神と婚約
重要なスキルの回です
誤字脱字、お手柔らかに。
優しくご指摘頂くと幸いです。
僕の名を呼ぶ声。
目を開けると真っ白な部屋にいた。
「初めましてではないが面と向かって話すのは初めましてだ。桐生雷太くん、いやライオネルくんの方がいいのかな」
僕の身体がピクッと震える。
「なぜその名を?」
「儂は創造神デミウルゴス。幾つかの星の管理者と言ったところだ。さてライオネルくん。ここに呼んだのは他でもない君がなぜ記憶を持ったまま転生したのか、その意味と能力の話をしたくて呼んだのだ」
「そうですか・・・」
「先ずはなぜ桐生雷太、君が転生する事になったかという事。君のことはずっと前から見ていたのだよ。負の連鎖とも言える、不幸な人生に押し潰れそうになる君。管理者として個人を幸せにする事が出来ないことにジレンマを感じていた私はいつの日から目が離せなくなっのだ。そして君の底なしの優しさ、己の幸せより他の幸せを願う君はその人生の幕を落とそうとしていた」
素直に嬉しい。
勿論今の僕ではないが前世の僕を神が見ていてくれたことに感謝した
「ありがとうございます。誰も居ないと思っていましたが神様が見ていてくれたのですね」
「まぁ儂だけではない。他の神も見ていたのだ」
「他の神様も見ていてくれたんですか?ありがとうございます」
「気にすることはない。でな、君の命が尽きた時我々は君にやっと接触出来たのだ。覚えているか?」
「覚えています。忘れはしません。暖かく心地の良い死でした。死んだのに心地いいと言うのは変ですかね?」
「君はどの綺麗な心をした物はなかなかいないのだ。他を敬い己を律する。だからこそ転生してもらったのだ。この星はまだ未熟でスキル頼りの人々ばかりだ。魔法はしっかりとイメージすれば唯の火ではなくなる。他の属性も然りだ。君は先ずこれを変えてくれ。スキルだけでは魔人に勝てないのだ。前にも君と同じ名の転生者がいた。尽力したが結局、配下の者だけが実践し魔人や魔王を滅ぼしたに過ぎないのだ」
「わかりました。頑張りますが、他の大陸には伝えなくていいのですか?」
「大陸間は貿易が盛んだ。商人に寄って伝わるので心配は無用だ。後、魔の神も動きが活発になってきたのだ。狙いは現在魔族が居ない君たちの大陸」
「え?」
「それを察して魔獣、魔物と呼ばれ魔人族の配下だった種族、ゴブリンやオーク、オーガ達が頻繁に人々を襲い始めたのだ。マスタング王国の人々が襲われるのも時間の問題である」
「そんな・・・」
「魔族討伐が1つと魔法の強化が1つ、もう1つがこの星の文明は全く発展する気配がないのだ。だから地球の化学や高い文明を使い高めてくれ。兵器然り勉強法然りだ。建築物だってまだまだ未熟なのだ。これらを守ってもらえるか?」
「わ、わかりました。ですが私には前世の知識と呼べるほど勉強出来ていません」
「わかっている。だからこそ君の願い、欲する全てを知り行えるスキルを与えたのだ」
「全てを知り行えるスキル?」
「そうだ、但し注意してくれ。君の願いである全てを欲すれば君は神になる。それも亜種の神になるのだ。亜種はただ死なず老いもせず人に干渉出来ずただ神界を漂うのみだ。その代わり、現在過去未来に前世に今世の全てを知り行えるのだ」
「扱いに気をつければ神にならず近づけると・・・」
「そうだ。決して全てを望んではいけないよ」
「心して使います」
「よし。私から加護を与えてある、他六神からも加護があるがまだ会っていないので他六神の加護となる。皆会えるのを楽しみにしていたのだが今日は他の星へ行っておるのだ。すまんな」
「いえいえ。ありがとうございます?他の神様にもお礼をお伝え下さい」
「そろそろ時間だ。君のスキルには我々からの啓示と神託が含まれておる。こちらから神託する場合夢を見る。見たら教会に足を運んでくれ。啓示とはスキルの知る権利の中には神からの開示もあると言うことだ」
「わかりました。ありがとうございます」
そう言うとまた視界が真っ白になり気づくと教会にいた。
「司祭。あれは何だったのだ?」
「わかりません。ライオネル様が祈りを始めた途端、7柱の像と共に光り出した。神の祝福としか思えない」
「確かに・・・そうかもしれないな」
「ライオネルよ何かあったか?身体は問題ないか?」
「はい。創造神デミウルゴス様に会いました」
「なに!?」
「ライオネル様それは本当でしょうか?神に会ったなんてご冗談を。教会で司祭の前でそのような冗談はおやめ下さいね」
あっ思わず言ってしまったが言ってしまってよかったのかな?
そういえば大好きだったラノベの転生者達はこう言う事は隠していたな・・・ステータスも改竄したり出来るのかな?その前に改竄するほどのステータスなのかな・・・。
「ライオネル様、こちらがステータスカードとなります。ステータス更新は何処の教会でもライオネル様は大金貨1枚で行えますので寄付だと思って定期的に教会へ足を運んで下さい。もっと詳しい情報を知りたい場合は教皇猊下の元へお越し下さい。」
大金貨だって・・・。お小遣いも貰ってないのに・・・。
「ライオネルよ教会へ行く時は言えば大金貨を渡すから気にせず行きなさい」
「ありがとうございます」
「では帰ろう。遅くなってしまう。司祭、礼を言う。世話になった。教皇猊下にも礼を伝えておいてくれ」
「お気に為さらずに。猊下には伝えておきましょう」
「司祭様ありがとうございました」
馬車に乗り込み走り出すと・・・
「ライオよ。ステータスを見せてくれないか」
え?今か・・・
「わかりました」
ステータスカード出してステータスを見る
〔氏名〕ライオネル=フォン=マスタング
〔種族〕他種族ハーフ人間族
〔年齢〕5歳 (性別〕男
〔称号〕マスタング王国第3王子 神の使徒
創造神からの寵愛と加護 六神加護
神の啓司と神託 全てを知り行える者
勇者と大賢者 魔族を滅する者 美男子
〔加護〕創造神の加護 他六神の加護
〔レベル〕1
〔HP〕8008/8008
(MP〕16160/16160
〔スキル〕全知全能(レベル10)
「な、なんなんだこれは・・・神の使徒、寵愛・・・使徒・・・啓司と神託・・・。先程の創造神に会ったと言うのはあながち間違いではなさそうだな。これは教皇に知られたらマズいな。」
会いた口が塞がらないと言ったところか。
やっぱり神に会ったなんて言ったらダメだったか。
それにしてもHPとMPが思ってたより高いな・・・
「レベル1でこんな数値見たことないな・・・。ライオよ。ここまで凄かったのにスキルは1つか?だがこんなスキル見た事ないぞ・・・しかもレベル10・・・なんだこれは」
「はい。称号に書いてある全てを知り行える者。これが僕のスキルです。欲した能力、スキル、情報などを知りそれを行使できるスキルということです」
「そうか・・・それが本当なら1つのスキル数多のスキルが発動可能と言うことか。それは素晴らしい事だな」
「はい。それ以外にも知りたい物を知れると言うのは強いですね」
「スキル1つと言うネックが世界最強のスキルだった。これは皆に伝えるぞ。そうすれば1つだからと蔑ろにされる事は無い。その事を踏まえて5歳になったので明日以降帝王学を学びなさい。時期国王争いに参加を認める」
「時期国王・・・。お言葉ですが父上。創造神デミウルゴス様より任務を預かっております。それに他の仕事があれば神託があるとも言われており国王になる事はその任務を放棄する事になりませんでしょうか?」
「任務に神託か。その任務とやらはなんだ?話せる事は話してくれないか?」
「はい。スキル重視の世を魔法重視にすること。それにより魔人族、魔王を殲滅することが任務です」
「魔法重視か・・・なかなか難しいな」
「はい。ですが今の魔法とは違い、イメージの仕方を変えるだけで威力能力が変わるのです。例えば火は火をイメージするだけでなくどんな規模の火か、火を高火力にするには何が必要かを知りイメージすると全く違う火になると言う事です。それが出来れば魔族、魔人族を殲滅可能になると神は言われました」
「イメージか。それを皆に伝え実行させるなら国王はいい役職なのではないか?」
「それなんですが。ライオネル国王は同じように神の話を聞き今と同じ任務を遂行したそうですが実践したのは国王直属の兵だけだったそうです。これを世界に広める為まずマスタング王国から変えていきたいのです。どうやら他の大陸に住む魔王が魔人族のいないこの大陸を狙っているそうです。魔獣等を使役して頻繁に人を襲ってるそうです」
「ライオネル国王もか。わかった私も尽力しよう」
「ありがとうございます」
魔獣が活発になっているならサーチ系の魔法を覚えたい。
でもこの世界にはサーチが無いのでスキルに頼る。
「サーチの魔法が欲しい・・・。よろしくお願いします」
頭の中へ情報が入ってくる。
「うっ・・・これはこれは慣れないな」
「どうしたのだ?」
「全知全能スキルを使いましたが一気に情報が頭の中に入ってくるのです。これは何度やっても慣れません」
「そうであったか。最強スキルにも弱点があるのだな」
父はニコっと笑う。
「でどうやって使うのだ?」
「はい。マナを薄く広く広げるイメージをすると・・・。僕のマナに触れた者がいると感じます。害悪を持った者は禍々しく感じるそうです」
サーチをしながら馬車に揺られていると王都手前で害悪を感じる。
「馬車を止めてください」
「何かあったか?」
「はい。害悪を持ったこれは・・・魔物、魔獣に8人程囲まれています」
「なに?」
「父上、助けに行ってきます!」
「なにを言っておる。お前のスキルは世界を救うのではなかったか?」
「そうですが、あの8人を救えない人間が世界を助けるなど言えません」
「うーわかった。気をつけるのだぞ」
「行ってまいります」
そう言うとライオネルは馬車を飛び出して駆けていく。
「もっと早く」
少しずつ人間のマークが薄くなっている。
どうやらダメージを負うと薄くなるようだ。
靴底に風の魔法を使う。
走ること数分。
見えてきた。
ゴブリン、オーク、オーガ・・・首領はミノタウルスか・・・
襲われている馬車は高貴の貴族の者の様だ
「ライオネル=フォン=マスタングだ参戦する」
その言葉に反応する兵士。
「ライオネル殿下?いけません。王子が助太刀など何かあっては・・・」
「要らぬ心配だ」
そう言うと火と炎で火炎魔法を放つ。
「おお!素晴らしい。我々ももう一踏ん張りだ」
皆の士気が上がる。
ライオネルは直ぐに日本刀を抜刀ゴブリンを殲滅。
高電流の雷魔法を剣に纏わせ風魔法を足の裏で放つ。
ライオネルが剣を振るうとブォンと音と共に首が落ちる。
5歳の子供が剣と魔法で駆逐していくのだ。
士気の上がった兵士達は一歩また一歩とライオネルから距離を取る。
恐怖だった。
スキル一つと小馬鹿にしていた王子が自分達では手も足も出なかった魔物を瞬殺である。
兵士の恐怖とは違い馬車の中は一面お花畑だった。
ライオネルが両断するたびに歓喜する2人の天使。
これを見ていた使用人は恐怖でいっぱいだった。
「お嬢様方。見てはいけません」
「ライオネル様のご活躍です。見ない訳にはいきません」
そんな事もありつつ5分程で魔物の集団を殲滅したのだ。
その後、ライオネルがエクストラヒールのスキルを覚え兵士達を癒す。
するとそこへ国王の乗った馬車と直属の兵士達が降り立った。
「ライオネル大丈夫だったか?」
「父上。はい。全て駆逐致しました」
「そうであったか・・・」
父は心配になった。
物の数分で1人の子供に魔物の集団が屠られるなんて。
すると馬車の扉が開く。
「国王陛下、ライオネル殿下。お久しぶりに御座います。」
降りてきたのは2人の少女だ。
「おお。お主らだったか。危ないとろだった。怪我はないか?」
「あっペンダントの時の子達だね」
「危ないとろを助けて頂きありがとうございました。怪我はありません。ライオネル殿下は私達の命の恩人です」
「ペンダントのこと。話してしまってすみませんでした」
「構わないよ。僕もあれで皆んなから声を掛けてもらえるようになったしね」
「そうじゃな。不問といたそう」
「父上。それは僕のセリフですよ」
「ワーッハハ。残念だったな」
「兎に角可愛い2人が無事で良かったです」
ライオネルの言葉に顔を真っ赤にしている2人を見て国王がライオネルを見る。
やつも成長したな。
「ライオネル。2人がそんなこと言われて悶えておるぞ」
「ライオネル様ありがとうございます。お世辞でもとても嬉しく思います」
「世辞などではないぞ。あの日から思っていたことだ」
国王はニヤニヤしながらある事を思い付く。
「馬車が壊れてしまったなら2人は乗っていきなさい。君たちも洗礼式のパーティーへ参加するのだろう?」
「はい。ではお言葉に甘えてよろしくお願い致します」
「ありがとうございます」
2人も乗り込み王城へ向かう。
ライオネルの両隣に2人を座らせて、対面で見ている国王は王城へ到着するまでニヤニヤしていたのだった。
王城へ着くと先駆けの伝令を聞いた宰相と元帥が待っていた。
娘達の無事を確認する。
「ライオネル殿下。この度は本当にありがとうございました。娘を救ってくれるのみならず兵まで助けて頂き感謝致します」
「お二人の娘さんだったのですね」
「はい」
「ライオネルよ。宰相に元帥共に公爵家であり私の側近だ。2人に頼まれていたのだがさっきのライオネルの言葉に決心したぞ」
「決心とは?」
「マリアン=フォン=ルメルバーグとベティール=フォン=カーリンをお前の婚約者とするがよいか?」
「こ、婚約ですか・・・?」
「なんだ嫌なのか?この2人ではダメなのか?」
「そんなことありません。光栄です。お二人がそれでいいのならお受け致します」
「それは大丈夫だ。2人の希望だったのだからな」
パァーッと明るくなる2人の女の子達。
ライオネルの婚約者となった。
「では早速、パーティーで発表しよう」
「僕は着替えてきます。失礼致します」
ライオネルは着替えながら考えていた。
僕の前世から考えるとロリコン認定されてしまう年頃の子と16歳以降とは言え結婚か・・・
前世だロリコンだと言ってはいても、最近は転生前の事を忘れつつあるのだ。
辛いことがあったとか、知識などは残っていても十数年生きた実感がもう殆どない。
兎に角、今はまだ可愛い妹が出来たと思って接しよう。
さて始めてのパーティーだ
ご覧頂きありがとうございました。
スキル名全知全能が発覚しました。
それに婚約者。
益々書くのが楽しくなってきました。
ブックマークよろしくお願い致します。