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第8話 正しい殺人事件の捜査方法。捜査の基本は「他力本願(?)」(2)

 ガラスの破片が散らかる部屋を見て、考え込む係長。


「うーん。被害者は犯人と争って、食器類を投げつけて抵抗した。でもやがてつかまって、向こうの部屋で殺された…ということか?」


「違いますね。誰かに向かって投げつけたのなら、食器の残骸は一箇所に集中するはず。少なくともこんな風に部屋中に散らばるなんてことはありません。しかもこの食器はキッチンの戸棚にあったものでしょう。そうだとしたら、これだけの量の食器を一度に持ってきて投げつけるのは不可能です」


 ギロッ!凍りつくような係長の視線。

 どうして?

 正しいことを言っているのに、なぜにらまれるんだ?


 僕はちゃんとキッチンの戸棚が空になっていたのを確かめていたのに。


「だったらどういうことなんだ?」

「わかりませ…」


 係長が例の冷たい視線を僕に向ける。

 ずるいよ。

 そんな目でにらまれたら、能天気に「わかりません」とか言いづらくなるじゃないか。


 仕方ないから、考えるフリをする。

 「わかりません」をなるべくおしゃれにオブラートに包んで伝える方法でもないかな…。

 あ!


「それは『神のみぞ知る』といったところでしょうか?英語で言うところの"god knows"というやつ…やめて!やめて!」


 係長が至近距離にて拳を振り上げているのが見えた。

 でも分からないものは分からないやい。


「どちらかというと、こんな感じでしょうか。まずこの部屋で犯人たちはそれぞれ両手に抱えきれないくらいの食器をキッチンから持ち込んで、皿投げ合戦を楽しんだ。それから『二次会はこちらでございます』とばかりに隣の部屋に移動して、殺人合戦を楽しんだ」


「まじめにやれ!」


「大まじめですよ。だからこちらの部屋には食器があちこち散乱。逆にそちらの部屋には飛び散った破片がほんの少し。テーブルやじゅうたんの上にはガラスのかけらひとつありません」


 そう、じゅうたんにもテーブルにもガラスは飛んでいない。

 フローリングの床に少しだけガラスのかけらが見えるのみ。


 え?

 床にガラスが飛んでいて、でもじゅうたんには飛んでいない?


 僕はじゅうたんを少しめくってみた。

 そこには少しだが、ガラスの破片が落ちていた。

 どういうことだろう?


 さらに死体の近くまでじゅうたんをめくってみた。

 死体から流れる血はじゅうたんがすべて吸い込んで、床までは届いていない。

 一方、ガラスのかけらもその付近まではほとんど飛んでいない。


 やっぱり、皿投げ会場と殺人会場は別じゃないのかなあ。

 少なくとも争いになって、皿を投げ抵抗するうちに殺されたという感じではない。


「係長、ちょっと」


 向こうで係長が鑑識の人と話をしていた。

 どうやら、死体に首を締めたあと、ナイフの傷に加えて、頭を強く殴られたあとが見つかったらしい。

 加えて転がっていた鉄アレイから、かすかに血痕が検出されたそうだ。


 これで殺人ごっこは①ロープで首を絞める②ナイフで心臓を突き刺す③鉄アレイで頭を殴ると三部作確定。

 ここまで殺しつくさなくてもいいのに。

 よほど恨みでもあったのだろうか?


「ボーっとしてるんじゃない!聞き込みに行くぞ!」


 係長が戻ってくると、いつものように僕の首根っこをつかんで引っ張っていった。


 聞き込みかあ。

 そういう地味な作業はあんまり好きじゃないんだよね。


 もっと事件っぽくドン、ドン、バァン!って感じの展開はないかなあ…(あしからず、僕の語彙力に関するご意見・ご要望は受け付けておりません。うるさい!)。


読んでいただいてありがとうございます。


すこしでもいいなと思っていただけましたら、ブックマーク、高評価などしていただけますと、作者が喜びます。

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