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午前5時のタクシードライバー
酔っ払ったホスト風の男を降ろして
ホッと一息つく
今日もダメな売り上げだった
しょぼくれた顔を眩しい朝日が照らして
目を細めた
何も起こらない 誰も怒らない
ただ性欲の掃き溜めみたいな気がしたよ
街が眠りについて目覚めるまで
3時間も無い 家に帰って寝よう
そんな毎日が続いて 何か嫌になってた
これで良いんだよって 幻聴かも知れぬ
神の導きなら少し前の瑠璃色の空に祈る
そんなもんだってと初老の同僚は話した
誰もが誰も満たされていないから求める
日々を生きる事を決心したあの時の空は
今は泣いているのかな 霧が立ち込める
冷え切った弁当 お天道様に恨み事呟き
孤独に孤独を上塗りしたのは 街のビル
私はそれに呑まれた 誰も悲しみ背負い
グラスを涙で満たすの 零れない程度に
だから今はただ1人車から降り空見上げ
この馬鹿野郎って叫んだ 眩しい朝日に
午前5時のタクシードライバー悲しいよ
午前5時のタクシードライバー苦しいよ
午前5時のタクシードライバー切ないよ
午前5時のタクシードライバー泣きなよ
自分に言い聞かせてた敗北の記憶の味よ