初めまして始めました
よろしくお願いします!
「死神様、死神様、従魔が自由奔放過ぎて辛いです。従魔を変更して下さい。」
「ブゥ~!」
俺は心の中で念じた。そして何も起きなかった...。でもウメには返事をされた。
気を取り直して、魔ップの旗マークの街へ移動を開始した。
地球では田舎暮らしをしていたつもりだが、次元が違う。
周りに何も人工物が無いのだ。秘境?大自然?ボキャブラリーの貧困な厨ニ病のオッサンには形容する言葉が見つからない。
富士の樹海と草原を合体させた様な大自然。樹海行った事ないけど...その自然の中をただひたすら歩く!歩く!歩く!
魔ップを確認しつつ歩き始めて体感で30分くらい経った頃だろうか...
横から聞こえていた「ブーブー」が後ろから聞こえる様になった。従魔らしく後ろから付いてくるのかな?なんて思っていたけど、どんどん音が遠ざかっていく...。
「ウメー!」
「ブー!」
「ウメー!」
「ブー!」
俺はウメを呼んだ。昔行ったライブで見たコール&レスポンスみたいでちょっとカッコいいなんて思ってしまった。
「ウメー!」
「ブー!」
「ウメー!」
「オオォッ!」
ん?何か様子がおかしい...俺はウメの元へ急いだ。
そしたら居たんです。
ウメと角の生えたウサギが...。
そうです。アイランドルートで初めましてのエンカウント、ウメは角ウサギに絡まれていたのです!
従魔のウメを助けよう!と一瞬思ったけど、ウメの戦闘力を確認したいので俺はウメを見守る事にした。決してビビっている訳ではない。魔刀仏恥斬利なんて香ばしい銘の刀を装備しているが剣術どころか剣道すらまともにした経験がないのだ。
えっ?選択授業で剣道あったでしょって?
残念!俺は柔道派だ!剣道の籠手のニホイ...形容しがたいカホリに負けて柔道を選んだのだ!
んっ!脱線した。
俺はウメの戦闘力を確認する為に少し離れた所で見守っている。勿論、ウメに何かあればすぐに助けに入る為、刀に手を掛けている。そして戦いは始まった。
睨み合うウメとウサギ。
「ブゥ~!!ブッブゥ~!!」
ウメはウサギを威嚇する為、一際大きく鼻を鳴らして体勢を低くしている。結構カッコいいじゃん。様になってるよ。
ウサギは威嚇されても動じていない様で、ウメの「ブゥ~」の後に地面を蹴りウメに頭を向け大きくジャンプした!そしてジャンプからの頭突きだ。角あるからねぇ~当たったら痛そうだ。
ウサギの頭突きをウメは横に倒れる様に避けた。倒れた様にしか見えないが、やれば出来る子!絶対避けた筈だ!
ウメちゃん、案外やるじゃん☆なんて思ってウメの評価が急上昇した直後...
...
......横に倒れたウメはそのままお腹を見せて服従のポーズをとったのだ!俺にすら服従のポーズをした事が無いのに!
ウメの体を角でツンツンするウサギ、服従のポーズをとるウメ。
ウメと角ウサギの戦いはここに幕を閉じた...。
そしてウサギは標的をウメから俺に変えた様だ。
俺に頭を向け様子を伺うウサギ、魔刀仏恥斬利を抜き放つ俺。
抜刀してウサギに意識を向けると、ウサギがまな板に乗っている様に見えた。いや...乗っている。体長が50センチ以上あるウサギがまな板に乗っている。
しかも首の辺りに赤い線が見える。ここを切れって事ね。
俺はウサギが動き出す前に仏恥斬利でウサギの首を仏恥斬った!
大きく振り上げ、渾身の力で首目掛けて振り下ろしたのだ!
そして
落ちるウサギの首、ドやる俺の顔、服従ポーズのウメ、なんともシュールな光景がそこにあった。
俺は血振りをして刀を納めるとウサギを見た。ん?まだまな板に乗っている様に見える。
もしかしてこれが調理スキルなのか?俺はウサギに歩み寄り持ち上げた。
呼び出していないのにウィンドウが現れた!因みに現状を理解できていないウメは未だに服従のポーズをとっている。誰に服従しているのだろう...。
ウィンドウには『調理スキルの説明』と表示されている。
俺はウィンドウをタッチした。
『調理スキルの説明』
調理スキルとは食材を調理する為のスキルである。
食材の調達、調理を全て賄う複合型調理スキルである。
調理スキルにはレベルがあり現在使用出来るのはレベル1
食材調達の、簡易採取と簡易ハンティングと簡易調理のみである。
食材の採取、ハンティング対象に一定以上意識を向けるとスキルが発動し、まな板に乗っている様に見える。締め方等のアシストも発生する。
もっと面白い事して頑張ってレベル上げてねw
因みに従魔の変更も出来ないから仲良くやってねww
調理スキルの説明が出てきた。
ふむふむ...意識を向けたらスキルが発動するのか。そしてスキルレベルが存在するのか。あの赤い線はアシスト機能なのか。スキルレベルは面白い事をしたら上がるのか。
そして従魔は変更出来ないのか...
ってウィンドウの説明したの絶対死神だよね!
今頃になって返事してきやがったよ!
「おーい!運営さーん!俺のウィンドウがハッキングされましたよー!通報案件ですよー!」
俺は辺りに響き渡る大きな声で通報した。一応通報しといた。
※この時ウメはまだ服従のポーズのまま。
せっかく頂いた尊い命、異世界物ではパパっと捌いて調理して食べるシーンをよく目にする。俺はそれに習いウサギを調理して食べる事にした。
調理器具boxから包丁とまな板を出してウサギを捌いてみた。
スキルが発動しているのだろう...赤い線に沿って刃を入れるだけで、とてもキレイに皮が剥がす事が出来て肉も取り出せた。
そして仏恥斬った頭部は角の付け根に赤い線が見える。角を切り離して保管しろって事かな?そうだと信じて角を切り取った。
心臓のあるべき場所に拳大のガラスみたいなのが入っている。
これが有名な魔石なのか?一応取っておこう。
魔石?と毛皮と角、肉の半分をストレージに収納し、ウサギを調理する。
今回は異世界物のド定番。焚き火で塩焼きだ。
薪になりそうな木と、串に使えそうな木を拾い集め俺は焚き火を始める。火はどうしたのかって?調理器具boxに着火兄貴が入ってたからそれで着火したんだよ!
串に肉を差し塩をしっかり振り、遠火でじっくり火を通す。
肉の表面に脂が浮き出て来ては下に落ち、パチパチといい音と香ばしい香りを出している。
身の太い所に包丁を入れ、しっかりと火が通ったのを確認して俺は肉にかぶり付いた。
う...うまい!!
地鶏の様なしっかりとした歯応え。
若鶏の様なほとばしる肉汁。
癖の無い香り。
俺は夢中になって肉を食べた。最初の一本を食べ終わり次の肉を食べようと手を伸ばすと...無いんです!肉が!
隣を見ると...食べて煎るんです!ウメが!
「ウメちゃん、美味しいか?」
「ブゥ~~!」
「ウメも頑張ったからな...まぁいっか!いっぱい食べて賢く育てよ!」
それなりに頑張ったウメに話し掛けながら旗のマークへ向かう為に魔ップを見る俺だった。
今回の食材
角ウサギ、塩
ありがとうございました!