことができる薬品です。
ですが、日本国内で医師の処方箋無しでドラッグストアで購入できるようになるには、まだまだ時間が必要でしょう。
今も10代の女子が1日あたり約40人、人工妊娠中絶をしています。