〜まだ全然登場人物いねぇじゃん!バカヤローの巻〜
プロローグ
春とは出逢いの季節であり、別れの季節でもある。ある人は新社会人になり、またある人はこの春から新しい学校に通う。一方で親しい友人との別れなどで涙する人もいる。そんななかで俺は今年から高校生になる。そう、高校二年生だ…
え?どうして一年じゃないのかって?それはこの物語に大して関係ないからである。
第一章
高二になってから数日が過ぎたある日の朝、俺は朝から小説をよんでいた。ちなみに何を読んでいたかと言うと、オタクのマストアイテムそう、ライトノベルである。ウチの学校では朝読書と言われる時間があり朝のSHRの前に十分程度の読書する時間がある。
今日の本はソードがオートでオンラインする的な本だ。新刊おもれぇなぁ〜。まぁそれはさておき俺の名前は三池 空汰最初にも言ったが高二だ。俺はあまり友達が多いわけでも無ければ年齢=彼女いない歴のDTで明るい性格ともも言えないし、終いにはゲームやアニメが好きだ。そう世間的にはオタク又は陰キャと言われる部類だろう。べ、別に好きで陰キャになった訳じゃないんだからねッ!ふん!
おっとコレは心の中の声なので安心してくれ。そうこうしてるうちに朝の読書の時間が終わりSHRが始まった。
「きりーつ、きおつけー、れーい」
「「おはよーございまーす」」
気怠げな号令係の声と共にクラス全員が挨拶する。
「皆さんおはようございます。えーと二年になってまだ数日しか経ってないですが、来月には体育祭があるのでそろそろ準備していてくださいね」担任のハルちゃんが元気そうに笑顔でいった。生徒達は口々に「えー」とか「だるーい」と言っている。中には「フォーッッ!!」と奇声をあげてる男子もいるが、それは無視しておこう。あ、ちなみハルちゃんっていうのは担任の先生の名前が春乃だからだぞ。ついでに言うと去年新任でウチの学校に来たばっかりのピチピチの二十四歳だぞ。さらに低身長で顔面偏差値もまぁまぁ高いぞ。全く合法ロリは最高だぜ!おっとコレも心の中だけにしとこう。俺が心の声を発している間にSHRが終わった。
「オッス空汰、相変わらずしけたツラしてんなぁ」
「うるせぇーなぁ、昔のドラマに出でくる主人公の友人みたな登場のしかたやめろ。ウザいから」
友人の山梨 啓介がニヤニヤしながら肩を組んできたので軽くあしらってやった。
「なんだよそのわかりづれー例え」
「うっせ」
と、ごく普通の男子高校生みたいな会話をしていると啓介が言った。
「なんかいい事ないもんかねー例えばすんげぇ美少女か転校してきたと思ったら今朝曲がり角でぶつかった人でビックリ!とか」
「ラブコメの見すぎ。そんな事あるわけねーだろ」
この会話から分かる通り友人の啓介も陰キャでオタクなのだ。
「あ、でもそういや今日学校来る途中で角でぶつかったわ」
「え?まじ!?それフラグしゃね?」
「ま、カメムシが俺の顔にぶつかっただけどね」
「なんやねーーーーん!!」
と他愛のない会話をして別れた。
キーンコーンカーンコーン四限目が終わるチャイムと共に一斉に生徒達が廊下に出てある一定の場所へ向け走り出す。そう、これから始まるのは戦争だ。売店のパンの奪い合いと言う名の戦争、もう起こり過ぎて第何次なのかもわからない。俺も周りの生徒同様ロッカーの中から徐に財布を取り出すと走り出した。
「ちょっと押さないでよ!」
「おめーが押したんだろ!」
「あ、痛い痛い痛い!」
「お前ブス」
なんて言葉が聞こえる、おっと最期の言葉はあまり関係ない気がするがまぁいいだろう。押し寄せる人の波の中に飛び込んだ俺は必死にもがいた。例えばたまたまだよ!本当にたまたまね!女の子の身体に触れてもそれは事故であり仕方のない事なのだ。べ、別にソレが目的で売店の戦争に来てるわけじゃないんだからね!
「とりあえずパンゲット!なになに今日はメロンパンとカレーパンか、また合わねー組み合わせだなぁー」
俺は戦争を無事に帰還した後、一人売店の前で本日の戦果についてボヤいた。人の波が一気に引いてゆく、おそらく戦争が終焉したのだろう。先程まで戦場と化していた場にぽつんと一人の女の子が涙を浮かべいた。おそらく戦争に敗北したのだろう、彼女の手にはしっかりと財布が握られいた。そんな彼女に俺は自分の持っているカレーパンを手渡す。と、いきたいところだがそうはいかない…やっぱり女の子なんだし甘い方がいいよな?メロンパンにするか。いやそうじゃない!肝心なのはそんな事ではない!そう、その女の子とは顔見知りで彼女にはいわゆる彼氏、ボーイフレンドなるものが存在するのだ!そうリア充なのだ!どうせそのうち彼氏が来て慰めてくれるだろう。うん決めた!あげない!このパンは絶対あげない!そう硬く決心してその場を後にした。するとすぐに。
「おい何泣いてんだよーほらほら泣くなって俺のサンドイッチわけてやるから」
彼氏さん登場である。側から見たら最低とも言えるこの俺の行為だが、良く考えるとそうでもない。もし仮に俺があの場でパンを渡していたとしよう、大して顔面偏差値の高くない俺が「ほら、買えなかったんだろ。コレ…やるよ。べ、別にお前のためじゃないんだからな、俺がたまたまカレーパンが嫌いなだけだからな!」
なんて台詞を吐いてたらどうなる?ヤバイだろ?もしそれがたまたま彼氏に見られてたらどうなる?俺死ぬぞ?社会的にも現実的にも。当の本人はなんか微妙な感じになるし、彼氏はキレるし俺は死ぬ。なぁ誰も得しないだろ?みんながみんな不幸だ。だから俺の選択は間違ってなかったと言えるだろう。
と、今の一連の話を先に教室で愛妻弁当ならぬ愛親弁当を広げて待ってた啓介に話したところ。
「空汰オマエなんでもかんでもツンデレにしすぎだろ!ギャハハハ」
と大爆笑されたのであった。いつか復讐してやると心に硬く誓った一日であった。