第五話小手調べ
最近....暑いですよね車の温度計見たら40℃行ってました
冒険省の建物を出たあと黒い布で包まれたものとパンパンの大きな皮袋が4つ
凄い機動力が損なわれた。
来た時はプラプラと来れたが帰りは小柄な少女が自分の背丈より大きな物を担いでのっしのっしと一歩一歩踏みしめるように歩く。
ボウガン自体は重くない....
重いのは....弾薬だ。
鋼鉄製の矢に火薬がパンパンに入ったシェルそれが大量に渡されたものだから重いったらありゃしない。
今朝、屋台で買おうとした屋台を発見し近寄る
「お、おじさん...串焼き2本...お願い」
浅黒く日焼けし、ねじり鉢巻をしている店主を注文する
代金を渡し串焼きをもらう。
「嬢ちゃんだいじょぶけ?」
「だ、だいじょぶです鍛えてますんで...」
どう見ても大丈夫じゃない、後に倒れそうなのを必死に前かがみになって抑えている。
「そ、それならいいだけんど...気を付けてけしね」
汗を垂らしながら歩く、照りつける強い日差し、最早汗を拭っている暇すらない
「あぢぃ~~....」
文句を言っても仕方ない。しかし、店はすぐそこだ。店の中は少しは涼しいはずだ。
......
カランカラン
扉が開く高めに作ってある扉をギリギリでボウガンが通過する
「や、や..とつい...」
「マスター...おかえ」
バンッ
私は、熱中症でぶっ倒れた。
「マ、マスタぁああああ!!!」
ルーが駆け寄ってくる
「...すごい汗...熱....」
そして、ニールの手元には「水」と汗で書かれた文字があった。
「み、水!!」
ルーは、キッチンに駆け込みコップに水を注ぐそして氷魔法を使い一気に水を冷やすとニールに飲ませようとする。
「マ、マスター...水!!!!」
コップをニールの口に当て飲ます
しばらくすると、ニールの手がコップを持ち始めた。
「はぁ...はぁ...ありが....とう...ルー....死ぬかと...思った.....」
水を飲み干したコップを額に当て脳を冷やす。
ふと、放り出したボウガンが目に入る。
私の戦闘スタイルに合わないしなぁ...そう考えてると1匹の黒猫に目が止まった。
「ねぇ...ルー」
ルーは振り向き、「なに?」と言わんばかりに首を傾げる。
「ボウガンって使った事がある?」
ルーはハッっとした表情になる。
「...森で生きてた時の....主力...」
へぇ....いい貰い物をした。
「ルー、明日久々に狩りに行こうと思うんだ来るか?」
「...マスターの...行くとこと...なら....何処へでも」
それじゃ、決まりだ明日行くとするか。
「っと、その前に“ コレ”の動かし方を教えないとね。」
その後は、ディックに貰ったマニュアルを読見ながら教えた。
その夜ルーはあぐらをかきながら、弾倉に弾を一生懸命込めていた。
そして、私は昔あいつに貰った通信機なる物を探し当てイヤホンのようなもを一緒に渡した。
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翌日
「さぁて、行きますか!」
私は翌日、白い外套では無く黒い外套を羽織りルーと一緒に街を出た。ルーはボウガンを包んであった外套を羽織り、弾入りの弾倉と医療キットを入れるポーチを腰に付け、膝に硬いプロテクターの入った黒い丈夫な革ズボンに黒いコンバットブーツにズボンの裾をしまい、上には黒い長袖と半袖の中間辺りの袖のある服の上に色々入るチョッキを着せた。
「マスター...ギルドに登録....しなきゃ...密猟....」
何故、知ってる
実際ギルドへの登録は猟師免許の様なものだ。
「まぁ、今日狩るのは動物じゃないからね。」
「え?」
昨日狩りにって言ったよね?って顔で見てくる。
「まぁ、冒険者と狩れば密猟では無いんだよね。同行させて実力見てから登録なんてよくあるからね。
でも、未登録者が単独で狩りをしたら違法だけどね。もっとも、獣の類だけに適応されるけどね」
動物にしか適応されない、つまり人間やその他種族、魔物には適応されないのである。
少し、不穏な空気を感じるルー、さっきからずっと地図片手に歩くニール。
そして、着いたのは谷の中にある森を見渡せる切り立った崖の上だった。
「...ま、マスター....まさか...狩り...って..人」
少し顔を青くするルー
「いや、ちょっとした小手調べとルーのテストさ」
そして、指をさす
「あの辺、集落みたいなのがあるでしょ」
ルーは目を細め、探す。
「あれって....」
緑色の森の中に茶色く開けた場所がある
「...最近この近辺で魔物...ゴブリンが出たって話だったけどもう集落を作ってたとはね....」
ニールは睨みつけるような目で集落を見る。
「...マスター...怖い」
すると、いつもの何も考えてないようなニッコリした顔になる
「あっ、睨んでた?」
首をコクコクと縦に振るルー
ルーはここから援護ね。
「...いやでも...ボウガンの...射程距離....」
「なぁにディック製のボウガンを舐めちゃ行かんよ!」
と笑う。
ニールは回りを見渡す。
「風は....大丈夫そうだね」
そうするとニールは集落とは反対の方を見る。
「あっち、いい感じに開けたがあるでしょ?ちょっとあっちいって来るから無線の用意しておいてね」
400mほど離れた場所に開けた場所がある
ルーは頷きイヤホンを片耳に入れ、つけ終わった時には既に消えていた。
《つけ終わったみたいだね》
「ひゃ、ひゃい!」
いきなり耳元で声が聞こえる物だから、ルーは飛び跳ねてびっくりする。
《もうすぐ着くから弾倉嵌めといてね》
ルーはポーチから三つ弾倉を取り出し、内一つをボウガンに嵌め込み、残りの二つをすぐ手が届く場所に置いた。
ルーは二本の支えを展開し伏せ、レバーを上げて引き逆の動作をして初弾を込めた。
そして、照準器を除くと遠くの物がまるで、すぐ近くにあるかと思えるほど拡大された。
すると、ニールが何かを置いているのがよく見えた。
《はい、これを撃ち抜いて見て》
そこにあったのは右から順番にその辺の朽木、謎の一升瓶、動物の死骸だった。
ルーは、ニールの言う通りに狙いを付け朽木を撃った。
すると、ほぼノータイムで朽木は砕け散った。
そして、次弾を込める。
一升瓶、動物の死骸を綺麗に撃ち抜いた。
《ルー、今から瓶投げるけど1番高く上がった時に撃ち抜いて見て》
常人なら断るレベルの狙撃だ、しかし、ルーは
「わかった」とだけ言い見事撃ち抜いて見せた。
さすがのニールですら口を開けたままにしている。
この時のニールの頭の中では、『やべーヤツに、やべーモノ渡しちまった』1色だった。
《す、すごいねルー》
「これく....らい...楽勝」
褒められ照れるルー
《じゃあ本番行こうか》
とニールの声、それに応じるルー
ーーーーーーー
ニールは森の中を走る、ゴブリンの巣目指してひた走る。
ルーの実力を見る為に、真逆の方向に言ってしまったから無駄に走ることになった。
総距離約1km崖から500mの場所にあるゴブリンの巣
《...マスター...前方...木の影に1人》
ルーがマークしてくれる為、楽に進める。
あのボウガンの音に警戒したのだろうか?さっきからずっと動きが活発だ。
「ひゃ〜いっぱい居る...」
私は近くの木に登り、集落の全体を見渡す。
竪穴式住居のような物がところかしこにある。
そして、谷の反対側何かを覆う様に建物を立てて居るようだ。
《ルー...弓はどこに何体いる?左側が見えない》
ルーに無線で聞く。
《...マスターから見て...左側.......20m...矢倉に...3...全体を....見渡してる...私から...見えるのは....これだけ...》
矢倉は厄介だ....この集落を見渡せる
《ありがとう》
そう言い、矢倉のゴブリンに見つからないように森に1度引き返し、回り込む。
そして、自分の目で何かを囲うように立てられた物を見ることができた。
そして、中に何かをカゴに入れ運ぶゴブリンが見えるしかし、カゴの縁が邪魔になり中身が見えない。
《ルー、籠の中には何がある?》
《....果物....肉...》
果物と肉...何かへの貢物?知能の高いゴブリンでも居るのか?
《ルー、矢倉を崩せ》
その瞬間、待ってましたと言わんばかりにパンッっと多少小さくなった発射音が聞こえた瞬間、矢倉を支えていた足が吹き飛び、もう一度発射音が聞こえ二本の支えを吹き飛ばした。バランスを保てなくなった矢倉は崩れ上にいたゴブリンは頭から落ち死んだり重症を負った個体が居た。
矢倉が崩れた事でゴブリン達の視線が矢倉の方へ集中する。
その合間に素早く移動し目標の建物をについた。