遭遇
お仕事暇なので投下。
荒い息遣い...
液体の滴り落ちる音...
ここから見た人は『R指定乙!』ってなるんだろうな...。
俺は意を決して振り返った...。
そこには飢えた怪物が2体...。
待ってくれ!俺は食べ物じゃない!
あぁ...まだ蒼い炎も、魔方陣も発動していない...。
まだ魔族として覚醒していない!
我の冒険もここまでだったか......。
作者の次回作にご期待下さい!
って流れを地球に居た頃よく少年誌で見た。
でも飢えた怪物達が本当に凝視している。
俺の手元にあるフライパンを...。
飢えた怪物A=ウメ
飢えた怪物B=バヴィアジエフ
フライパンの中でウサギの照り焼きが仕上がろうとしている。
俺の背後で飢えた怪物達が本当の怪物へと仕上がろうとしている。
身の危険を感じた俺はパンに出来上がった照り焼きを乗せ更にパンを重ねて二人に差し出した。
「いやぁー美味しいーーー!」
「ブブブブブブブブッ!!!」
本当に残念な女子達である。
「いやぁマツダさんお料理上手なんですね!私こんなに美味しい物初めて食べました!監視員に選ばれて良かったなぁ!」
照り焼きサンドの感想を言ってくれるバヴィアさん。口の周りがソースまみれだ。
「ブブブブブブブ~ブッ!」
誰か翻訳して下さい!何か言ってるウメさん。彼女も口の周りがソースまみれだ。
本当に残念な女子達である。
腹ごしらえと休憩が終わり、俺達はノースマウンテンに向け出発した。
ノースマウンテンまであと僅かな距離、森林の入口付近でそれは起こった。
木々を押し倒しながら一頭の大きな狼が現れたのである。
体長は5メートル近く、体高は2メートル以上ある。
そうこいつが孤高狼...ロンリーウルフだ。
アイランドルート初の大型モンスターとのエンカウント、それも撃退or討伐をしなければならない依頼目標だ。
俺は魔刀仏恥斬離を腰から抜き構える。
ロンリーウルフは俺と森を交互に見ている。
いや、俺より自分の背後を気にしている。
「バヴィアさん、ウメを連れて離れてて!」
俺はその隙に二人を気遣い声をかけた。
が、残念女子ズはかなり離れた所に避難済みだった。なんだろぅ...すごくやるせない...。
気を取り直した俺は再びロンリーウルフに意識を集中させる。
調理スキルが発動する。ロンリーウルフがまな板に乗ったのを確認出来た。
食材確定!こいつを倒せば初依頼達成だ!!
幸いロンリーウルフは俺に集中しきれていない。
何かに追われているのか、何かに怯えているのか、ロンリーウルフは森を気にして振り向いた。
俺はこのチャンスを見逃さなかった。
「ふんっ!パルメ斬!」
適当に思い付いた必殺技名を叫びロンリーウルフの首を下から上に飛び上がりながら仏恥斬った。
手応えはあった。
着地する俺に少し遅れてロンリーウルフの首が落ちて来て、その後体が崩れる様に倒れて来た。
『ズーン!ズーン!!』地響きが周囲にこだまする。
圧勝!不意討ちと切れ味で圧勝!
刀の血振りをし納刀する。
「バヴィアさーん依頼達成ですよー!」
俺はバヴィアさんに依頼達成を伝えながら大きく手を振る。
「マツダー!後ろ後ろ!」
バヴィアさんは俺に何か叫んでいる。
「あんだって~?」
「マツダー!後ろ後ろ!」
バヴィアさんがとても懐かしいネタを捩じ込んできた。でも地球の事知らないよね。
それになんだろう...ロンリーウルフはもう倒れているのに地響きが鳴り止まない。
俺は地響きのする方を向いた。
最悪だ...。森の中から緑色のとてつもく巨大な、背中に大きな一対の翼のあるトカゲが出てきた。
大トカゲ?でも羽あるよ?キミハダレ?
「マツダさーん!逃げてー!Sランクのフォレストドラゴンですー!逃げてー!」「ブッフゥ~!」
バヴィアさんは俺にモンスター名と逃げろと大きな声で伝えながら遥か彼方に向かって走り去って行く。ウメを抱いたまま走り去って行く。
放置ですか?おとりですか?
取り残された俺は二人を危険な目に遇わせる訳にいかないので、フォレストドラゴンに向かって仏恥斬離を構えた。
この世界、アイランドルートに来てからの戦い...全て一撃圧勝でした。しかも大型モンスターのロンリーウルフに至っては不意討ちでシバき上げた。
俺とフォレストドラゴンの距離は約30メートル。
この距離でもとても大きく見える。
大きさは20メートル以上。30メートルの距離を保って俺とドラゴンは向かい合ったままだ。
ドラゴンが少しでも動けばドラゴンの間合いになるだろう...。
俺はドラゴンに向かい魔刀を構え意識を集中した。
なんと!とてつもなく大きなまな板にドラゴンが乗ったじゃありませんか!!
食材確定!俺はドラゴンを調理する為にドラゴンに向かって歩を進めた。
その時、とてつもなく太い物が俺に向かって凪ぎ払う様に飛んで来た。まともな戦闘経験の無い俺は避ける事も防ぐ事も出来ずに吹っ飛ばされる。
何度も地面にバウンドし、大きな木に全身を叩き付けられた。
全身がバラバラになった様な激しい痛みが俺を襲う。
「ゴホッゴホッ...」何かにむせて咳をすると大量の血液が口から溢れてくる。
くそっ...なんか今の俺カッコいいじゃねーか。
残念女子ズを逃がす為にも俺は立ち上がる。
足、プルプルしてます。生まれたての鹿みたくプルプルしてます。
こんな時に赤いワンピースの似合うアルプスの女の子が居たら、「マツダが立った、マツダが立ったよ!」って喜んでくれるんだろうな。
震える両足を平手で叩き気合いを入れる。
「うぉりゃぁ~~~~っ!!」
玉砕覚悟、魔刀を構えてドラゴンに向かって行った。
ありがとうございます。